深化する、文 大統領と尹 当選人の対立・・「ムンユン戦記(?)」の始まりか

ソース記事から「日本」という単語が一回も出てこない、なのに「真正性」という言葉が出てくる、色んな意味で珍しいエントリーです。

尹錫悅(ユンソギョル)当選人はもちろんのこと、大統領から与党、野党、各候補まで、大統領選挙及びその直後には全員が『和解と統合』を主張していましたが・・いつものこと、そんなものはどこにも見当たりません。引受(政権引き継ぎ)をしているのか、奪い合いをしているのか、よく分からない状態になっています。大統領執務室を移転する話は昨日も書きましたので省略しますが、尹当選人と文大統領の対立が激しくなるばかりです。いままでも政権交代はありましたが、政権引き継ぎ過程でここまで意見が合わないのは見たことがありません。というか、文さんも尹さんも、(スネたのか?)会ってすらいません。普通、当選人は大統領と会っていろいろ話すものですが。

 

まず、北朝鮮の放射砲に関して、です。20日、北朝鮮が放射砲4発を撃ちました。そのことで、尹当選人は『919合意違反だ』と主張しました。919合意とは、文大統領が南北首脳会談のときに北と合意した内容で、軍事境界線付近において一切の軍事活動を中止するという内容です。

誤解が無いように願いますが、尹当選人がこの問題に声を上げたのは、何も間違っていません。韓国、特に首都ソウルにおいて真の脅威となるのは、ICBMなどではありません。北朝鮮の放射砲(多連装ロケット砲)です。この点、北朝鮮が放射砲を撃ちながら何かの訓練または『挑発』を行ったなら、それは韓国にとって大きな問題であり、大統領(まだ当選人ですが)が問題提起するのは、当然のことです。

でも、尹当選人の反応は、ちょっと的から外れていました。なぜなら、これが919合意違反なのかどうかが、ハッキリしていないからです。ファイナンシャルニュースの記事によると、国防部も「これは919合意とは関係ない」と話しました。普通に『北朝鮮への問題提起』にしておけばよかったものを、無理矢理919合意を持ち込んで、『文政府への問題提起』というイメージを浮き彫りにしたわけです。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<22日、尹錫悅大統領当選者が最近、北朝鮮が「放射砲(多連装ロケット砲)」と推定される発射体を撃ったことに対して「明らかな9・19軍事合意の違反」と話した・・・・だが、ソ・ウク国防部長官はこの日、国会国防委員会全体会議で国防委員長である「共に民主党」のミン・ホンチョル議員が「北朝鮮放射砲が9・19軍事合意の破棄か」という質問に「いいえ」と答えた。軍関係者もこの日、記者たちと会った場で、「海上緩衝区域より北、北朝鮮地域での射撃は、919軍事合意に含まれない」と話した・・>>

いままで何があっても「北朝鮮は919軍事合意を違反していない」と無茶な主張をしてきた韓国の国防部。しかし、今回ばかりは、(この部分、私見が入っています)国防部の指摘で合っています。そもそも、南北の境界付近でなければ、軍事訓練なども全てできなくなりますから。皮肉なものですね。こんなときに限って、説得力のある理由で「合意違反ではない」と話すとは。

 

次は、韓国銀行(韓国の中央銀行)総裁任命に関してです。イチャンヨンという人が韓国銀行総裁に指名されましたが、大統領府は『尹当選人側とも協議して決めた』と、尹氏側は『協議などしていない。指名10分前に電話で一方的に聞かされただけだ』と話しています。こちらは韓国経済の報道ですが、大統領府は「尹当選者側の意見を反映した」と説明しているものの、尹当選者側は即座に「協議したことはない」と反論しました。『国民の力』党では「大統領府は、なんで当選人に対して真正姓を示さないのか」などと話しました。日本関連以外でこの言葉を見るのも珍しい気がします。

<<・・大統領府の高位関係者は23日、記者たちと会って、「詳細は言えないが、当選者側の意見を聞いて、韓銀総裁候補者を発表することになった」と話した。今回の挨拶に尹当選人の意見も反映されていると思われる説明だ。尹当選人側はこのような大統領府の発表を即座に否定た。尹当選人側のスポークスマンは「韓銀総裁の場合、ユン当選人は特定の人を大統領府に推薦したことがない」と話した。当選人の秘書室長ジャンジェウォン国民の力議員も、「人事発表10分前に大統領府から電話を受けただけで、協議をしたこともなく、こちらで同意したことはない。大統領府が真正性をもって接してくれるといいのだが、実に残念だ」とした・・>>

 

すると、大統領府関係者が記者たちと会って、「尹当選人がそんな態度を貫くなら、(協議した内容などを)全て公開しちゃうよ?」と話し、火に油となっています。左右の対立が強いことで有名な韓国ですが、それでも、当選人と現大統領は、選挙が終わってから9日目には会合し、表面的にでも、いろいろ話し合いました(別ソースで読みましたが、9日目が今までの記録(?)だったそうです)。でも、尹当選人と文大統領は、本エントリー時点で14日か15日目なのに、会合はおろか、対立が増えるばかりです。

そして、ついに今朝、文在寅大統領は「当選人が、大統領を礼儀訪問するにおいて、何かの交渉と条件が必要だなんて聞いたことがない」「胸が苦しくてもう一度申し上げる」と話しました(韓国では結構大きなニュースで、複数のメディアが報じています)。尹当選人に対し、『無礼者!』と言ったわけです。やはり、あれでしょうか。本ブログで何度も何度も書いてきた、あのフレーズです。政権交代だろうと何だろうと、『上と下が入れ替わるだけ』。前から思ってはいましたが、朴槿恵氏の弾劾のときから、特に強く思うようになりました。大事なのは和解でも統合でもなく、結局は、相手をコントロールできるかどうか、それが全て。安保でも礼儀でも隣国関係でも何でも使う。そう、それだけなのでしょうか。

 

 

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