今度は「慰安婦問題の解決を約束したではないか」・・尹錫悦氏に相次いでまわってくる『ツケ』

Kメディアは何かあれば「大乱」という表現をよく使いますが・・この場合、ツケ大乱が始まったとでも言いましょうか。仕方ない側面があったとは思いますが、尹錫悦(ユンソギョル)氏が大統領候補として放ったいくつかの発言が、『発言を守れ』というブーメランになって返ってきています。

本ブログでは13日にお伝えしましたが、尹氏は1月、福島の処理水放流に反対する市民団体連合の調査に対し、『今の状態での放流に反対する』と表明しました。まずは検証が必要だとするスタンスで、これでも他の候補たちよりはかなりマイルドな表現でした。特に李在明氏はものすごく強く反対していたと聞きます。

ただ、大統領候補を対象にした調査で反対を示したのは事実。市民団体連合は、尹氏に「放流決定に対する反対立場を示したではないか。もう約束を守って、積極的な対策に出るべきだ」と声明を出しました。日本側に「透明で正確な情報公開を要求」すること、「(IAEAではなく)政府レベルで正確に検証」すること、「CPTPP加入のために水産物禁輸措置を解除しない」こと、そして、「国民的合意と、国民の参加が保障される」方法であること、などを要求しました。国民の参加は尹当選者が言ったことだそうです(他の記事などでは未確認でした)。

国民を参加させるといっても、結局は「市民団体が選ぶ人」を参加させるという意味です。市民団体の政治勢力化が定着してしまったからです。これはこの件以外にも、社会全般で『国民の参加』という言葉が歪まれてしまった大きな理由でもあります。そして、その処理水関連の過去エントリーにも同じことを書きましたが、やはりというかなんというか、慰安婦問題でも『解決すると約束したではないか』という話が出てきました。

処理水のことは、まず、そこまで大きく報道されたわけではありません。そして、尹氏は他の候補よりは慎重に答えました。しかし、この件は違います。いつのまにか大物になってしまったイヨンス氏が主張していること、尹氏がイヨンス氏を訪れて「かならず謝罪を引き出して見せます」と言ったのは多くのメディアに結構大きく報道されたこと、そして、なにより、『解決策』そのものを尹氏ではなくイヨンス氏が用意し、この案を受け入れろと事実上の要求をしている点です。言わば、YESかNOかを聞いているわけです。聯合ニュース(3月17日)をソース記事にして、以下、該当部分だけ引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<イヨンス氏は、尹錫悦大統領当選者が問題の解決を約束したと、17日、話した。本問題をICJに回付する推進委員会の主催で、この日、ソウル中区プレスセンターで開かれた記者会見に出席したイさんは、昨年9月、国民の力大統領候補だった尹当選者と会ったとき、「私が、『慰安婦問題を解決してほしい』と言ったら、『はい』と答えながら約束してくれた。謝罪も必ず引き出すと言った」と伝えた。それと共に、「その言葉を聞いて、私は安心した」と付け加えた・・

・・イさんが代表である推進委は、この日、国連特別報告官らに請願書を発送したと明らかにした。請願書には、日本政府が問題を認定せず、真相究明も公式に謝罪もせず、賠償もせsず、責任者に罰も与えていないなど、要求事項を履行せず、むしろ否定するなどの動きを見せてきたとし、救済のために韓日両国の合意で本件をICJに回付、またはCATの手続きを踏むように促してほしい、という内容が盛り込まれた。

ICJでこの件を扱うためには、韓国と日本の両方が同意しなければならないが、CATの場合は日本の同意が無くても可能である・・・・推進委員会は「報告官たちの言葉に法的拘束力があるわけではないが尹当選人がもうすぐ大統領に就任するだろうし、何かメッセージが来たら、相応の措置をしてくれるようお願いする」と話した・・>>

 

当選者「うわあぁぁぁ」・・かどうかはともかく。わざわざユンボンギル記念館で出馬宣言したり、スタンスが微妙でしたから、最初から。繰り返しになりますがある程度は仕方ない側面もあったとはいえ、自業自得だと言えなくもありません。過去の政権交代もそうでしたが、保守政権になっても、市民団体の勢力が著しく弱くなることはありません。そもそも、朴槿恵氏の弾劾のときにあれだけの人を動員した主役が市民団体ですから。どうであれ、「国家間約束を守るな」と主張している人たちによる、「私たちに迎合した約束を守れ」とする主張は、これからも続くことでしょう。

関連した話として・・・実は、尹当選人の引受委員会(政権を引き継ぐための対策本部)には、『自衛隊が朝鮮半島に入ることを許可する必要がある』と主張している人がいます。李明博政権のときに大統領府戦略企画官だったキム・テヒョ氏で、日韓GSOMIAを提案した人だとも言われています。キム氏は米韓軍事訓練を日本と共同で行う、有事の際の戦略的な側面はもちろん、日本人救出のためにも自衛隊が朝鮮半島に入るようにしないといけない(今は無条件ダメだということになっています)と主張したことがあります。

ですが、大統領選挙前に同じ案件で、尹候補が「有事の際には入ることもある(とも受け取れる)」な発言をして、与党側からものすごく批判されたことがあります。その際、『国民の力』が『絶対にいけないという趣旨で話したのだ』としました。この件についてはまだ動きがありませんが、もしキムテヒョ氏が持論を展開しようとしても、国民の力の発言をまた覆す必要があるでしょう。迎合って怖いですね。

 

 

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