言葉の話・・新聞記事やビジネスのメールにネット用語を使う人が多すぎる

私が子供だった頃、韓国では「無分別な外国語使用を控えましょう」というキャンペーンがありました。キャンペーンという言葉は適切ではないかもしれません。「常時」ありましたから。子供用の新聞、雑誌にも定番で載っていました。

今思えば、外国語と外来語の区別もよくわからなかった頃なのに、よくもそんなものが載っていたな・・としか。そもそも、日本ほど「外来語」の設定がちゃんとしていないから、でしょうか。とにかく外国語っぽく聞こえるものは出来るかぎり控えよう、というものでした。理由は簡単で、『美しいハングルを守るため』『私たちの正体性(アイデンティティー)を守るため』、そんなところでした。

でも、不思議なことに、それから外国語が消えた実感はありませんが、漢字表記は確実に消えました。当時から漢字教育を無くすという話はあったけど、漢字を使うことに文句を言う人はいませんでしたし、むしろ、漢字が書ける人は教養がある人とするイメージがありました。新聞にもハングル・漢字の併記が多かったと記憶しています。

 

今朝、ニュースをチェックしていたら、とある会社の賃金が大幅に上がったという内容のニュースに「カムノル」という単語がありました。多少強引に日本語訳するなら、「びっくどいた」ぐらいになるのでしょうか。ある程度は分かっていたものの、もしやと思って調べてみたら、やはり「カムチャクノルラッタ(びっくりおどろいた)」でした。ネットやSNSで使う言葉だそうです。どこだとは書きませんが、大手というほどではないけど、決してマイナーなところでもありません。本ブログでもよく引用してるメディアです。

この記事、このメディアだけでもありません。韓国の銀行側ともたまにメールのやり取りをしますが、なんでこんなに妙な言葉が多いのか。前にも紹介した『事物尊称』はともかくして、ネット用語が多すぎます。しかも、複数の絵文字が付いてきたりします。仲良しクラスメイトか!な感じのメールだったりします。

親しみを出すための今どきの方法で、ジェネレーションギャップによって私が『理解すべきなのに理解しないでいる』だけかもしれません。でも、どうしても違和感というか、不愉快さがあります。日本に来てから、似たような記事やメールから、ものすごい丁寧さ(記事の場合、内容の賛否とはまた別の意味で)を受け取っています。親しい仲の方とのメールでも、少なくとも仕事関連だと、そこには必ず丁寧さがあり、ほどよい心地よさが感じられます。そんな環境の中にいるから、でしょうか。

少しでも書きやすく(打ちやすく)するためにネットやSNSで使うなら分かりますけど、なんでこうも『それぞれの領域を区別しない(線を守らない)』言葉の使い方が流行っているのか。個人的には、「美しい」「アイデンティティー」どこいった、としか思えません。拙著(特に『日本語の行間』とか)や本ブログで書いてきた内容と組み合わせて考えてみると、社会的に『領域の区別』を無くしたがっているのではないか、そんな気もします。私もあなたもごちゃ混ぜになりましょうよ、これは親しみですよ、と。人類補完(韓?)計画もどき、を目指しているのかもしれません。

事物尊称に関する内容も書いたばかりですが、端的に『尊』を引き上げる、数を増やすからといって、言語体系が『尊』のほうに向かうわけではありません。むしろ、尊敬表現そのものが機能しなくなります。この『本当はネット用語を使うべき領域ではないのに、親しみという名分で使ってしまう』現象は、その逆かもしれません。『親』とうい名分のもとに、何もかも同格にしたがるわけです。でも、結果は同じです。言語システムが機能しなくなります。中心、ゼロ点がしっかりせず、片方にだけ端的に伸びるものは、いずれ中心を無くして倒れます。全てを巻き込みながら。ある意味、『公正』を不必要なほど求めている今の韓国社会そのものを見ているようだ・・と思ってしまうのは、単に私の心が曇っているからでしょうか。

 

最後に余談ですが、最近でもよくいます。日本語を学びながら、『オリンピック』が日本語(外来語)だということが理解できない人が。日本語を学ぶようになってから早い時期に出てくるのが、「次のカタカナ表記のうち、間違っているものを選びなさい」です。その中で特によく出てくるのが「オリンピック」です。Oly『m』picだから、「オリムピック」だと間違えやすいからです。すると、「なんで、オリンピックをオリムピックと書くと間違いだというのか。英語だからそれぐらいの表記の差は問題ないだろう」と文句を言う人、かならず出てきます。

 

 

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