IAEAのラファエルグロッシ氏が来日し、処理水の放流準備が「期待以上に進んでいる」と話すなど、処理水放流はもう既成事実となりました。
そんな中、時事通信が『尹錫悦(ユンソンニョル)政権は、処理水の放流それ自体には反対しない』という『趣旨』の記事を載せ、韓国では大きな騒ぎになりました。時事通信の該当記事(だと思われる記事)によると、韓国外交部関係者は18日、処理水海洋放出に関連し「客観的、科学的な観点から、安全で国際法と国際基準に合致した方式で処理されるよう、必要な対応に最善を尽くす」と話しました。そして、「文在寅政権では海洋放出そのものに反対する姿勢だったが、(※尹政権の)外交部関係者は、放出を前提に日本側と協議を続けていく考えを示した」としています。
記事はこのことで、『対応が軟化した』(笑)としており、確かに表現が文政権のときに比べるとずいぶんと柔らかくなりました。でも、これを『放流に反対しない』とするには・・ちょっとどうかな、という気もします。とにかく、この記事が今朝あたりから韓国でも報じられるようになって、「反対しないと言った!」な感じで広がりました。・・なんというか、実際はそこまでは言ってませんけど。そこで、ニュース1によると、韓国外交部が声明を出しました。『日本側の恣意的な報道に過ぎない』というのです。でも、『反対する』という単語は出て来ませんでした。以下、該当記事から引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<外交部は、日本のメディアが処理水海洋洋放出を「韓国は反対しない」という趣旨で報道したことについて、19日、「恣意的な解釈」に過ぎないと一蹴した。外交部当局者はこの日、「福島原発処理水は、国民の健康・安全に関する事案であるだけに、政府はこれを厳重に認識している」と述べた。
当局者は「これまで韓国政府は一貫して国際法・基準に適合し、人と環境に危害を及ぼさない安全な方法で処分されなければならないと強調してきた」、「政府は今後もこの問題について国民健康・ 安全を最優先に積極的に対応していく」と話した・・>>
繰り返しになりますが、「反対する」とは言っていません。これだけだと明らかに『柔らかく』なったと言えなくもない気もします。もっと率直に書くと、それすらも不愉快に聞こえる今日この頃です。処理水はともかく、東京オリンピックのときの韓国内の反応を思い出すと、もう本当に不愉快な感情以外は何も出てきそうにありません。
それに、もしこれを「柔らかくなった」としても、どうせバイデン大統領の訪韓などを意識したからでしょう。米国側は、処理水の海洋放流にも基本的に賛成していますし、尹政権としても、このタイミングで日本側を刺激したくはなかったのでしょうから。CPTPPのことまで考えて、とりあえず表現を変えた、と思うこともできます。
この件について尹政権がどんなスタンスを取るのか、『今年中には』正式に日本側に通知する、としています。来年の春頃から放流が始まる見込みだからです。中央日報(3月29日)は『処理水、前政権の基調を維持、強力に対応』という題の記事で、『正式方針は、遅くても今年中には日本に伝える予定』よしながら、大統領職引受委員会関係者の言葉を引用し、このように報じています。
<<・・「日本産水産物の輸入など、福島処理水放出関連内容の報告を受けた」とし「現政府の政策を土台にし、今後の政府の政策方向を検討する」と明らかにした。ユン当選者は候補当時「国民が水産物を安心して消費できるようにしなければならない」と公約した。
外交部もまた、対日外交政策の方向を伝えた。政府関係者は、「次期政府で日韓関係が改善される見通しがあるが、福島処理水問題だけは国民的懸念が大きい事案であるだけに、政府の基調に変化は無いだろう」とし「現政権(※文政権)が出した遺憾表明と、レベルや表現に違いはあるかもしれないが、立場は次の政府(※尹政権)も同じだ」と伝えた・・>>
さて、どうでしょう。いまのところは、まだ、『柔らかくなった』と言うには、時期尚早でしょう。なにより、国内世論を考えると、まず『反対しない』と公言するのは無理です。どんなスタンスを日本側に伝えるのか、伝える気はあるのか、まったく期待せずに注目したいと思います(曇る
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