韓国で騒ぎになっている「GOS事態」とは・・韓国KBS「サムスンの技術的優位はもう終わった」

本件、まず韓国で結構話題になっていますが、本ブログのメインテーマとは離れています。でも、週末だし、たまにはこういう内容もいいかなと思って書いてみます。最近の国際情勢・・例えば日本と台湾の半導体関連の動くなどを考えると、さほど本題とは離れていない気もしますが。

いわゆるGOS事態。GOSとは、サムスンのスマホの独自機能で、スマホでゲームをやるとき、スマホ全体に無理がかからないように制御してくれるシステムを意味します。このコンセプトそのものに問題があるわけではありませんし、新しく導入されたものでもありません。ですが、サムスンの新作スマホ「G22」において、このGOSが全てのアプリケーションにかかるようになり、マニュアル的なスペックよりずっと低い性能しか発揮できない問題がおきました。

定価だと1100ドル以上もするスマホでこれですから、騒ぎが起こったわけです。ただ、これは、GOSの問題ではなく、発熱という意味において、サムスンの技術的優位がもう無いことを示している、という見方も出ています。以下、「KBS」の記事となります。KBSは、日本でいうとNHKのような立場の放送局です。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ゲーム中にスマートフォンが熱くなる「発熱」問題を制御することに反対する人はいない。問題は、スマホの性能を最大60%レベルまで制限し、その制限をオン・オフする選択までできなくなったことだ。世界が反発した。高性能だと広告したのはなんだったのだ、と騒がれた。スマホの性能を測定するベンチマークアプリの会社は、最新製品なのにS22シリーズを比較対象から除外してしまった。衝撃的な事態だ。結局、副会長が公式に謝罪し、GOSを使用するかどうかを選択できるようにすると言った。しかし、GOS事態は単なるプログラムの問題ではない。スマホ市場においての、サムスンの「技術的な優位が完全に終わってしまった」ことを象徴する事態である、というのだ・・>>

 

KBSは、GOS解除がものの本質ではないとし、s22で(iPhoneと同レベルのパフォーマンスが出るようにして)ゲームをやってみると、明らかにS22の方が熱くなると言います。そもそも、高性能で電力効率も優れたチップセットを使ったなら、わざと性能を制限するGOSを入れる理由があるのか、というのです。発熱など、スマホそのものの設計に関する「技術」で、他社よりの優位を失った証拠であろう、と。

記事は「前から、サムスンはソフトウェアではアップルに及ばないけど、ハードウェアでは明らかに優位だと言われていたが、もはやそうではない。ハードウェアでも比較優位などない」としながら、すでにサムスンはプレミアム市場で存在感を失い、中国市場シェアが0%台に落ち、中・低価格の製品を出すしか無い状況に追い込まれている、と分析します。今回のGOS事態の重要な要因が、クアルコムの「スナップドラゴン8 gen1」チップセット(AP)ですが、これは他でもないサムスンファウンドリが委託生産してG22に搭載したものだそうです。「ここまで発熱問題が浮き彫りになった以上、急速に次のチップに置き換えられるだろう」とも。

しかも、その不良品率がかなり高かった、とのことでして。すでにクアルコムは、次のチップの生産を、サムスンではなくTSMCに任せています。そして、その理由は、サムスンファウンドリの低い「収率」のせいである、と分析されています。外国メディアの分析だそうですが、サムスンの4ナノプロセスの収率は30~35%台と低いレベルで、これは、「製品100個を作れば、不良品が60個以上出る」意味です。一方、TSMCは収率が70%台(100個作れば不良品30個ぐらい)で、これは安定した数字になります。サムスンファウンドリの低い収率と発熱問題などで、クアルコムはパートナー社を変えるしかなかった、と。最後の部分はまた引用してみます。

 

<<・・サムスンファウンドリがTSMCとともに、7ナノ以下のプロセスに入った唯一のファウンドリ企業ではある。しかし、低い収率が示すように、依然としてプロセスと生産技術の面でかなり遅れている。IntelもAppleも次世代3ナノプロセス製品はすべてTSMCに任せている。モバイル市場でサムスンのシェアと市場支配力は、ますます低くなっている。単純にシェアだけ見ると、依然として世界1位だ。しかし、売上高と営業利益基準では、アップルとの格差がますます広がるだけであろう。今まで優位だったハードウェア性能でも、優位は無くなったのだ。一方、ファウンドリ市場で、TSMCとの間隔も広がったままだ。同じ4ナノプロセスで競争しているが、不良なく製品を生産する「収率」において、大きなギャップがあり、ますます多くの顧客がTSMCを選んでいる。独自のチップセットも競争力を失い、生産は減るばかりだ・・>>

 

サムスンには独自のチップセット「エキシノース」というのがありますが、KBSはこちらもまた、「もはや存廃問題」とします。いままではサムスンはエキシノースを装着したスマートフォンを大量に出荷してきましたが、2020年版のExynos990は『発熱問題があまりにも深刻で(原文ママ)』、結局はスナップドラゴンに置き換えられたそうです。新しく開発した「2200」も、性能が期待以下で、台湾の「メディアテック」のチップセットなどが、もっと優位にあると評価されているそうです。

サムスンは韓国経済において、もはや『中心』という言葉だけでは足りない影響力を持っています。そして、その核心は、半導体、スマホなどです。サムスンのスマホ、半導体などがこれからどうなっていくのか、台湾勢との競合とともに、注目したいと思います。

 

 

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