韓国大企業関係者、「ロシア制裁に積極的に参加できない。中国消費者を気にしないといけない」の旨を語る

つい先週金曜日にも同じ趣旨のエントリーがありましたが、韓国の大企業は、ウクライナ侵攻に関し、鈍い動きを見せています。いままで、ちゃんとウクライナ侵攻に対する抗議・反戦の意志を示した企業は、私が知っているかぎりではギャラリアという企業だけで、デパートの外壁にウクライナ国旗色のライティングをしました。

韓国といえばサムスンというイメージがありますが、そのサムスン電子の場合、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相から「ロシアへの輸出を中断してほしい」と直接頼まれたにもかかわらず、「輸出中断」「(ロシア内での)販売またはサービス提供中止」などの言葉は使わず、「輸出のための船積み中止」という表現しか使っていません。

船積みを中止したから輸出も中止したのではないか、という見方もできますが、現地での別の事情によって荷物の船積みを中止することもあるので、『ロシアへの抗議の意味として』輸出や販売を中断することとは、ニュアンスに大きな差があります。ハンギョレ新聞がこの件でサムスン電子の関係者と直接通話をしてみましたが、実際、その関係者は『国際社会の流れに参加するために』『ウクライナ侵攻に反対する意志を表明するために』などとは、言っていません。ただ、『現地物流事情が悪く、ルーブル貨の価値の下落に伴う為替リスクを考慮した決定だ』とだけ、説明しました。

この関係者は、サムスン電子はウクライナ難民に対する救護物品の支援などを、『国際機関と連帯して』推進しているとしましたが・・ソース記事の見方は、厳しいものでした。記事は、「サムスンだけでなく他の企業もそうだが、実はものすごく戸惑っている」としながら、こう書いています。ここからは、ハンギョレ新聞から引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ロシア、ウクライナ事態と関連して公式立場表明を求められた状況に、サムスン電子側は困惑する姿だ。サムスン電子の他の関係者は『ハンギョレ新聞』との通話で、「今の状況で、『輸出中断』だの、『販売中断』だの、そんな用語を使えば、悩むべき事案が増えてしまう」とし「『船積み中断』ぐらいが、妥当な表現であろう」と話した。それだけ、用語や表現まで気を使っているわけだ。他の大企業のスタンスも、同じである。名前を明らかにしないよう要求した、ある輸出大企業関係者は、これと関連して、「国内のグローバル企業は、ロシア側よりも、中国の消費者のことを気にしている」と話した。

同関係者は、「中国の一部の知識人たちが、ロシアのウクライナ侵攻を糾弾する文をオンライン掲示板などに載せ、ネットユーザーたちに叩かれ、文も削除されたなどの報道を、大企業側は重く見ている」、「中国の消費者たちが、ロシアの行動を友好的に見ているようで、そういう情緒に注目しているのだ」と話した。他の輸出大企業のチーム長は、「マスコミから要請があるたびに、『どんな場合でも会社名を取り上げず、業界関係者ということにしてくれ』と言うか、それとも、まったく言及を拒否か、今はそうしている」と伝えた>>

 

「船積み」をもう少し詳しく見てみますと、サムスン電子は、ウクライナの副首相から輸出中断を頼まれた後、『ウクライナ事態の初期から、すでに船積みを中止している』と発表しました。ですが、サムスン電子が「ウクライナ侵攻に反対する意味で」船積みを中止したという発表は、どこにもありません。デジタルタイムズの記事によると、<<・・サムスン電子は、物流難のせいで、ロシア行きの物品出荷中断を決定した。 現在までは、現地工場稼動に直接的な問題はないと知られているが、物流難が長期化される場合、工場稼動にも支障が発生すると予想される・・>>、ということになっています。

 

いままでウクライナ事態とハッキリ関連付けて反対・抗議の意を示した韓国企業は、ギャラリアというデパートだけです。 <<全世界のグローバル企業がロシアのウクライナ侵攻に抗議してロシア投資を撤回するなど、直接・間接的に反戦を示している中、韓国大企業の中でも、これに参加する企業が初めて登場した。ギャラリア百貨店は世界平和のメッセージを盛り込んで。ソウルと大田のデパートにウクライナの国旗を象徴する色の光をライティングすると、(※3月)1日明らかにした・・・・グローバル企業の積極的な動きとは異なり、これまで国内企業は中立的な立場で、特別な措置を示さなかった。むしろ、局面が深刻になった場合、経営上の損失が大きくなるのではないかと心配する姿ばかり見せている。ロシアに進出した韓国企業は、現代自動車、サムスン電子、LG電子など151社に達すると把握されている・・(文化日報>>

繰り返しになりますが、『私は知らないだけ』の可能性もあるものの、この記事以降、抗議を示す企業が現れたという話は聞いていません。 次の更新はいつもの時間に戻して、13時~14時あたりを考えております。あと、本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

 

 

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