バイデン大統領、今日、韓国を訪問・・私見をまとめてみました

今日、バイデン大統領が韓国を訪問します。明日は米韓首脳会談が開かれますが、いまのところまだIPEF以外の話は無く、『サプライズ』があるのかどうか、注目されます。ブログ更新的にも。

さて、個人的な見方ではありますが・・尹錫悦(ユンソンニョル)政権としては、今回の首脳会談で、「もらえるものはもらうけど」、「その代価として『中国関連』の話は出来るかぎりせず」、「『北朝鮮』関連の話で、韓国が米国の見方であるとアピールする」路線を取るのではないか、私はそう見ています。

こんな見方をする論拠は、3つあります。「心が曇っているから」、「北朝鮮問題は国内支持層の結集に効果があるから」、「日本より優位に立てる案件だから」です。IPEF関連でさえ「中国との関係を考えてほしい」と主張してきたという報道(過去エントリー)からも分かりますが、尹政権としては、中国関連の話が出てくると負担になります。しかし、北朝鮮関連だと、そうではありません。

 

北問題は国内支持層の結集に効果があるし(いわゆる『北風』効果)、韓国は、北朝鮮より中国を恐れています。北朝鮮の場合、韓国に実害を及ぼすことはないと思っているからです(安易な考えですが)。また、北朝鮮特化と言われている米韓同盟があり、尹政権は、これは日本よりも韓国が「優位に立てる」案件だと思っています。また、これで米国に『韓国は味方だ』という点をアピールできるとも考えているわけです。

実際、韓国では、米韓首脳会談関連で様々な予想が出ていますが、それらの記事は、意外なほど「中国関連」を取り上げていません。まったく書いてないわけではありませんが、ほとんどは「中国の反発も考えないといけない」といういつもの書き方で、それ以上のものは(私が読んだ記事の中には)ありませんでした。

ある意味、日韓関係において「改善しないといけない」としながらも、具体的にどうすればいいのかは書かない(書けない)記事が溢れていますが、それと似ています。「~しないといけない」けど、具体的にどうすればいいかは分からない、といったところです。

 

逆に、北朝鮮問題に関しては記事が増えています。私見ですが、尹政権がバイデン大統領に『示す』ことができる、もっとも分かりやすい部門だから、ではないでしょうか。例えばノーカットニュース(CBS)は、『北朝鮮問題は核心議題になる』としながら、「北朝鮮問題が核心議題の一つになる」「ユン大統領は前任者の文在寅大統領より強硬な対北朝鮮路線を取ると示唆しており、バイデン大統領に助けを要請するとみられるとロイターは分析した」などと伝えていますが、この記事の題は『バイデンは尹にどんなプレゼントをくれるのだろうか』です。北朝鮮関連で協力することで、プラスアルファが得られるという考えがバレバレです。

しかし、今回のバイデン大統領の訪韓は、もちろん北朝鮮関連も重要ではあるでしょうけど、メインは中国です。その象徴的な出来事が二つありました。一つは、文在寅前大統領との会談が無くなったことです。一部のメディアは『そもそも会うという話も無かった』としていますが、京郷新聞などは、『任期が終わる前に(選挙戦略も兼ねて)米韓首脳会談を進めていた文政権に、『訪韓の際に会いましょう』と米国側が先にこの件を話した、と報じています。それからも定期的にこの話を確認した、とも。

 

この話がキャンセルになった理由は、元統一部長官などが『文前大統領を、対北朝鮮特使にするためだ』という話を持ち出したからだ、というのが京郷新聞など複数のメディアの分析です。文政権当時の大統領府関係者たちの話だと、『会談の話はあったけど、特使なんて聞いたことない』とのことでして。北朝鮮に『誤ったメッセージ』を与えてしまう恐れがあり、それで会談がキャンセルになったわけです。この話が本当なら、米国側は北朝鮮関連は『現状維持』で特に問題ないと思っている、ということになります。

もう一つは、バイデン氏のDMZ訪問がキャンセルされ、サムスンの半導体工場を訪れることになったことです。これは、『北朝鮮問題より、中国牽制を優先するという象徴的な案件だ』と言われています。面白い(面白くないけど)のは、この件を取り上げる韓国メディアのスタンスです。例えば聯合ニュースの場合、DMZ訪問が報じられたときには、「米大統領のDMZ訪問は北朝鮮に対するメッセージになってきた」と大きく取り上げ、歴代米国大統領のDMZ訪問記録までスクープしたりしました。しかし、今回、DMZには行かないと分かると、「単なる軍事同盟ではなく、一段とレベルアップしたという意味だ」と手のひらを変えています。

 

米韓首脳会談が、『表面的に』失敗したことは一度もありません。文大統領の頃にも、表面的には大きな成功とされ、「『包容的(寛容な、中国を牽制するためのものではない、の意味)』自由で開かれたインド太平洋」表記、ワクチン提供など、米国側は韓国の要求を受け入れました。しかし、それからの米韓関係を見ると、その会談は無意味なものでした。米国の怖いところでもあります。

今回、米国が要求するのは、『対中』です。尹政権はそれに対し、どこまで応じることが出来るのでしょうか。これまた個人的な話ですが、『台湾関連の言及があるのかどうか(文大統領の頃にもありました)』、『包容的な~の表記がが消えるかどうか』、そして、『THAADまたはミサイル防衛システム関連で何かの動きがあるのか』に注目したいところです。日米首脳会談では、アルテミス計画、及び衛星関連の話に興味があります。ロマンある話でもありますが、場合によってはなにより強力な対中牽制になる分野でもありますから。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

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エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

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