次期外交部長官(外相)候補者であるパクジン議員が、またクアッドの重要性を強調しました。本題はちょっと後にして、状況説明からにします。
「クワッドは民主主義国家間の集まりで、インド・太平洋の平和と繁栄に寄与する協議体である」、「韓国はクワッドの正式会員ではないが、私たちが強みを持つ先端分野でクワッドと協力を拡大していくことが重要だ」、と。わざわざ取材陣に話したからには、長官になったら、これからの韓国外交部の主要な目標とする、ということでしょう。ソース記事は世界日報で、記事は「大統領職引受委員会などによると、尹錫悦(ユンソンニョル)政府は、ワーキンググループ(※ワクチン、環境問題などの対応)に参加して存在感を浮き彫りにした後、今後、加入国の同意を受けて正式会員として加入するという構想だ」としています。
ですが、ソース記事の趣旨はそちらではなく、「韓国が参加すると言って米国が同意すると、すぐ参加できると思っている人が多すぎる。実はそうでもない」です。本ブログも前に同じ趣旨を書いたことがあります。韓国メディアは、「尹氏が当選してから、もう米韓関係、日韓関係は、改善(?)へと向かうに決まっている」と思う側面が強い、と。珍しくその点を指摘する記事です。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・韓国が参加を希望しても、クワッド加入が何の問題もなく達成できるわけではない。(※米韓首脳会談で米国が同意したとしても)米国を除いたクワッド参加国である日本、インド、オーストラリアがどういう反応を示すかが不明な状況だからだ。イ・スフン韓国国防研究院先任研究院は最近、「韓国のクワッド参加時の考慮事項」報告書を通じ、「現在クワッドに参加するための特別な基準や手続きはないと把握される」としながらも、「ただ、既存参加国の全員同意が要求されることがある」と見通した。
特に日本の態度が、韓国クワッド加入の主な変数になるだろう。イ先任研究員は、「日本はこれまで参加国との訓練などをもとに、クワッド基盤を構築してきた。こうしたクワッドに、何の貢献もしていない韓国が参加することに対し、日本が同意する可能性はあまり無い」「現在の両国関係では、なおさらであろう」と予想した。
対外経済政策研究院のチェインア東南アジア大洋州チーム長は、13日、世宗研究所主催で開かれた「世宗国家戦略フォーラム」で、「韓国がクワッド加入を考慮する場合、韓日関係改善だけでなく、米国の同盟国ではなく、独自の外交路線に拘っているインドとの戦略的協力をさらに強化する必要がある」とも指摘した。一方、外交部は最近、「クワッド加入の推進については、ワクチン分野のワーキンググループに参加している現在の水準で気候変動、新技術などに拡大し、段階的な加入を推進しなければならない」というある経済団体アンケート調査の質問に関連して「韓国はワクチンをはじめとする気候変動・新技術ワーキンググループに全く参加していない」と明らかにした・・>>
記事を読んで真っ先に思ったのは、『いまさら、この話が出てくるか』です。尹当選人が公約としてクアッド加入(まず協力、それから正式加入)を言い出した時点で出てくるものでしょう、普通なら。尹氏の当選後、尹氏側もそうですが、各メディアは、もうクアッド加入は出来たようなものだと言っていました。ですが、日米からほぼ同時に『参加国を増やすことは想定されていない』『加入国以外が参加できるプログラムは用意されていない』などと言われて、そこから(13日の過去エントリーで紹介しましたが)『じゃオーカスがいい』という記事が出てくるようになって・・そして最近、またクアッド関連の話が出てくるようになりました。
なにせ、ソース記事のような内容の記事が載るほど、大勢の人が「加入は当たり前」と思っているわけですから・・困ったものです。そもそも、加入できるかどうか、の問題でしょうか。事前に日米側とこれといった調整もせず、『私がクアッドに参加すると言ったから、相手も喜ぶに決まっている。どうだ私って凄いだろう』な感じのスタンスでは、無理があるでしょう。例え加入できたとしても、うまく機能してくれるとも思えません。今回の制作協議団も、アポも取らずに『総理と会うことも含めて~』と言ってるわけですから・・記事引用部分でもシンクタンクの人が指摘していますが、まずは実績でしょう。『役に立つよ』という、認めてもらえる何かが必要です。
あと、尹錫悦当選人のカタカナ表記のことですが、日本政府が「ユンソンニョル」表記を使っているとのことで、本ブログもそう書くことにしました(楽韓WEBさんからの情報です)。拙著にもちょっと書きましたが、表記そのままにするとユン-ソグ-ヨルですが、韓国語読みの発音をカタカナ表記にするなら「ユン ソギョル」「ユンソンニョル」のどちらも可能です。個人的にはユンソギョルをお勧めしたいところですが。
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