米韓首脳会談「両首脳は戦略資産の適時展開を再確認した」 → 北朝鮮ミサイル発射 → 米国の戦略資産、韓国には行かず全て日本で展開

タイトルで全て終わっている気もしますが・・以下、本文を『展開』します。今回の米韓首脳会談及び共同声明では、「『それっぽい』ことが書いてあるけど、『それ』は書いてない」部分が何箇所か目立ちます。例えば、会談の前には韓国の各メディアが、米韓通貨スワップを議題にすべきだと主張しました。本ブログでも紹介しましたが、中には常設通貨スワップを主張する記事も結構ありました。

でも、米韓首脳会談及び共同声明には、「為替市場安定のために協議する」という『それっぽい』記述はあるものの、いざ『それ(通貨スワップ)』はどこにも書いてません。尹政権としては、通貨スワップできなかったことを意識しての、「国内用」という意味もあるのでしょう。ただ、こんな曖昧な記述が何か所もあり、「具体的ではない」と指摘される一因にもなっています。

 

米国の戦略資産展開についても同じで、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領、米韓首脳会談の前には、朝鮮半島での戦術核兵器の再配置について何度も話しました。戦術核兵器とは射程が短い核兵器のことで、前は朝鮮半島(の米軍)に配置されていましたが、いまは撤収済みです。でも、これもまた、共同声明には入っていません。

ただ、これも『~っぽい』記述ならあります。「両首脳は、韓米間の調整を通じての米国の戦略資産の適時展開を再確認した」、と。調整と言いましても、韓国よりは米国が調整するものでしょう。『米国の』戦略資産だから。曖昧というか、「じゃ、いままでは展開しないつもりだったのかよ」と言ってしまえばそれだけのような、そんな気もします。とにかく、尹政権はこの『戦略資産の適時展開』を、結構大きく取り上げていました。なんだかんだで『国民の力』党の支持層としては、重要なことですから。

 

でも、その米国の戦略資産が、なぜか日本までは来るけど韓国には来ない、とのことでして。中には単に『首脳会談で話していたのと違う展開だ』というニュアンスだけほのめかすメディア(MBC)もありますが、『米国は、戦略資産を使って韓国に日韓関係改善を圧迫している』と分析するメディア(OBS)もあります。日本と関係改善しないと、展開してやらないぞ!と言っているようなものだ、との分析です。さて、どうでしょう。<<~>>で引用してみます。OBSは、韓国首都圏地域のローカル放送局です。

 

<<北朝鮮がミサイル3発を発射した日、米空軍F-16戦闘機3機と日本航空自衛隊所属のF-15J戦闘機4機が日本海を編隊飛行しています(※ニュースの映像)。NHKなど日本メディアは、北朝鮮対応というより、中国とロシアの爆撃機が日本周辺を飛行したことに対する共同措置である点に、重みを置きました。実際、これらの戦闘機は爆撃のためではなく空対空ミサイルを取り付けており、中国などの軍用機に対する対応訓練だと思われます。

北朝鮮ミサイル発射に対する米軍の対応は、韓国軍とは、地対地ミサイル発射だけです。4年ぶりの共同対応ではありますが、韓米首脳会談で言及された米軍戦略武器の朝鮮半島での展開はありませんでした。尹大統領は韓米首脳会談記者会見(5月21日)で、「戦闘機とかミサイルを含むそんな多様な戦略資産の適時展開に関しても私たちは議論をしました」と話しました。

(※しかし)米本土から飛んできた米軍特殊偵察機「コブラボール」は日本に降りたし、日本基地から離陸した戦略爆撃機B-52Hは、日本の東海岸にのみ飛行したことが確認されました・・(MBC)>>

 

 

<<・・米国の空母や戦略爆撃機は、日本までしか展開されません。米国が戦略資産を利用し、日韓協力を促す外交を繰り広げているのではないか、という観測が提起されています・・・・レーガン美空母は、北朝鮮弾道ミサイル発射の兆候が捉えられた24日から3日間、日本と共同練習を行いました。一日早く艦載機離着陸訓練に突入したトリポリ米強襲揚陸艦。その展開海域もまら、日本の南だけでした。これらの戦力は、今後も、朝鮮半島東側の海に進入する計画は無いことが分かりました。

「米国と戦略資産の適時展開に合意した」という政府の説明とは違う歩みです。軍当局は詳細な言及を避けています。【ムンホンシク/国防部副スポークスマン「米側戦略資産とその運用について国防部が言及することは適切ではなく、また過去にもそんな内容を言及したことはありません」】。

戦略資産が朝鮮半島に来るには自衛隊支援が必要です。B-1B全爆機の場合、日韓防空識別区域境界で両国戦闘機護衛任務が交代されます。「韓日協力がなければ拡大抑止もない(※)」という点を米国が迂回的に指摘したことになります・・(OBS)>>

 

※の部分はちょっと分かりづらいので追記しますと、日韓の間でちゃんとした防衛協力が無いと、米国の戦略資産は朝鮮半島まで展開することができない(先に日本に行くことはあっても韓国から行くことはない)から、「韓国が日本と防衛協力を強化しないと、米国は戦略資産を朝鮮半島まで展開することができない」ことになります。これを、記事は「米国が韓国に、日本との防衛協力を圧迫している」なニュアンスに解釈しているわけです。

圧迫もなにも、優先順位というものがあるでしょうし、まだ米国は韓国を信頼していないという意味でもありましょう。何度も書きましたが、韓国からすると「政権交代したからもういい」かもしれませんが、米国からすると前政権も現政権も『韓国』ですから。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。