大手全国紙から聞いたことのないネットメディアまで、韓国には『選挙があるからまだ関係改善できない』論がありました。日本は、本当は韓国との関係改善を望んでいるけど、選挙前だから世論を気にして、日本も韓国も思いのままに動けず、関係改善できないでいた・・大まかに言うと、そんな内容です。
韓国は地方選挙があるし、日本にも参議院選挙があるから、世論を気にして、日本も韓国も思いのままにできない、でも韓国では地方選挙が終わり、与党の勝利だった。日本ももうすぐ参議院選挙で、与党の圧勝が予想されている。もうあと少しだ、と。中央日報も同じ趣旨の記事を載せました。見出しには「もう山場は超えた」などの文章も目立ちます。ただ、記事は最後に、『各懸案で、韓国内での国民的合意も重要なので、それは気をつけた方がいい』、とも。以下、<<~>>で引用してみます。
<<国民の力の地方選挙圧勝により、国政運営に力を得た尹錫悦(ユンソンニョル)政権が、国内世論の支えが必要な韓日関係改善にもスピードを出すか、注目される。日本の与党である自民党も来月参議院選挙で善戦が予想され、少なくとも国内政治的条件だけを見れば、近いうちに韓日共に関係改善努力をするのに適したタイミングとなる・・
・・ (※日本のマスコミが韓国与党の地方選挙勝利に、関係改善の期待感を示したとする内容の後に)ただし、「積極的に関係改善に出るべき方は、あくまで韓国でなければならない」という、日本の既存の立場は、尹政権発足後も変わらなかった。この日、韓国の地方選挙に関する日本国内のほとんど報道の趣旨も、結局は「国内的条件が良くなったユン政権が、より積極的に出なければならない」ということだった。懸案に対して韓国が解決策を先に持って来なければならないというスタンスだ。
先にも日本メディアは、ユン政権の発足前から、ユン大統領の日本に関する動きを、一つ一つ『先読み』して報道し、雰囲気を盛り上げていた。「ユン大統領が5月クワッド首脳会議をきっかけに訪日し、日本で韓米、韓米日首脳会談が開かれる」など、事実と違う報道を出し、反応をうかがうやり方だった。
いったん両側の国内政治日程は、韓日関係を解くことに友好的な方向に流れているようだ。日本の自民党も来月参議院選挙で圧勝が予想される。両国ともに、選挙前には国内の世論を管理するため果敢に関係改善に乗り出せなかったが、近いうちに、そのような負担を振り払って、主導的に外交的解決策に出ることができるという展望も出ている。イ・ウォンドク国民大学日本学科教授は「7月からは岸田政権の国政運営にも弾力がつくだろうし」とし「韓日両国の最高指導者がリーダーシップを発揮することがより容易になるだろう」と話した・・>>
まず、日本のマスコミが、ここまで「~でなければならない」と書きまくることは無いと思いますが。これこそ『心の目』で読んだのでしょうか・・って、ま、そこはともかくして、いつもの私見(と書いてツッコミと読む)でも書いてみます。以下、「こんな側面『も』ある」ぐらいでお読みください。
この主張を読むたびに、私はいつも『あ、心情(シムジョン)心理の良からぬところだな』と思います。ちょうど発売されたばかりの拙著『日本人を日本人たらしめているものは何か』にも、心情について書いた部分がありますが、韓国には、具体的な行動だけでなく、相手の『心(本心、本音)』、すなわち何を思っていたのかにまで責任を取らせようとする風潮があります。これを一部の心理学者たちは「心情心理」と言います。
『選挙があるから、本心が出せないでいる』というのも、そんな傲慢な誤謬(相手の心を自分で決めつけようとする)だと見てもいいでしょう。ちなみに、日本は法律、国際法、国家間の約束(合意、条約)などを強調しているため、韓国が主張する『日本の本心』というのは、それとは真逆の存在になります。先も書きましたが、心情という決め方は、近代法律体系とは相性が最悪だからです。
じゃ、韓国が思っている(決めつけている)日本の本心、本音はどんなものなのか。いや、どんなもの・で・な・け・れ・ば・な・ら・な・い・のか。それは、「日本は、本当は『韓国が解決策を用意すべき(問題は韓国側にある)』などとは、思っていない」です。他のすべての案件が『韓国が解決策を用意すべき』に集約されるからです。首脳会談に応じない理由も、(実はもっといろんな案件が関わっているでしょうけど)一般的にはこの『韓国が解決策を』が理由となっています。
日本が韓国に解決策を要求しているのはこんなスタンスを示すのは、選挙を意識したものであり、日本、いわば岸田総理の『本心』ではない、いまは世論が怖くてできないでいるけど、選挙さえ終われば、岸田はきっと負けてくれる。そういう意味です。言い換えれば、『選挙が終われば~』は、『韓国が解決策を用意する必要は無い』と同じ意味です。
同じく、よく出てくる、『共に努力しよう』と同じ意味、いや、同じ『罠』でしかありません。ソース記事本文の書き方を借りますと、各メディアが同じ記事を量産しながら、韓国側こそ『先読みして、自分に有利な雰囲気を盛り上げている』わけです。さて、そんなことになるのかどうか、もうすぐ分かるでしょう。参議院選挙は7月ですから。
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