韓国紙「日本と協力しないと、日米の『経済安保』に韓国が参加できなくなる恐れがある」

日本に比べて、韓国では『経済安保』という言葉があまり目につきません。記事になってないという意味ではありません。ただ、さほど話題になりません。

韓国側のネットで、コメント、掲示場などを適当に読んでみても、単に『経済と安保(別々に考えての概念)』だと考えているのか、経済は中国、安保は米国でいいじゃないか、そんな内容のものが少なくありません。たまには、ちゃんとしたマスコミの記事にもそんな書き方があって、困ったものです。

そもそも、経済安保という言葉って、韓国と相性がよくない存在ですから。例の戦略的曖昧さ(どちらかを決めないことで、経済は中国、安保は米国から得だけをしようとする)が、韓国の基本路線ですから。もちろん、右寄りメディアを中心には、ちゃんと現状を把握した主張も載ってはいます。いわゆる『戦略的曖昧さ』をやめて、もっと自由民主主義陣営を足並みを揃えよう、と。

そんな中、経済安保という側面で、日本と協力しないとうまくいかない、という記事がありました。普通に日本と強力しないと困る分野はいくらでもあるし、日米の共助が強くなっている今、韓国が蚊帳の外にされる恐れがある、というのです。ソウル経済の記事ですが、特に、「もう、単純に同盟なのかどうかではなく、『国家間の連合で出来た枠組み』の内側にある国と、外側にある国に分かれる情勢になっている」という指摘には、説得力がありました。記事には北朝鮮問題とかいろいろ書いてありますが、経済安保関連の部分だけ、引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が韓日関係復元を核心外交課題の一つとして提示したのは、急変する経済環境の中、日韓間の協力がこれまで以上に重要になったためだ・・・・(※IPEFやCPTPPなどに韓国が参加すると、という内容の後に)韓国はIPEFが扱うデジタル・サプライチェーン・気候・エネルギーなど多方面で日本と協力しなければならないと思われる。韓国政府が加入を進めているCPTPPも同様だ。CPTPPは、アジア太平洋地域の関税撤廃および経済統合を目指す経済協議体で、日本が主導している。これにより、尹錫悦政権は日本と協力、韓米日三角共助に忠実に取り組むべきだ、という意見が主流だ。

イウォンドク国民大学日本学科教授は「韓日が懸案を乗り越えて経済的に協力し、韓日・韓米日が安保協力を強化しなければならないことに、基本的に反対する人はいないだろう」と話した。チェウンミ牙山政策研究院研究委員も、「中国のことで懸念もあるが、だからといって何もしないわけにもいかない、世界的な流れがそうなった」とし「特に日米安全保障協力が、経済安全保障面で強化されていることを考慮しなければならない」と話した。これに先立ち、日本は今年1月、米国と外交・国防長官(2+2)協議から更に進んで外交・経済長官(2+2)協議を新設することに合意した。

チェ教授は「このような日米の共助の流れの中、韓国だけが取り残されると、さらに不利になる可能性がある」とし、「今は、同盟より、連合戦線を形成する側の内に入れた側と、外にある側が互いに対立するしかなくなった。強力できる国々と力を合わせることが必要だ」と強調した。続いて「韓日が互いに行っている輸出管理厳格化を一日でも早く撤回しなければならない」と付け加えた・・>>

 

簡単に言うと、日米強力に入るためにも、日本との懸案をなんとかしろ、という趣旨です。今からでも自由民主主義側に立つなら、それはそれでいいかもしれませんが・・この記事もそうですが、いつものこと、具体的に「そのためにはどうすればいいのか」については何も書いてません。少なくとも日本との協力を考えるなら、韓国が具体的にやることは一つ、『国家間の約束を守る』ことでしょう。それでこそ、第一歩となります。

その第一歩は、今の尹政権としては、とてもできそうにありません(これは尹大統領の個人的な能力の問題でもありません)。もし、万が一、韓国が「解決策を用意する(問題解決の責任が韓国にあると認める)」ことがあっても、それで何かの得をするという考えは捨てたほうがいいでしょう。

この記事もそうですが、なんで「プラマイゼロに戻すだけのこと」で得ができると思っているのか、不思議です。国家間の約束を守ることは基本の中の基本であり、それはプラマイゼロです。それで何かのプラスを得るなんて、『問題を起こしたほうが最終的には得をした』という、謎の結果にしかなりません。

 

 

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