昨日あたりから、2015年の日韓合意がまた話題になっています。今まで、正義連と尹美香(ユンミヒャン)当時正義連代表は、合意内容を事前に知らなかったと主張してきました。しかし、ちゃんと事前に説明した、という内容の文書が公開されました。ノーカットニュースによると、事前に説明したとされる内容には、例のイ◯ンフ像の撤去に関する内容も含まれている、とのことです。
「これ(事前説明)には、日韓合意の代表的毒素条項である、像の撤去などの問題も含まれたことが分かった」、「しかし、ユン・ミヒャン議員は、像の件はもちろん、最終的及び不可逆的解決、国際社会で相互非難自制などについては全く説明を受けたことがないと反論している」、と(該当記事より)。
外交部の関連文書の一部が裁判所の決定で公開されたわけですが、全体が公開されたわけではない(裁判所が公開を命じた部分『だけ』の公開なので、文書の多くの部分が黒く塗りつぶされています)ものの、公開された部分だけだと、尹氏は明らかに嘘をついていたことになります。ちなみに、外交部関係者たちは前から「ちゃんと事前に説明した」と話してきました。
ですが、先の記事にも書いてありましたが、尹美香氏及び正義連側は、「外交部は、日本側の『責任を痛感』『総理が謝◯と◯省』『10億円』の3つの部分だけ事前に説明し、他の内容は話さなかった」としています。他の部分、例えば日本大使館前のイ◯ンフ像の撤去などについては、説明を聞いたことがない、公開するなら全部公開しろ、と主張しています。
さて、どうでしょう。結論から書きますと、私は『両方』ともに疑わしい、と思っています。公開された部分の情報だけだと、事前説明したという外交部の説明が、事実である可能性が高いでしょう。しかし、尹氏と正義連側が主張している、「外交部は、『反対されそうなこと』は事前に説明しなかった」とする内容も、ある程度は本当ではないだろうか、と見ています。いわば、嘘VS嘘ではないだろうか、と。
以下、自分がそう思う論拠を書いてみたいと思いますが、だからといって正義連を弁護する気などまったくありません。私は、『どっちもどっち』という考え方は好きではありませんが、この場合はどうしても『両方に問題がある』としか思えないわけでして。以下、『像の撤去(当時の韓国側の報道では『移転』でしたが)』に関して、韓国外交部がどんなスタンスを示していたのか、まとめてみます。
まず、2015年12月26日、日韓合意が行われたのが12月28日なので、合意の二日前となります。読売新聞は韓国政府関係者の言葉として、「韓国政府は、像を移転する方向に関連市民団体を説得する見通しだ」と報道しました。その件で、韓国政府(外交部)はフェイスブック版HPに、「そんなことない」との主張を掲載します。ですが、2015年12月29日にヘラルド経済が確認してみたところ、この主張は削除されていた、とのことでして。26日だと、日韓合意の2日前です。像の撤去(記事で言う『移転』)も、すでに決まっていた、またはほぼ決まっていたと見るべきでしょう。
そんな時点で、不利な内容だからって「移転しない」と嘘をついて、28日に合意して、29日にはその「嘘」をこっそり消したわけです。こんな外交部が、本当に市民団体相手にちゃんと説明したのだろうか。私には、とてもそうは思えません。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<外交部が駐韓日本大使館の前に設置された像の移転問題について、政府が関与することができず、民間が自発的に決定する事案だと主張したSNSの投稿を削除したことが確認された。29日午後、外交部フェイスブックのホームページを確認した結果、該当の投稿文は、外交部のFacebookホームページで確認できない。削除された文で、外交部は、「民間で自発的に設置したものなので、政府がこうしろ、ああしろと言える事案ではない」とし、
「不確かな報道が日本メディアから出てくるのは、韓国の世論を刺激するだけでなく、交渉に臨む日本側の姿勢の真正性に疑問を持たせるだけだ」と強力に反発した。続いて「外交部東北アジア局長は12月26日、駐韓日本大使館の上級関係者を呼び、日本側から出てくるこのようなとんでもない報道の問題点を指摘、強く抗議し、再発防止を厳重に促した」と明らかにしていた・・>>
繰り返しになりますが、正義連を擁護する気など、毛頭ありません。ただ、「事前に説明など聞いていない」とする正義連も、「ちゃんと事前に説明した」とする外交部も、あやしすぎで話にならない、と思っているだけです。それに、ここで一つ忘れてはならない点は、いったん国家間で合意をしたからには、「韓国内の市民団体が何を言おうと、それは韓国政府の問題」である、ということです。
韓国では、日韓合意について、(昨日のエントリーにもありましたが)日本のせいだとか、様々な言い訳が存在しますが、外交部関係者たちを中心に、「市民団体のせいだ」とする主張もあります。朴槿恵政権は頑張ったのに、市民団体が問題だ、というのです。百歩譲って、民間の学者などがそう言うならまだほんんんんんの少し分かるとしても、政府(外交部)がそれを言ってはだめでしょう。ゴ◯を掃除ずべき立場の人が、「掃除すると約束して給料ももらったけど、◯ミがあって掃除できなかったよ」と言っているようなものです。
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