韓国の大手週刊紙が、日韓通貨スワップの必要性と、そのために韓国の大統領が『決断』しなければならない、代表団1000人送ったところで意味ない、と主張しました。朝鮮日報の週刊紙『週刊朝鮮』の記事です。具体的に書いてあるわけではないので、ソース記事の『決断』が何を意味するのかは不確かですが、なんというか、『譲れ譲れ』と言っているような、そんな感じもします。そんな理由で譲ったところで、どうせ後になって『日本のお金の力に負けて~』とかそんな話になるだろうし、意味ないとは思いますが。
まず、記事は、政策協議団と会って、接見する間、岸田総理はまったく笑顔を見せなかったと言います。日露関係を戦後最悪と呼ばない日本が、日韓関係を戦後最悪と呼んでいる理由は、日韓関係が国家間の『法(条約、合意)』が崩れるピンチにあるからだ、とも。韓国側はこの問題を重く見ていないけど、国家間の法律に関する問題こそが、日本からすると『最悪』であるとの見方です。
通貨スワップの部分を引用する前にそれ以外の部分を簡単にまとめますと、記事は、この『戦後最悪』とする流れが、韓国に対して二つの問題を起こすとします。一つは、『法』を強調する日本の外交。いつからか日本が国際会議の演説や各国首脳との会談で話している『法の支配に基づいた~』という表現は、中国、ロシアだけではなく、実は韓国にも向けられた表現でもある、と。
そして、最近の日本が見せている全方位外交により、いまの日韓の間の懸案(記事の流れからして国家間の条約や合意に関するもの)は、両国間の問題ではなく、『韓国と国際社会』の間の問題として広がっていくだろう、というのです。もう一つは、経済的なもので、特に日韓通貨スワップの話を取り上げています。この部分は引用してみます。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・率直に、経済的観点から見ると、日本が日韓関係改善を急ぐ理由はない。人的交流もなく政治的にも冷たいままだが、経済的に見ると日本に有利だ。貿易収支だけではなく、所得収支(一次所得)を見てみよう。外国に対し、株式や投資で稼ぐお金のことだ。日本は毎年、全世界1、2位の所得収支黒字大国だ。2021年だけで約2000億ドルを株式や投資で稼いだ。韓国の所得収支は日本の10分の1水準に過ぎない。
昨年、日本の貿易赤字は約500億ドル程度だ。貿易収支が赤字でも、2000億ドルの所得収支があるから何とかなる国が、日本だ。円の通貨安と関連して不安な目で見る人も多いが、外国から稼いでくる2000億ドルの所得収支を考慮すれば、大して心配する理由はない。通貨安が問題ではなく、『急な』通貨安が問題なだけだ・・
・・日本は、近いうちに、韓国が通貨スワップを取り上げるだろうと見ている。米国の金利が引き続き上昇し、世界のドルが米国に引き込まれていく。韓国は最も影響を受ける国の一つだ。流動性縮小に乗り出す米国が、韓米通貨スワップに応じるはずはない。結論は、韓日通貨スワップだ。韓日通貨スワップ700億ドルは2012年10月に終了した。釜山日本領事館前のイ○ンフ像が原因となった。
苦痛を伴う認識だろうけど、戦後最悪の韓日関係にもかかわらず、貿易・金融分野での日本側の被害はそう無い。韓日問題の最終結論は、大統領の決断と犠牲に集約される。代表団を1000人、1000万人送るより、大統領の決断と犠牲がより重要だ。戦後最悪の状況が長くなるほど、韓国が不利になる>>
この記事だけでもありませんが、なんでこう、『国家間の約束を守るから、何かくれ』という主張が多いのでしょうか。条約や合意、いわゆる『国家間の約束』を守ることは、基本の中の基本であり、それをやったからって何か追加で得をする、そんな概念ではありません。いま韓国側が決断すべきは、その『基本』を立て直すことでありましょう。それは基本の中の基本であり、国家としての義務とも言えます。
国家間の約束を守ることで、プラスアルファを得るという考えは、ただの甘えです。特にこの場合、韓国側が何かプラスアルファを得るなら、それは「問題を起こした方が得をする」結果になってしまいます。そんな甘えに応じる理由は、ありません。余談ですが、過去エントリーでも似たような主張(通貨スワップではありませんが、日本と韓国の通貨安は決して同じではないとする主張)を紹介したことがあるので、参考にしてください。韓国の場合は外国資金の離脱があるので、日本とはリスクのレベルが違う、という内容でした。
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