韓国紙「バイデン氏の台湾発言は、決してミスではない。そしてそれは、日本の主張と一致する」

バイデン大統領が日本で話した「台湾の有事の際、米国が軍事的に介入する」発言。韓国の一部の(本当に一部ですが)専門家たちは、この発言に、韓国はもっと危機感を持つべきだと指摘しています。ソース記事であるソウル経済もその一つで、また、このバイデン大統領の発言は、日本、特に安倍晋三元総理の考えと完全に一致している、とも。読み方にもよりますが、「日本が米国を動かした」というニュアンスでもあります。

バイデン大統領の発言は、後でホワイトハウスが火消ししたではないか、という話もありますが、実は、同じ意味の発言が、もう3回目です。2021年8月ABC放送、同年10月CNNでも同じことを言った、とのことでして(この部分は朝鮮日報です)。もちろんその際にも、「政策が変わった」という発表はなかったものの、ブルームバーグのコラムニスト ハル・ブランズさんは、「1回だけなら『ミス』だが、3回続くならもう『政策』だ」と、かなり的確な表現で指摘しています。

最近、一部のメディアが、米韓首脳会談や共同声明関連で、特に日本と比べながら、「あれ?思ったほど得が無くない?」「日本のほうがずっと良くない?」な趣旨の記事を載せています。中には、米韓同盟アップグレードとか言ってないで、情勢の変化に付いていく準備は出来ているのか、そんな指摘もありまし。ソース記事も、同じ趣旨のものでしょう。でも、また最後の部分に書きますが、今の韓国側の認識では、無理ではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・インド太平洋戦略の設計者である安倍晋三元日本首相は、米国が台湾に対する「戦略的曖昧さ」をもう終えなければならない時が来たと主張する。彼は日米首脳会談の直前である4月末、海外メディアに寄稿し、「台湾に対する戦略的曖昧さは、米国がこれを維持できるほど強力で、軍事力で中国が米国に大きく及ばなかったときは、うまく機能した」とし「そんな時代はもう終わった。米国の曖昧な政策は、インド太平洋地域を不安定にする」と明らかにした。

安倍元首相のこうした認識は、米国内では、すでに拡散している。ニューヨークタイムズ(NYT)は「(バイデン大統領の言葉が)ミスだったという話は、信じられない」、「彼はロシアによるウクライナ事態により、もう新しいルールが適用されることを感覚的に示している」と分析した。米議会でも、バイデン大統領の発言を公開的に支持する声が多い・・

・・ワシントンの朝鮮半島専門家たちは、米国の台湾政策の変化が、結局、駐韓米軍の役割にも影響を及ぼすだろうと見ている。台湾の有事の際に、在韓米軍が動けないように、北朝鮮が動くだろうというシナリオが提起されるほどだ。韓米首脳会談の共同声明に明示された「台湾海協の平和と安定」という文句の重圧感を、韓国政府が受け止めなければならない、その時間はそう遠くないはずだ・・>>

 

安倍元総理の考えが『自由で開かれたインド太平洋』戦略のもとになっていることは、韓国ではほとんど報じられていません。そういう記事が全然無かったわけではありませんが、ほとんどありません。どうしても「安倍政権の業績」を認めることができなかったのでしょうか。いや、「日本の業績」と書けば、もっとしっくり来ます。

でも、ソース記事は珍しく、自由で開かれインド太平洋戦略を設計したのは安倍元総理で、台湾に対するもっと明確な政策を示すべきだと主張してきたのも、安倍元総理だとハッキリ書いています。さらにさらに珍しく、これといって悪口も書いていません。そこからちょっと行間を読むと、日本はもう準備が出来ている(そもそも設計したのが日本で、菅総理も岸田総理も安倍政権の政策を継承している)、韓国は準備ができているのか、すなわち、韓国は韓国の『戦略的曖昧さ(安保は米国、経済は中国)』を諦める準備ができているのか、と問いかけているわけです。

 

でも、少なくとも現状では、無理でしょう(キッパリ)。韓国では、台湾問題はほとんど話題になりません。日本と比べると、本当に信じられないぐらい、『別世界での話』にすぎません。韓国は関係ない、というのです。前も過去エントリーで取り上げましたが、韓国内の専門家は、『(日本と韓国とでは)台湾に対する現実的な認識が違いすぎる』、『韓国では、まるで戦争映画のような認識だ』と嘆いています。最近も、一部のメディアから、「韓国は関係ないのに、日米で中国を刺激するような内容を入れたせいで、韓国が巻き込まれる」という主張まで出ているアリサマです。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。