専門家「米国にとってインド太平洋戦略の核心国家は、日本とオーストラリアだ。前は、日本と韓国だった」

つい二日前、ロシアのウクライナ侵攻に関して、「やはり戦略的曖昧さが必要だ」とする韓国側の主張を紹介しました。それと同じく、韓国では今回のウクライナ事態において、どうしても『どちらかを選ぶ』という選択だけは避けるため、いろんな人たちがいろんな主張を出しています。本エントリーでは、そういう類の主張をもう少し詳しく紹介したいと思います。

一つは、「韓国はもう先進国だから気にしなくていい」といういつものパターンです。どちらかに合わせないというのは、戦略的曖昧さと同じですが、スタンスが大いに違います。わかりやすく、あえて直接的な書き方にしますと、米国だろうが中国だろうが、韓国が無いとどうにもならないから、「韓国がどちらかに合わせるかを先に決めるのではなく、米中のどちらかが韓国に合わせるかを見て、それから決めればいい」、というのです。本ブログでも何度か紹介しましたが、前から韓国には「日米同盟より韓米同盟のほうがもっと大事」「いつの時代よりも、米国は韓国に依存している」などの主張がありました。それらが、今回のウクライナ事態において、米国、日本、EUなど世界各国が一致団結する姿を見せたことで、ある種の危機意識として現れたのではないか、そんな気がします。

しかし、今回の、K「制裁どうしようかな」→A「例外32箇国に韓国無し」→K「独自制裁っす」→A「じゃいいかな」の寸劇から見ても分かるように、韓国が『事実上のG8』などと言えるのは国内だけです。韓国だけでなく、もはや世界のどの国でも、そういうスタンドアローンが出来るとは思えません。この『先進国だし』主張は、なんと政府関係のシンクタンクあたりでよく出てきます。

次は、ある種の経済圏構想です。先の「先進国!(セルカ パシャパシャ)」主張よりはマイナーですが、これまた恐ろしいことにシンクタンクなど専門家からよく出てくる話で、実は結構前からありました。色んな国を巻き込む経済圏を作ってしまえば、韓国が米中のどちらかを選ぶ必要もなくなる、誰も韓国に干渉することができなくなるという構想です。特に、『日本』をこちらの経済圏に編入させることが絶対条件になっています。思えば、2017~2018年、いわゆる朝鮮半島平和ムードの頃から、この構想がありました。あれです、あれ。『南北鉄道を繋げてユーラシア大陸まで経済圏にすると、日本は『海底トンネルで繋げてください』と泣きつけてくるだろう、というあれ。

2018年のものですが、政経朝鮮(※朝鮮日報の寄稿文サイトで、旧名は「朝鮮Pub」です)にこんな寄稿文がありました。前にも紹介したことがあるので簡単にまとめてみると、 「昔も今も日本人の生活は韓国への依存度が大きく、今後もそうに違いない」から、「日本は、島国の孤立と疎外から抜け出すために」、「韓国に『海底トンネルを作りましょう』と泣きついてくるだろう」、なぜなら、「南北交流が活性化されるであろう、そう遠くない将来には、釜山から車や電車に乗って、中国やロシアを経て欧州まで行けるようになるからだ」、との内容です。いつ読んでも面白いです(思わしくない意味で)。こんな類のものが、いまでも名分を変えながら、経済圏構想として続いているわけです。

「京畿研究院」などのシンクタンクがまた同じ主張を報告書として発表しましたが、適当に書き写してみますと、「東アジア国際関係の核心は、朝鮮半島の非核化を通じた平和協力体制を出発点とする経済的繁栄を共有する共同繁栄体制の定着」とか、「国連の制裁を迂回する形で南北協力の議題を選定し、地方政府を活用する南北交流協力がその出発点になる」、などなどです。相変わらず、南北が中心という話。ここに多くの国とともに経済圏を作る、いわゆる『多重構造を作って米中の二択を無効化させる』というものですが、同じく、G8という言葉に踊らされているだけでしょう。この件、この前の『ハードカレンシー』騒ぎととても似ている気がします。国際決済において、韓国のウォンは20位内にも入っていません(追記などはありませんが過去エントリー、未読の方はどうぞ)。『信頼』第一の国際決済において、これでは経済圏は無理でしょう。それに、共同繁栄とか言いつつ、国連制裁の回避から考えているところが、怪しすぎます。

 

とはいえ、やはり反対意見も強く、主に保守寄りの大手マスコミは『いやそれ違うだろう、もうマジで戦略的曖昧さをやめるべきだ』という論調を強めています。そして、多くの専門家が、『お願いだから現状把握ぐらいちゃんとしてくれ』と嘆いています。そう、個人的にも、こちらが『現実』でありましょう。最後に、こんな主張を紹介して終わりにしたいと思います。というか、これ書かないと題が成立しませんので。ここはソースが普通の記事なので、ちょっと引用してみます。イーデイリー<<~>>が引用部分となります。

<<・・(※ウクライナ事態において日米EUなどが一致団結し、さらに確実に『陣営』が分かれている現状にて)韓国は既存の外交基調を見直す必要性が大きくなった。いまの韓国は、中国が台湾に武力を使った場合、どのような立場をとるのかすら、明らかにしていない。米国が韓国を見つめる視点を変えることは、特に緊急だ。韓国は米国・日本・インド・オーストラリアの安保協議体クアッド(Quad)にも、米国・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの機密情報同盟体ファイブアイズ(Five Eyes)にも属していない。今回のウクライナ事態に関しても、日本のように米国を積極的に公開支持したわけでもない・・・・米国からすると、韓国の態度は曖昧すぎる。キム・ヒョンウク国立外交院教授は、「朴槿恵政府以来、韓国に対する米国の見方が変わった。過去には、米国は、インド太平洋戦略の核心国家として韓国と日本を名指ししていた。しかし、今は、オーストラリアと日本を言及している。これが、米国が見ている韓国の現住所である」と説明した。キム教授は続いて「私たちの地政学的な位置、米国の中国牽制などを勘案すれば、韓米同盟を強化する方向に戦略を修正しなければならない。すでに昨年5月、韓米首脳会談でそうすることにしたのに、それから進捗が無い」と強調した・・>>

朴槿恵政府というと、やはり中国を訪問した、あのときからのことでしょうか。それから急にTHAAD配置を決めるなど方向転換したけど、信頼は戻らなかった、といったところでしょう。それからの文政府は言うにも及ばず。それでは、今日はこれで失礼します。 実に迷惑をおかけしますが、本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。次の更新は、朝8時~9時あたりを考えております。

 

 

おかげさまで、拙著『卑日』が無事発売されました!本当にありがとうございます!

♨ 以下、お知らせ・ 拙著のご紹介などです
拙著の紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください

新刊卑日(扶桑社新書)>が発売中(2022年3月2日)です。韓国に蔓延する、新しい、そして歪んだ対日観、『卑日』について考察した内容です。最近、韓国で流行っている『地位』『国格』などの言葉と、その裏の意味。K防疫や終戦宣言なども含め、なぜ今韓国に『卑』が必要なのかを考察、率直に書きました。ぜひ、ご一読を!

准新刊<文在寅政権最後の暴走>が発売中です文政権においての日韓関係とは。文政権の考える『まともな国』とは。まともな南北、対日、対米、対中関係とは。それらはどういうもので、どう失敗したのか。そんな内容の本です。既刊として、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >も発売中です。他の拙著については別ページにまとめました

サブブログに議論エントリー(1~3)と雑談エントリーを用意しました。長くなりそうな話にはサブを利用してください。シンシアリーはツイッターを利用しています。99%更新告知ですが、たまに旅行先の写真とか載せますので、よかったら覗いてみてください。本ブログのプライバシーポリシーはこちらになります