韓国のIPEF参加が確定した、と報じられています。以下、各紙、<<~>>が引用部分です。
<<米国商務省がバイデン大統領の日韓訪問期間中に中国牽制のための「インド太平洋経済フレームワーク」(IPEF)発足を宣言すると、17日(現地時間)公式確認した。 これまで中国との関係を気にする国が多く、ちゃんとスタートできるのかという懸念もあったIPEF参加対象12カ国が、何度もホワイトハウス主宰のオンライン会議を繰り返し、「先に発表・後で交渉」原則に合意した結果だ・・(ソウル新聞)>>。
で、その中に韓国も入っている、とのことでして。前にも書いたことがありますが、クアッドやオーカスなどに参加できるかどうか分からない現状、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は支持層に対して「米国の『枠組み』に入った」をアピールする必要があります。その『枠』の中で、米国が韓国の参加を提案したのはIPEFだけです。尹大統領としては、国内・国外的にも、選択はすでに決まっていたのでしょう。
米国としても、バイデン大統領が日韓を訪問、クアッド首脳会談に参加する過程で「IPEFが始まる」と公式に発表できます。なんだかんだで、もっとも重要視されるのは中国への牽制になるでしょうし、こういう具体的な発表ができるのは、少なくとも形的には有効でしょう。交渉が終わってないという部分が気になりますが。
韓国側のメディアも、概ね好意的にこの件を伝えていますが・・「他に選択がない。これでいい」という主著うと、「中国関連で、大丈夫なのか」という主張に分かれています。IPEF関連発表の前から、今まで韓国メディアの記事は、大まかにこの二つに分かれていました。ソウル経済(4月12日)は「他に選択がない」、「韓国の場合、日本とは違い、『代替』できる」としながら、こんなデータを示しています。
<<・・韓国半導体には高性能の装備が必須だ。 安保有望技術センター(CSET)によると、米国企業は半導体蒸着関連機器の63.8%を占めている。 エッチング(53.1%)、工程制御(71.2%)、機械研磨(67.5%)、イオン注入(90.4%)などで圧倒的な占有率を誇る。米国の全体半導体装置市場全体のシェアは41.7%に達し、日本が31.1%だ。 一方、韓国のグローバル半導体機器市場シェアは2.2%に過ぎない。 何より、DRAM市場は米国のマイクロンが20%ほどのシェアでグローバル3位を維持中で、NANDフラッシュ市場はサムスン電子とSKハイニックスの他にも、日本のキオクシアとマイクロンなど、代替できる会社が多い。各国が共助して韓国の半導体を牽制すると、韓国企業としては防御することができない・・>>
中国関連ではいつものこと、何かの措置で韓国を困らせるのではないのか、という主張です。これはIPEF関連記事ではなく、韓国の中国輸出関連のデータを載せた記事(デイリアン)ですが、韓国の輸出は金額ベースで30%が中国への輸出であり、その30%は半導体関連です。韓国銀行によると、韓国の対中半導体輸出は、対中輸出(金額ベース、2020年)の31.2%だそうです。半導体製造用機器など関連資本材を含めると33.9%に達する、とも。ここに香港を含めると、40.5%。記事は、「輸出だけでなく、韓国企業の多くは中国に生産設備を置いている。中国内のサプライチェーンに問題が発生すると、その影響を特に強く受けるしかない」としています。
そんな影響もあるのでしょうか。最初のソース記事(ソウル新聞)の最後に、こう書いてあります。「韓国政府はこれまでIPEF参加にもかかわらず、貿易など中国と密接な関係は勘案されなければならないという点を、バイデン政権に持続的に伝達したことが分かった」、と。ちょうど17日にエントリーした内容に、専門家が同じ趣旨を話す記事がありました。ヨンウォンホ 対外経済政策研究院経済安全保障チーム長の主張で、「中国との経済関係とかサプライチェーン協力が重要だと思うなら、(※IPEF参加を)協議する過程で、私たちの意思が多く反映されるようにすれば、あえて中国がこれに反対する状況は起きないでしょう」、というものでした。まさか政府レベルで同じことをしていたとは。大丈夫でしょうか、これ。
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