『企業側としては言いたいことがいろいろあるけど、政権の顔色を気にして、文句も言えないでいる』、『米国を気にして(米国への)投資を約束し、また中国が怖くて怯えているのが今の韓国企業であり、それが今の韓国の国格だ』、などなど・・韓国メディア アジア経済の記事の内容です。曇りに曇った私でもここまではビシッと書かないと思いますが、何があったのでしょうか。ちなみに、国格とは国の品格を意味する言葉ですが、実際には品格というよりは地位(上下関係?)を論ずる言葉になっています。品格と地位を同一視しているだけかもしれません。
記事は、「IPEF参加そのものに反対するわけではない」としながらも、「今の韓国は、中国を刺激していい状況ではないのに、それについて政府は何も考えなかった」とします。記事は、バイデン大統領が「日本より先に」韓国を訪れたことで、韓国のIPEF参加が必要以上に注目されてしまった、と指摘しています。
露骨に書いてあるわけではなく、なんというか、ニュアンス的なものですが、「バイデン大統領は、そのために韓国に先に来た(日本でIPEF参加がスタートを発表する予定だったので、その前に訪韓する必要があった)。それに、尹政権や与党がそれをあまりにも自慢してしまい、企業側としては『米国に投資を約束し、中国を気にして怯える』以外に選択肢が無かった」、というのです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<「大統領を変えただけなのに、大韓民国の国格が変わった」。イジュンソク『国民の力』代表は。韓米首脳会談をそう評価した。大韓民国の国格が、本当に高くなったのだろうか。韓米首脳会談以降、企業の評価は執権与党代表のそれとは全く異なる。ある大企業、上場会社の役員は、「IPEF加入の後にも心配なことが多いのに、表に出すことができない」とし「バッテリー素材は中国から輸入する割合が高く、急に何かの制限措置でもあったら、どうすればいいのか、正直、分からない」と言った。
米国としては、バッテリー生産強国である韓国をIPEFに加入させて安全なサプライチェーンを確保したからいいとして、そのバッテリーを作る韓国企業に原材料を供給するのは中国で、その中国と韓国企業の距離が離れてしまったのだ。万が一の措置に備え、企業が積極的に素材サプライチェーン・リスクを検討しなければならなくなった。しかし、その検討すらも、新政権と強大国の顔色を気にしなければならず、積極的に動くことすらできない雰囲気だ。これはバッテリー産業だけの問題ではない。
ある経済団体役員は「今回のバイデン訪韓で、韓半島には米中貿易葛藤の明確な『バトルフィールド』が作られた」と話した。バイデンが日本より先に韓国を訪れ、韓国のIPEF加入を誇示したためだ。IPEFへの合流が国益のためのやむを得ない決定であることは明らかである。
しかし、米国と中国の間に挟まれた私たちとしては、バイデンの訪韓とともにスポットライトを受けるより、静かに合流する方法はなかっただろうか。イジュンソク代表の「国格」発言が無責任に見える理由だ・・・・大規模な米国投資を約束しておいて、中国から何かの措置があるのではないかと怯えている企業の姿、それが韓国のありのままの国格だ・・>>
そもそも、こんな記事が出てくる自体、中韓関係の歪みの一部ではないでしょうか。『もっと現実を見ろ』という意見なら、その側面は分かる気もしますが。ついこの前、本ブログも『中国依存が高すぎる。本当に経済安保できるのか』という趣旨のエントリーを載せましたので。それに、尹政権が本当に韓国外交、経済安保の方向転換を決心し、「どうせ誰かがやるべきだ」とそう決断した・・・・ならいいけど、なぜでしょうか、なんか全然そうは思えません。
単に、『表向きに、文政権と反対にしたい』だけのようにも見えます。単に私の感覚が間違っているだけかもしれませんが、どうも『中国との関係を整理していく』『本当は随分前にやるべきなのに、遅くなりすぎた』などの覚悟がまったく感じられません。米韓首脳会談でもそうでした。一つ前のエントリーで論じた米韓同盟のアップグレードとかもそうですが。
さて、韓国が本当の意味で『日米』陣営に入ることができるのか(韓国は『米』しか見ていないようですが)。1年ぐらい待ってみればもっとハッキリ分かるでしょう。でも、もし、万が一、尹政権が確実に方向転換に成功したとしても、それから4年後にはまた大統領選挙です。軍事政権の終わりとともに「長期執権を無くす」という意味で作られた、大統領の単任制度(大統領になれるのは1人1回だけ)。ゲーセン景品の人気フィギュアでもあるまいし、「お一人様一個(回)限り」って、さすがに無理があるのではないか・・そんな気もします。
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