日米・米韓首脳会談がまだまだ話題だった25日、韓国の海洋水産部長官が、またもや「CPTPPには加入するけど、(福島など)水産物に対する措置は解除しない」と発言しました。前にも過去エントリーで取り上げたことがありますが、処理水放流関連は、尹錫悦(ユンソンニョル)政権が「前の政権の方針をそのまま受け継ぐ」としている、ほぼ唯一の案件でもあります。
水産物関連も、処理水放流と繋がっているからか、政権が変わって長官が変わってもこれといった路線変更はありませんでした。前の政権(文政権)から同じ主張をしていましたし、今の海洋水産部長官も就任前に同じ趣旨の発言をしたことがありますが、就任してからだと初めての発言となります。
ここまでは、いままでと同じですが・・すぐその翌日、日本から『返事』はありました。26日、日本の松野官房長官が、「韓国の措置は科学的なものではない」とする趣旨を話し、CPTPPのことで「CPTPPのレベルは高い」、「(新しく加入を希望する国が)CPTPPの基準を満たすことが出来るのか、見守るとしよう」と話しました。内容もそうですがタイミング的に、悪くない形です。
ご存知、同じくCPTPP加入を希望している台湾とイギリスが、関連措置の大幅な解除を実施したばかりで、台湾、イギリスの件は韓国でも結構大きく報じられました。韓国の一部のメディアは、『ついに来たか(うわあぁぁ)』という反応を示しています。例えば、YTNは「日本政府が、韓国のCPTPP加入条件の一つとして、輸入禁止撤回を提示したのだ」と報じています。以下、聯合ニュースから海洋水産部の発言を、続けてYTNから松野官房長官の発言を、引用してみます。各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<ジョスンファン海洋水産部長官は、25日、政府が加入を進めている環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)と関連し、「協定に加入しても、国民の健康と安全のために、日本の福島産水産物を輸入しないという既存の立場は変わらない」と明らかにした。
ジョ長官はこの日、政府世宗庁舎で開かれた出入記者団昼食懇談会で、「CPTPP加入が、国益のために仕方なくやらなければならないという政府の立場は理解できる」としながら、このように言った。彼は引き続き「福島産水産物の輸入については、断固として国民の安全・健康が重要だという考えだ」とし「漁民が受ける被害に対しては十分に補償する」と付け加えた・・(25日、聯合ニュース)>>
<<日本政府が、韓国に対して、福島産水産物輸入規制を早期に撤廃することを重ね要求しました。日本政府のスポークスマンである松野官房長官は、定例記者会見で、福島水産物の輸入禁止を続けている韓国について、「複数の機会を通じて、日本産食品の安全性を科学的根拠に基づいて説明してきた」と明らかにしました。続いて「日本産食品の輸入規制撤廃は、政府の最大の課題」とし「韓国にも、輸入規制の早期撤廃を強く求めていく」と述べました。
また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、CPTPP加入を韓国が推進することについて、この協定は「市場アプローチという側面でも、規定の側面でも、レベルが高い」とし、「新規加入に関心を示す国が、こうした高い基準を完全に満たす準備ができているかどうか、見守るとしよう」と述べました。今回の発言により、CPTPPを主導している日本が、福島産水産物の輸入再開を、事実上、協定加入の前提条件としていることが明らかになったと解釈されます・・(26日、YTN)>>
他はともかく、東京オリンピックのとき、韓国側が福島、いや日本の心を踏みにじったことを考えると、もはやこの件は論ずること自体が不愉快です。そもそも、輸入禁止の発表そのものが、東京オリンピック開催都市を決める直前のことでした。しかも、2013年9月30日の聯合ニュースによると、当時の海洋水産部長官本人が、『食品医薬品安全処のデータでは、該当水産物に問題が無かった』ということを、『それでも私が輸入禁止した!』と、まるで武勇伝のように話しています。
数年前までよく引用していた記事ですが、今日、久しぶりにまた紹介します。記事によると、当時、本ブログで『大物(思わしくない意味で)長官』とよく書いていたユン・ジンスク海洋水産部長官は、こう話しています。「日本が◯◯水(※処理水)を外に流すとは思わなかった。あのような、道徳的になっていない子供どもを相手に、外交でカバーしないといけないのか。そんな気もするし、どうせなら早めにと思って、(輸入禁止措置を)やった」、「食薬処(食品医薬安全処)は、『データに異常がないのにどうするんですか』という立場だったが、このままでは私たちの漁師たちが苦しいだろうなと考え、強くドライブをかけた(※輸入禁止にした)わけだ」。スタートからしてこれですから、『科学的』という基準が通じるわけないでしょう。
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