あくまで一般論ではありますが、日本の場合は貿易収支が赤字でも経常収支は黒字になったりもしますし、海外に持っている資産から収益が発生したりもしますが(日本が海外に保有している資産規模は世界一です)、韓国の場合はそうではありません。言葉通り「貿易依存」なので、貿易収支関連がよくニュースになります。特に、中国との貿易は、もっとも重要とされています。
最近もまたそんなニュースが増えました。貿易収支がおかしいとか、輸入にお金がかかりすぎるとか、物価上昇率がおかしいとか、特にバイデン大統領の訪韓前には、為替レートの動きがおかしい、とか。通貨スワップに関する話も盛り上がり、本ブログでもエントリーした記憶があります。さらに、まだそこまでメジャーな話ではないと思われますが、韓国経済系列「韓経ビジネス」によると、一部からは「またIMF時期のような状況が来るのではないか」という話まででている、とのことでして。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<尹錫悦(ユンソンニョル)大統領率いる新しい政権が発足してわずか10日で、バイデン大統領が韓国を電撃訪問した。韓米首脳会談を通じて安保・経済・技術・原発まで含めた包括的戦略的同盟関係の構築にも合意した。ウォン・ドル為替レートにおいても、今回の首脳会談で議論された常時的な通貨スワップを締結しなければならない。そうしてこそ、韓国経済が難しいときにいつも出てくる「第2の外国為替危機説」を根本的に眠らせることができるのだろう>>
詳しくどんな内容だ?と思ってちょっと調べてみましたが、他のメディアの記事にも「そんな話がある」ぐらいの内容しかありませんでした。また、米韓首脳会談で話したのは、「常設通貨スワップ」ではなかったと思いますが、記事を書いた方は何かを間違えているようです。それとも、出来る限り肯定的に解釈して、そういうことにしているのでしょうか。
また、つい数日前まで『一時的な現象にすぎない』としていた政府が、急に『内外的に厳重な状況だ』とスタンスを変えたことで、本件はさらにヒートアップしました。ヘラルド経済は、同じく「◯月に危機が来る説」が出回るのも時間の問題としながら、貿易赤字が25年ぶりの高い水準になったこと、28年ぶりに対中貿易が赤字になったことなどを取り上げています。
<<・・今年の累積貿易赤字は78億5000万ドルと集計された。 1~5月基準の貿易赤字がこんな規模まで膨れ上がったのは、1997年(※IMF入りのとき)当時92億6000万ドルの赤字を記録してから、25年ぶりだ。 グローバル経済危機(※リーマンショックなど)と言われた2008年(63億4000万ドル)と比較しても、15億1000万ドル多い。 この傾向が続くなら、1~2カ月以内に貿易赤字が100億ドルを超えることがもありえる・・
・・問題は、悪化する貿易環境である。米国の緊縮と中国の封鎖で、グローバルな景気萎縮の可能性は大きい。 輸出がダメージを受けるという話だ。 すでに兆候もはっきり表れている。 去る1994年以降、中国は韓国輸出の宝庫だった。 ところが、月別20億ドル前後の黒字で年間240億ドル黒字だった対中貿易が、去る5月、突然11億ドル赤字になった。4月に比べて輸出は2億4000万ドル増えた反面、輸入増加額が16億6000万ドルになった。このような変化の結果は、言うまでもなく、貿易赤字の拡大である。
「一時的現象」としか言ってなかった政府が、5月交易状況が発表された直後に「対内外的に厳重な状況」と認め、「業種別特化輸出支援策」の準備に着手したのも、このためだ。『厳重』以上の緊急対応が必要な時点である。そうしないと、市場に◯月危機説が出回るのはもう時間の問題だ>>
いま苦しくない国ってあるのか?と思うと、ちょっと大げさではないのか・・そんな気もします。それとも、基礎体力が弱いという自覚はあるのでしょうか。とはいえ、物価もまた5%台まで上がって(これも14年ぶりの上昇率だそうです)、もうすぐ6%という話が出るなど、様々な側面で大変なことになっているのは間違いないようです。一つ前のエントリーと重複するので省略しますが、金利引き上げについても、本当にどうすればいいのか分からない状態でしょう。上げると家計負債で、上げないと資本の流出で、問題が発生しますから。
韓国の諺「焚いてない煙突から煙が出るか(なにも焚いてないのに煙突から煙が出るはずはない、何の根拠もなく話が出回ることはそう無い、という意味)」。大げさとは言え、何の根拠もなくこんな話が複数のメディアから出るはずもなく。やはり、米韓首脳会談の前に『通貨スワップを議題にすべきだ』としていた主張は、主張の現実性は置いといて、的確なものだったと言えるでしょう。しかし、つい最近まで溢れていた『円安で日本は大変~』『もう円は安全資産でもなく~安物~』な記事は、一体何だったのでしょうか・・
※皆様のおかげで、新刊『日本人を日本人たらしめているものはなにか』が、発売中です。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、の自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました※
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・皆様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・準新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・韓国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・既刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。