日米韓軍事協力は、すでに1997年に(事実上)不可能になっている

シャングリラ会合で日韓防衛相会談がなかったこと、しかも日米韓会談で『目も合わせようとしなかった』という報道まで出て、韓国側の一部のメディアが「えっ?なんで?」な感じの記事を出しています。

産経新聞など日本側のメディアは「レーダー照射の件が決定的だった」「あれの解決無しでは、両国の溝は埋められないだろう」という見方をしていますが、韓国側は「私たちは被○者なのに何を言う」な反応です。いまだ、あれは日本哨戒機の威嚇飛行だったということになっていますから。

 

ただ、ここ数日間、この件・・「軍事協力で(も)うまくいかないでいる」な趣旨をエントリーしてきましたが、なんで『韓国政府は、自衛隊の朝鮮半島周辺海域・空域進入そのものを公式に拒んでいる』という事実がまったく出てこないのか、その部分に違和感を覚えています。まずニューシースの記事から日韓軍事協力(の現状)関連内容を引用し、それから韓国政府公式立場のことも少し綴ってみたいと思います。以下、各紙、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・(※産経新聞の報道によると)バイデン米大統領が韓米日共助を重視しているのに加え、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)政権も日米との協力に肯定的な姿勢を示しているとしながらも、韓国の前政権時代の否定的な遺産が影響を及ぼし、「韓日間の溝は、018年12月、哨戒機問題が国防当局の関係冷却の要因であり、韓日防衛交流が途絶える一つの原因になった」と指摘した。新聞は「韓日関係は伝統的に、政治では対立があっても、軍は良好な関係を維持してきたとされるが、レーダー照射問題で葛藤が決定的になり、その溝は埋められなかった」とした・・>>

しかし、ニューシースのこの記事はまだ大人しいほうで、韓国側のメディアはこの件を一切『問題だ』としていません。日本側の威嚇じゃなかったのか。何を言う、と。実際、韓国のイジョンソプ国防部長官も、12日、「日韓間の安保協力正常化はもちろん、韓米日3局間の安保協力強化のために日本と真剣な対話を交わす意向もある」とし、まるで「日本側が対話に応じないせいでこうなった」のようなニュアンスで話しました。何かの懸案があったとは一切話していません。

 

もちろんレーダー照射問題は大きく、重い問題です。しかし、米国からは日韓相互防衛の話まで出ている昨今、本当にそれだけでしょうか。1997年、「日米防衛協力のための指針」が改定されました。結構大きな変更だった、と言われています。韓国側の当時の記事を見てみると、「有事の際、日米はほぼ連合軍とも言える状態になる」「日本だけでなく、周辺国の有事を防ぐという内容がある」など、韓国側はものすごく緊張していました。最近、防衛力増強や常任理事国関連で韓国マスコミが騒いでいることと、雰囲気的に似ています。

そのとき、韓国政府は、『日本自衛隊が米軍の後方支援をするのはいいが、韓国政府の同意無しでは、朝鮮半島領海・領空での活動は認められない』をメインとする公式立場を決め、日米両国に伝えました(1997年6月10日京郷新聞、8月20日ハンギョレ新聞などで、NAVERライブラリーには残っていますがネット上では見つかりませんでした)。

 

2014年にも同じことがありました。当時、日本が朝鮮半島の作戦区域で自衛権を発動するのではないかという問題提起があり、韓国政府が公式に立場を通達しました。2014年7月9日、聯合ニュースからの引用です。 <<政府は、有事の際、韓米連合司令官が設定する韓米連合作戦区域内であっても、私たちの要請がなければ、日本が集団自衛権を行使することを容認しないという立場を立てた・・

・・「KTO(Korea Theater of Operation)内で日本の集団自衛権行事は原則的に容認しないという立場」とし「韓国政府の要請がない限り容認できない」と明らかにした・・こうした政府の立場を米国と日本側に通知したという・・>>

 

尹大統領が候補だったとき、自衛隊の朝鮮半島進入も(状況によっては)ありえるものではないか・・という趣旨で話し、フルボッコにされたのも記憶に新しいところ。こんな状態で、本当に何かの協力ができるのでしょうか。北朝鮮に対する米韓協力ならなんとかなるでしょうけど、それ以外はまず無理でしょう。

この件(韓国政府の公式立場)を取り上げる記事がまったく無いのが、不思議です。本当に韓国が日米韓軍事協力に同調する気があるなら、まずはこの公式立場に関する再検討を始めたはずですが。

 

 

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