尹錫悦 次期大統領、WPとのインタビュー内容・・クアッド参加関連で「まだ決定していない」に後退

尹錫悦(ユンソギョル)大統領が、ワシントン・ポストとインタビューした内容をまとめてみました。ただ、本エントリーのソース記事はWPではなく、アジア経済になるます。韓米関係を強く意識しているようで、日韓関係についても韓国の大統領にしては迂回的な表現になっていたりします。最近クアッド関連のエントリーが多かったためか、個人的に、クアッド参加に関する尹当選人のスタンスが『まだ決まっていない』に後退していることが真っ先に目に入りました。

さて、アジア経済がまとめた概要を引用(<<~>>部分)しますと、<<尹錫悦大統領当選者が14日(現地時間)、韓国が対北政策に集中した外交から抜け出し、経済的、文化的に位相(※地位)にふさわしい外交政策を強化し、米国とのより強力な同盟を追求しなければならないと強調した>>、です。ここでいう「対北政策に集中」は、文在寅大統領の対北政策のことです。北しか見ていない、とかよく言われましたから。

 

「韓国と米国は公式な地位の関係を維持してきたが、軍事・情報などにおいての実質的、緊密な議論は、弱くなった。韓米関係をもとにEU、アジア全域で外交の範囲を拡大しなければならない」とのことで、「世界10位の経済国家として韓国が海外公的開発援助(ODA)提供など国際社会に責任ある態度を見せなければならない」、などですが・・言っている内容が間違っているという意味ではありませんが、個人的に、本当にその必要性を論ずるというよりは、マニュアル的に『米国が喜びそうなこと』を言っている、そんな気がします。

実はこれ、尹当選人の大きな弱点でもありまして。「大まかにどういう方向性を取るのか」についてはかなりマニュアル的なスタンスを示します。でも、そのために相手側と調整したのか、何か具体的な案があるのか、そんな話になると、そこから話が進まなくなります。実際、日韓・米韓関係においても、同じことが起きています。もう少しひねくれた書き方をしますと、『李在明(イジェミョン)ではなく私が当選したから、相手は無条件で喜んで私を受け入れてくれるだろう』という考えが強い、とも言えます。

 

これは記事の日本関連部分でもそのまま現れていて、文政府のやり方が「韓国の企業と日本旅行を好む一般韓国人に良からぬ影響を及ぼした」、「日本、米国と調整する韓国の力を弱くした」としていますが、たしかにそういう側面もあるけど、核心はそこではないでしょう。日本が主張しているのは『両国間の外交正常化(基本条約)』そのものが揺らいでいることですが、尹当選人はまだその部分については何も言及していないし、具体的な動きについても何も言っていません。

ただ、彼は「韓国の大衆は、併合時代について衝撃的な記憶を持っており、ほとんどがその時代を経験したことはないが、『記憶』が親世代から続いている」、「韓国は日本との外交にその側面を政治的に利用してはならない」とし、韓国大統領(当選人)にしてはマイルドな表現をしています。ただ、韓国内では、ついこの前の教科書検定の件で、『日韓関係の改善は、日本が正しい認識を持つのが前提』と話したばかりです。ずいぶんと論調が違うな、と思いました。

 

そして、クアッド関連ですが、<<クアッド(Quad、米国・日本・オーストラリア・インド4カ国協議体)加入を推進するかどうかを決定する前に、韓国がワクチン流通や気候変動などのグローバルイシューを扱う実務グループを支援し、協力するという立場を明らかにした>>、とのことでして。いままでは、同じ趣旨を話しながらも、『加入を目指し』など、加入を前提としての協力だとするニュアンスでしたが、今回は『加入するかどうかを決める前に』となっています。最近の日米の反応を、やっと意識するようになったのでしょうか。しかし、実務グループ協力とやらも、『外部パートナーと協力するプログラムは用意していない』とされています。

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