米国の0.75%金利引き上げ(いわゆるジャイアントステップ)により、またもや通貨スワップ関連の話が出ています。なにせ、韓国内でも、金利関連でいろいろニュースが出ておりまして・・
住宅担保貸出の金利が、もうすぐ7%を超えるだろうと言われています。韓国の家計負債において、住宅を担保にできるのはかなり『有利な』人たちです。そうでない人たちは、どんな金利を払っているのか。また、記事にもよりますが、「このままだと、給料の7割以上を返済に使わないとならなくなる」、などの話も出ています。金利を上げるしかないのに、この問題をどうするのか。金利上げを最低限にして、金融市場を安定させるにはどうすればいいのか。やはり、通貨スワップしかない、というのです。
米韓首脳会談の頃、通貨スワップは議題にすべきだという主張が結構出ていました。しかし、首脳会談で通貨スワップ関連の話は無く、安定するように協力するとか、そういう曖昧な話だけでした。キムデジョン世宗大学経営学教授は、「米国にも事情があっただろうけど、通貨スワップを議題にしなかったのは、ちゃんと準備しなかった政権の失敗でしかない」と指摘しています。
そして、いつも事ですが、米国だけでなく、日本との通貨スワップも必要だ、との話ももちろん出ています。どうすれば出来るのかという話は無く、しないとならない、と。以下、京郷新聞 と ニューデイリーから続けて引用してみます。後者の場合、丁寧に「日本はドルに余裕がある」とまで書いています。いや、だからなんだ、としか。各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※現状においては)韓国銀行が基準金利引き上げる以外に、これといった手が無い状況だ。しかし、家計負債が1900兆ウォンに達している今の状況で、金利上昇は返済負担を増加させる。また、株式や不動産など資産価格の下落と、消費心理の萎縮につながる可能性がある。対外環境が相次いで悪化する中、韓国のような小規模・開放経済は、さらに揺れやすい。
ユンソンニョル大統領とチュギョンホ企画財政部長官の言葉通り、私たちは複合的なリスクの中にある。まさに非常時である・・・・銀行金利が上がると、無住宅ジョンセ(※保証金を預けて家を借りる制度)世帯の利子負担が23%増加し、住宅担保ローン金利が年7%になれば、月給の70%を返済に使うことになるという分析もある・・(京郷新聞)>>
<<・・米国中央銀行である連邦準備制度が、いわゆるジャイアントステップ(0.75%ポイント金利引き上げ)を行い、韓国銀行も0.5p以上金利を上げる「ビッグステップ」の可能性を示唆し、デカップリング(※米韓の経済・市場などを連動させないこと、すなわち米国が金利を上げても韓国が合わせる必要はないという主張)が必要だとする主張とともに、通貨スワップ主張もまた大きくなっている・・・・今回の米金利上げで、韓国(年1.75%)と米国(年1.50~1.75%)の基準金利はほぼおなじになった。逆転も時間の問題だろう・・
・・一部では、金利引き上げスピード調整論(※デカップリングの一環として、金利を合わせるのはゆっくりでいいとする主張)とともに、韓米間の通貨スワップ締結の必要性が提起される。安全装置が必要だという見方だ。 600億ドル規模の韓米通貨スワップは、昨年末に終了した状態だ。2008年、300億ドル規模の米韓通貨スワップは、金融危機を鎮静させるのに大きな役割を果たした。当時、韓国銀行は通貨スワップを基に、外貨ローンを施行して企業にドルを供給することができた。
キムデジョン世宗大経営学部教授は、「先月の韓米首脳会談の時、通貨スワップを議論にしないといけなかった」とし「米国としては、韓国だけ特別待遇できない状況もあっただろうけど、韓国の新しい政権が、準備ができていなかったので失敗した」と指摘した。キム教授はさらに、韓日通貨スワップも再締結しなければならないという見方だ。
彼は「2008年、韓国は韓米通貨スワップだけでなく700億ドル規模の韓日通貨スワップも締結していた」とし「日本のドル保有額は1兆3000億ドルを超える。それだけに、二重安全装置で韓日通貨スワップを推進しなければならない」と力説した。彼は「ウォン・ドル為替レートが1300ウォンを超えれば、それは危険な状態だと見ることができる」とし「政府の積極的な通貨スワップ締結意志が必要だ」と付け加えた・・(ニューデイリー)>>
相変わらず「~ないといけない」が溢れていますが・・日米がどう思っているのか、が問題です。米国として、日本として、何か利点があるのか。それが大事でしょう。しかし、やっと『首脳会談で議題にすべきだった』という話が聞こえてきました。本ブログでも何度か取り上げましたが、米韓首脳会談の前までは、「米韓通貨スワップを議題に」という主張が結構出ていましたけど、実際に首脳会談で出てきたのは「安定のために頑張ろう」ぐらいの曖昧な内容だけでして。
それでも韓国側のメディアの記事は、『通貨スワップに準ずる内容だ』『常設スワップについての議論を始めるという意味だ』など、この件について何の問題提起もありませんでした。極めて一部の経済関連メディアが、「でも、通貨スワップについての内容が無い・・」と、疑問を提起しただけです。
個人的に、2021年、文在寅大統領が訪米したときの、いわゆる『ワクチン外交』のときと似ているとも思いました。あのときも、訪米直前まで「すでに1000万人分のワクチンを用意すると話がついている」など、様々な記事が出ましたが、結果は遠く及ばないものでした。それでも、その点について指摘するメディアはほとんど無く、『特例がもらえた』と、褒める記事さえありました。それでも(当時の)与党側は「大統領が米韓首脳会談で史上最大の実績を出したのに、なんでもっと報じないのか」とマスコミに不満でしたが。
※(告知です)※明日から約2~3週間、ブログが臨時運営に入ります。何か問題があるわけではなく、仕事も含めて、やるべきことがいろいろ重なってしまいました。それでも更新を休むことなく、1日1~2回は更新したいと思っておりますし、大まかな次の更新時間はお知らせするつもりでおります。まことに申し訳ございません。来月中にはまたいつもの更新ペースに戻せるよう、頑張ります。
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・皆様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・準新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・韓国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・既刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。