一つ前のエントリーでも紹介したパクジン(朴振)韓国外交部長官が、中央日報とのインタビューで、いくつかの案件について、韓国の外交路線がどういうスタンスなのかを明らかにしました。
記事の中でも個人的に気になったのは、ウイグル自治区・香港問題です。これから中央日報の記事から引用することになりますが、どうも返事が曖昧です。「必要なら」とか「時が来たら」とか、「国際社会のそういう動きは知っている」とか。訪米してブリンケン氏とも会談したと聞きますが、こんなスタンスでいいのでしょうか。
実はこの件、日米首脳会談の共同声明には入っていますが、米韓首脳会談の共同声明には入っていません。5月26日にはブリンケン長官が対中戦略の概要を発表しながら、習近平主席を名指ししながらウイグル自治区、香港、チベットなどの問題を取り上げました。タイミングからして、米国と同盟国である韓国との首脳会談、共同声明において、この件が入らないのは、さすがにどうかな、と思いました。
これは、「北朝鮮との対立を明らかにすることで、中国との対立から例外にしてもらう」とする韓国外交の路線を象徴的に表すものではないのか、私はそう見ています。まだまだ尹政権が始まって間もないので、ちょっと大げさかもしれませんが。以下、記事の一部を<<~>>で引用してみます。訳文ではありますが、「なんかそれっぽいこと言ってるけど、曖昧すぎで何言ってるのかよくわからない」という感覚が伝われば、と願います。
<<・・Q(質問):対北朝鮮政策で、マニュアル的に「対話を提案する」以外に、実質的な対話再開の案についても考えているのか / A(長官の答弁):政府は対話の扉を常に開いておいてある。政治・軍事的状況とは別に、人道主義の次元で北朝鮮を積極的に支援する意をすでに明らかにした。結局、対話を選択するのは北朝鮮だ。
Q:結局、北朝鮮が耐えられなくなって出てくるまで待つことに過ぎない、という批判もあるが / A : 圧迫と制裁、そして対話と外交をバランスよく、うまく調和させなければならない。北朝鮮が、強 対 強を言及している状況で、原則ある非核化を推進していかなければならない。北朝鮮に対しては白黒論理や「all or nothing」式のアプローチよりは、原則を守りながら柔軟に対処できる知恵が必要だ。
Q:人権と自由を重視するユン政権は、ウイグル自治区、香港民主主義問題に対する立場は何か / A:自由と人権は、国、場所に関係なく、普遍的に適用される価値である。域内の人権・自由に問題が発生したら、韓国も当然、関心と憂いをもって、必要な場合には、声を出さなければならない。
Q:今は、それらの問題に対して声を出すべき状況ではない、という意味なのか / A:そのような問題に対する国際社会の懸念は知っている。状況を改善するための国際的な努力に関して、必要な場合、韓国政府にできる方策についても検討することができるだろう。
Q:「終了の効力を猶予している」という曖昧な状態のGSOMIAはどうするのか。日本が輸出管理厳格化を撤回するまで待つのか / A:GSOMIAは、地域の平和と安定のためにも正常化されなければならない。韓日両国が信頼を回復し、関係を改善する方向に動けば、この件も自然に解決できると思う。
Q:日韓間の懸案解決の原則はどういうものか / A:過去に関わる懸案は、世論が納得できるレベルで解決策を求めなければならない。日本は日本企業の現金化を懸念しているが、外交的解決策の模索に努めている。日本も過去を直視するなど、共に誠意を見せなければならない。 Q:輸出管理厳格化、福島処理水など、他の懸案も多いが / A:すべての懸案について協議するが、先に解くことができる問題からアプローチする包括的解決が望ましいと考えている・・>>
『曖昧すぎる』。これは、尹政権が始まってからずっと言われていることです。米韓首脳会談の共同声明のときはもちろん、対北、対米、対中、対日、国内の各種政策、すべてにおいて言われていることでもあります。まずは具体的な何かを示さない限り、5年はすぐに去っていくことでしょう。
一つ前のエントリーでお伝えした『訪日延期』の話、まだこれといって発表はありませんが、聯合ニュースにも同じ趣旨の記事が載るなど、相応の信憑性はある話のようです。ここまで具体的な話ができないようでは、延期にもなるでしょう。公式ではなかったものの、何かの『案』として記事になったのが、あのムン・ヒサン案です。過去エントリー(8日)でお伝えしたばかいですが、この期に及んでムンヒサン案がまた出てくるようでは、話になりません。あと、余談ですが・・記事引用最後の部分、『包括的』の使い方を間違えている気がします
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