韓国一部のメディアに流れる、「やはり北朝鮮問題を解決できるのは中国だけ」、「米国は北朝鮮問題を重要視していない」な論調

韓国メディアの一部の記事に、「尹政権のやり方では、北朝鮮問題は解決できない。そもそも、米国は朝鮮半島問題を重要視していない。やはり、中国にアプローチするしかないのではないか」という論調が流れています。左寄りのメディアだけでなく、「どちらかというと左」なメディアからも、同じ内容が確認できます。さすがに、右寄りとされるメディアからこんな主張を読んだことはありません。

文政権のときは(朴槿恵氏もそうでしたが)、韓国政府は北朝鮮非核化の解決に、2つのアプローチを取りました。北朝鮮を刺激しないこと。言い換えれば、問題がこれ以上大きくならないようにしていました。もう一つは、中国に頼ること。「なんだかんだで、北朝鮮を非核化できるのは中国しかなく、韓国だけの力では解決できない」という考えがあった、と。韓国政府が北朝鮮関連の騒ぎを大きくしなかったのは、それ自体が「中国が喜ぶこと」でもあったからだと、関連記事は共通して主張しています。

尹政権になってから、スタンスが変わり、『国際社会の圧力で非核化を解決する』『米国のインド太平洋戦略に今までより積極的に共助する』としているけど、国際社会の圧力といっても結局は米国に頼ることなのに、米国は北朝鮮問題を中国問題の『一部』としか見ていないし、結局問題が発生した時(有事の際に)何かをしてくれる保証も無い、というのです。ソース記事である京郷新聞も同じです。時系列的には北朝鮮が8発のミサイルを発射する前(今朝8時頃)のもので、これからは同じ主張がさらに増える可能性もあります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・文在寅政権は、韓米間の協力を、朝鮮半島問題解決に合わせた。その問題解決の中心は北朝鮮だったため、中国との関係も考慮するしかなかった。「戦略的曖昧さ」に代表されるバランス外交は、米中競争に巻き込まれないという判断だけでなく、北朝鮮問題を抱えている韓国政府の限界が複合的に作用した結果でもあった。文在寅政権は、米中の競争に「巻き込まれる」ことで、北朝鮮問題の解決に乗り出せなくなる状況を警戒した。

一方、尹錫悦(ユンソンニョル)政権は、対外戦略の設定において、北朝鮮との関係改善という政策的考慮をやめたように見える。外交舞台を朝鮮半島からインド太平洋地域に移すことに集中している。これは米国の手を握って中国を牽制していく方式だ。尹政権は米中競争において、両方から放棄され、孤立する状況を警戒していると見える。

問題は、この過程において、北朝鮮の脅威への対応が米国の拡大抑止だけに絞られるという点だ。拡大抑止は、北朝鮮の非核化とは異なるカテゴリーだ。政府が明らかにした非核化案は「北朝鮮自ら悟り、核を諦めること」という意味になる。国際社会の共助による圧迫もその手段になるだろうが、北朝鮮・中・羅が密着する状況で、大きな成果を期待することは難しい。バイデン政府の外交優先順位において、北朝鮮の重要性が低下している点も、国際共助による非核化の可能性を低くしている。

 

もう一つの難関は、韓日関係だ。米国は韓米日三角協力を、対北朝鮮共助レベルを超え、対中牽制、封鎖のレベルにまで拡大する案を模索している。問題は、日韓間の葛藤だ。両国は半世紀以上にわたって解決策の導出に失敗した。韓日関係は単なる外交問題ではなく、国内政治的事案とも直結する。すでにインド太平洋戦略の中枢として位置づけられた日本との関係をどうするかが、また別の問題に浮上した。

実際、バイデン大統領は日米首脳会談で「日本の国連安全保障理事会常任理事国進出を支持する」と述べた。国連安保理改革を前提とした発言ではあるが、ロシアによるウクライナ事態をきっかけに安保理改革の声が高まっている。外交修辞(外交的なレトリック)にすぎないとは、思えない。韓国政府は、日本の安保理進出推進をめぐって明確な立場を出せずにいる。外交部の「賛成と反対の次元を越える、複雑な側面がある」という言葉がすべてだ・・>>

 

これでも京郷新聞の記事は『日本がインド太平洋戦略の中心』『米国は中国問題を優先する』など、相応の指摘が載っていて、まだマシなほうです。一部のメディアの記事は、とにかく『中国が怒ったら責任取れるのか』と書いてあるだけだったりします。ただ、やはりというかなんというか、「あ、それ違うでしょう」と言いたくなる部分がたくさんあります。

まず、日韓の間の解決策・・というか、いま「懸案」とされる数々の案件に関する解決なら、1965に終わったはずです。また、日本の常任理事国入りに韓国政府は「はっきりしないでいる」としていますが、これも間違いです。すでにコーヒークラブ(常任理事国を増やさない形で安保理改革を行うべきだとする国のグループ)に加入しているので、明らかに反対していることになります。それに、尹政権は本当に「インド太平洋戦略」に外交の場を移したのでしょうか。米韓共同声明が曖昧すぎたので、本当にそうなのかと、まだまだ疑問です。

それに、記事の趣旨からしてこれがもっとも決定的だと思われますが・・この手の記事には、共通して「文政権の外交は成功しなかった」たる事実が欠けています。なんというか、文政権のアプローチはパーフェクトに失敗したのに、もう忘れてしまったのか、とツッコミたくなります。それとも、『成功したとは言えないけど、それでも現状維持はできるのに』といいたいのでしょうか。それに、必ず『日本がどうとか』な内容がセットで出てくるところも、実にKメディアらしいところです。

 

 

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