「日本は南北統一を望んでいない」とする主張。韓国ではほぼ定説になっており、大物政治家の公言からネットのコメントまで、幅広く同じ主張を見つけることができます。本ブログでも、何度か取り上げた記憶があります。さっそくですが、以下、サンプルとして、インジェ大学統一学ジン・ヒグァン教授の見解(2020年11月30日釜山日報)を紹介します。
「日本は、朝鮮半島問題が解決されて、南北関係が改善されることを望んでいない。日本は、北朝鮮の非核化が行われ、朝米関係が改善され、外交関係が成立したり(※南北はお互いを『国家』として認めていないため、外交関係がありません)、平和体制が樹立されることを望まないでいる。
朝鮮半島が平和になったら、もはや「サンフランシスコ講和条約」(1951年9月)によるシステムから受けていた利益を受けられなくなるからである。このような日本の立場が確認されているだけに、日本を優先するバイデン政権の時代、日米に頼ろうとせず、私たちの統一のための外交がこれまでよりも重要になると思われる」、などであります。バリエーションは結構ありますが、趣旨は一つ、南北が平和になると、日本は喜ばない、という内容です。
日米韓防衛相会談で、北朝鮮のミサイル警報訓練を3国が再開すると合意しました。具体的にいつから始めるのかは分かりませんが、前は普通にやっていたので、準備できるまでそう長くはかからないでしょう。で、この件でまた、韓国側の一部のメディアが、『また日本が得をした』という記事を出しています。「米国側から、日米韓の共同軍事訓練を要請し、尹政権は(文政権もそうでしたが)反対している」というニュースが何度も報じられていたためか、一部の記事には「韓国は何も得られず、譲歩してしまった」という書き方も見受けられます。
他のメディアの記事にとると、今回合意したのは日米韓による北朝鮮ミサイル警報訓練で、具体的な再開時期も未定のままですが(韓国の国防部長官は『具体的に話があった』としていますが、詳しい日程や内容などは分かりません)、京仁放送OBSは「迎撃訓練に合意した」としながら、「日本の正しい認識が前提条件だとしておいて、日本は何もしなかったのに韓国は応じてしまった」「日本が発表したミサイル情報は間違いが多く、また日本が得をすることになった」という趣旨で記事を載せています。同じく、『南北対立のおかげで、また日本が得をしてしまった』という趣旨です。
いや、得も何も・・北朝鮮平和ムードを終わりにしたのは、韓国の大統領なんですが。北朝鮮に対して路線を変えると、米韓同盟のことをもっと優先していくと、ユンソンニョル氏は候補だった頃からずっと言っていました。また、それで保守支持層から票を得て、大統領になれました。なのに、いまさらなんで日本に怒っているのでしょうか。CBS(ノーカットニュース)も、「南北の対立が嬉しい日本、アジアの指導者を夢見るか」という実に分かりやすい題の記事で、同じ趣旨を記事にしています。ここはちょっと引用してみましょう。<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※日本の防衛力増強のことをいろいろ書いた後)ロイターは去る8日、このような日本の防衛力強化の動きに対し、米国が長らく待ち望んでいたものだと評価した。慶南大学のキムドンヨプ教授はこのメディアとインタビューで、「北朝鮮の行動に対する韓国側対応(※尹政権の対北路線)など、朝鮮半島の緊張が高くなると、日本は笑顔にならずにはいられないだろう」と話した。
北朝鮮の核実験準備、韓米合同軍事訓練の再開などは、日本の『普通の国』化を正当なものにする、という説明だ。この媒体は韓日関係改善も、日本には「鬼に金棒」(cherry on top)と見た。日本がより強力な防衛政策で大衆の支持を得ているが、韓国との関係改善はおまけで付いてくるというのだ・・>>
さぁ、どうでしょうか。韓国軍側は、『域内で日本自衛隊と連合軍事訓練をする方案は検討すらしたことがない』しているし、韓国の国防部長官イジョンソプ氏も「韓米日(軍事的な)共助は、原則としては正しい、(しかし)韓米間の軍事訓練と、韓米日間の軍事訓練とは、意味が違う。アプローチも違うものでなければならない」と話しています。
あれですね、尹政権が(まだ大統領職引受委員会だったとき)日米韓軍事訓練関連で「そんなことはない」とし、『日本との関係改善は、日本が正しい認識を持つことが前提だ』とも話したあれです。別に心配しなくても、こんな状況で日本と韓国の軍事協力がうまくいくはずはないでしょう。困るのは、日本でも韓国でもなく、米国でしょうけど。 ※私の設定ミスで、コメント欄用のエントリーがアップロードされていませんでした。いまは用意できましたのでご利用ください※
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