THAAD追加配置、事実上の撤回か・・米国側の専門家『選挙運動の時と話が違う。一貫したスタンスを示さないと、中国の介入を招くことになる』

尹錫悦(ユンソンニョル)氏の大統領職引受委員会が、『110大国政課題』を発表しました。いろいろ書いてありますが、選挙運動中に尹候補が公約していたいくつかの内容が含まれていません。聯合ニュースによると、若い人たちがかなり強く支持していた「女性家族部廃止」に関する内容も入ってないし、クアッド加入を目指すという内容もありません。

THAAD追加配置が「事実上、撤回されたのではないか」と言われている中、米国側の関係者たちから懸念の声が出ています。ここからはニューシースの記事になりますが、『いまのようでは、しばらくは推進できそうにない』と話している、とのことでして。「既存のTHAADがちゃんと正常運用できるようになってから」という趣旨ですが、それをいつまでやるのか、そんなことは言及していません。記事は『追加配置を推進しないと明示したものだ』としています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<尹錫悦当選人は大統領選挙中、公約としてTHAAD(高高度ミサイル防御体系)追加配置を提示していたが、大統領職引受委員会はこれを国政課題に入れなかった。これをめぐって、米国の一部から懸念の声が出ている。大統領候補だった頃、尹当選人はミサイル防御能力強化を国防分野の公約とし、THAAD追加配置の必要性を強調した。しかし、3日発表された引受委員会の国政課題(※110項目)には、THAAD追加配置は含まれていなかった。

委員会は、追加配置を推進しないと明示した。大統領室国家安保室第一次長内定者である引受委員会のキムテヒョ外交安保分科引受委員は、質疑応答で、「THAAD追加配置については、慎重基調を続けていくと考えればいい」とし、「すでに配置されているTHAADシステムも正常に動作していない。これを回復し、正しく動作させるのにも時間がかかる」と答えた。

尹政権がTHAAD追加配置しないと明らかにしたことで、米国の一部からは懸念する声が出た。文在寅政権に続き、中国の反発を懸念して躊躇するような姿を見て、米国内の専門家たちは不愉快な心境を表している・・>>

 

例えば、ビクター・チャCSIS副所長は、「選挙運動で明らかにしたものと、一貫したメッセージを維持することが重要だ。選挙運動期間中には、尹当選人は、『国家安全保障問題であり、中国の承認が必要な問題ではない』と明らかにしていた。次期政権のこのような立場が揺れるなら、中国は韓国の意思決定に影響を及ぼそうとするだろう。一貫したスタンスを示してこそ、中国は例え気に入らない内容でも、それを認めるだろう」と指摘しました。

エヴァンス・リヴィア氏は「米国が韓国を防御する義務を果たすためには、米国のミサイル防衛施設が韓国で正常に作動できるよう、韓国が保障しなければならない」と話しました。ヘリテージ財団のブルース・クリンナー研究員は、「韓国は中国を考慮するしかないという指摘もあるが、独裁政権の経済的報復を恐れて、主権と国家安全保障、民主主義の原則を廃棄してもいいはずがない」、と。

 

これで、よくも『バイデンが日本より先に来る』と喜んでいられるものですね。せめて既存THAAD基地の正常化を「~年~月『まで』成し遂げる」とちゃんと言うなら、それなりに評価できますし、そういう内容を米韓首脳会談の後に両国首脳が一緒に発表できるなら、かなりの『アピール』になれると思いますが・・いまのところ、そういう気配はありません。

いま尹政権にあるのは、『前任者が文大統領だから』という、メリットかデメリットかよく分からない概念だけではないでしょうか。李明博・朴槿恵政権を合わせて「イミョンバクネ」と呼んだりしますが・・さて、ムン+ユンで「ミュン」政権なるか。それともこれから本気出して立派な進展を見せるのか。これから注目したいと思います(現状、棒読み)

 

 

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