忘れた頃に出てくる、「剣の文化」と「筆の文化」の話

いつ、誰が言い出したことなのかまでは分かりませんが、韓国には、日本を「剣(刀)」、朝鮮(韓国)を「筆」とする主張があります。今回のソース記事は「慶北毎日」というローカルメディアですが、この話は他のメディア、他の研究者たちの主張からも難なく見つけることができます。

ソース記事も何人かの研究者が同じ主張をしているとしながら、『両国の文化の異質性について話す人は多いが、武家社会である日本と、ソンビ(※朝鮮の儒学文官)社会である韓国の違いこそが、両国の文化の差を示すもっとも核心となる』としています。ソース記事では「倫理」としていますが、私が今まで目にした記事には、「文化」のほうが多かったと記憶しています。

 

この主張の核心は、剣の文化は、『負ける』ことを何より悪いこととしているため、負けたことを認めないとします。また、勝つためにはなんでもする、勝てばいいという、人類普遍の価値観とは違う考えを持っているとします。言い換えれば、「強いけど、道徳的に問題があるという流れになります。

逆に、筆の文化は、正しいか、正しくないかを何より重要視し、正しくない方法なら勝ったとしても、それは勝ちではないとする、人類普遍の価値観である善悪論に基づいているとします。言い換えれば、力で負けたことはあっても、それは『正しくない』力に負けてきただけであるとしながら、併合を『正しくない力によるもの』としているわけです。ここからは引用してみましょう。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・『剣』の倫理を調べてみると、最高の悪は負けることだ。全ては勝ったか、負けたかが基準となる。勝てば力があるもので、堂々としたもので、負けたら弱いもので、恥ずかしいものだ。侍たちは、戦いで負けたら、反省しようとせず、自らの手で腹を○った。そのような死は時々すべてを許されることがある。また、裏切りが許される。実利のためには裏切りが通用されてしまう。

これとは反対に、私たちの儒教社会の「筆」の倫理では、勝敗も重要だが、善悪を中心とする価値観だ。言い換えれば、私たちはすべてのことにおいて正しいかどうかを追求する。正当でない方法で勝った場合、我々はその勝利を認めない。裏切りは許さない。私たちは信念を守るために命を捧げる。刀の倫理と筆の倫理はあまりにも相反する違いがある。この状態なら接点を見つけるのは非常に大変だ。しかし、善悪の基準は人類の普遍的な価値基準である。この普遍的な真理に日本を目覚めさせることができれば、新しい変化があるだろう・・>>

 

これでも日本語・言語文化学の教授が書いたものだから、思わしくない意味ですごいですね。もし、筆の文化だとして、じゃ、朝鮮で何か世界に大きな影響を及ぼした『筆』としての業績があるのでしょうか。有名な改革があったわけでもないし、世界的に評価される芸術家があるわけでもないし、なにせ、漢字も使わなくなっているし、使っている言葉の多くは日本で作られたもので、法律も日本のものをそのまま書き写してスタートしましたが、筆の文化と呼ぶには、あまりにも現実とギャップがあるのではないか、そんな気がします。

これは単に、日本にとって『剣』とは勝ち負けだけでなく、それ以上のものがあった、それを見落としているだけ、いや、見ようとしていないだけではないでしょうか。その中には『潔さ』というものもあったはずですが、なんで『負けは悪』という話が出てくるのでしょうか。日本の剣は『道』であり、その道にあるものは勝ち負けだけではなかったはずですが。「文武両道」という言葉もありますし。ちなみに、日本のアニメなどでこの言葉がよく出てくるせいか、韓国では、韓国語にも同じ表現があると思っている人が結構います。でも、韓国語辞典に『文武両道』は載っていません。結構前に確認したもので、今は分かりませんが。

どうしても併合など、歴史上の朝鮮を『正しい存在』としたいなら、それはそれで矛盾でしょう。その正しさを追求したせいで国がダメになったなら、それは、もうそこに住む人たちにとって正しいものではないはずです。今の日韓関係で必要とされているものは、正しさへの主観的な拘りではなく、近代国家においての普遍的な価値観である、『国家間の約束を守ること』ではないでしょうか。

 

 

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