米国「日本とドイツの防衛力増強を、完全に信頼している。過ぎた記憶が現代で問題を起こすことはない」

米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル、インド太平洋調整官が、日本とドイツの防衛力増強を完全に信頼していると話しました。中には「過ぎた記憶のせいで、現在のヨーロッパがドイツを憂えたりはしない。日本についても同じだ」とする発言もあります。

ちなみに、ヨーロッパを「周辺国」にすると、日本の周辺には憂える(そうでないと困る)国があるわけでして。韓国側のメディア、本エントリーはノーカットニュースソウル経済の記事から部分引用しますが、これらメディアは、ただこの発言を黙々と伝えるだけです。もちろん、その文面からは、かなり複雑な心境が見え隠れしています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<日本の防衛力増強の動きについて、米国政府が公開的に支持を表明した。カート・キャンベル、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド・太平洋調整官は16日(現地時間)、ウクライナ事態などをきっかけに、日本が安全保障政策を転換していることと関連し、「米国は、日本が全般的に、より積極的な役割を果たすために下したそのような決定を、完全に信頼する」と述べた。

キャンベル調整官はこの日、ワシントンDCで開かれた新米安全保障センター(CNAS)カンファレンスで日本とドイツの防衛力増強に対する見解を求められ、「ドイツは非常に責任ある国であり、前の記憶のためヨーロッパが懸念しているとは思わない。日本も同じだ」としながら、このように明らかにした・・(ノーカットニュース)>>

 

<<・・岸田文雄首相は日米首脳会談にて、防衛力を大幅に増強するという計画をジョー・バイデン大統領に提示した。 これをめぐって、日本内外からは、日本憲法の専守防衛原則と衝突するという議論が提起されている。しかし、キャンベル調整官は、「日本はアジアとインド・太平洋の平和と安定のために深く献身してきた」としながら、「彼らは慎重に国防と安保問題に徐々に関わっている。私たちは、日本がただ国防だけ 強化するのではなく、気候変動や東南アジア問題など、あらゆる分野でより強力な役割を拡大していくことを見ている」と話した・・(ソウル経済)>>

 

日本内外って、「外」ってどこのことでしょうか。そう無いと思いますが。そう、韓国としては、「日本を憂えている」というより、「日本は、周りから懸念される存在でなければならない」という世界観の中を生きています。そこが問題でして。

韓国では、このような「米国が日本の防衛力増強を容認する」動きを、強く警戒しています。まだ尹大統領が就任する前ですが、韓国日報(4月27日)にはこんな記事もありました。 <<・・日本の普通国家化は、私たちにとってあっては悪夢だ。しかし、米国は気にしない可能性が大きい。すでに3回も似たようなことがあった(1905年桂タフト協定、1943年ヤルタ会談、1950年アチソンラインの範囲設定)。

今も、私たちは入れないでいるクワッド(QUAD)が、第2のアチソンラインになるのではないかとの懸念がある。米第7艦隊航空母艦が最近、日本海上で自衛隊駆逐艦と4年半ぶりに連合訓練を行ったのも、すっきりしない。次は私たちの国で日米軍事共助がなされる可能性も排除できないのだ・・>>

 

そして、日米首脳会談の後から、同じ内容の記事が急に増えました。つい最近にも、中央日報が、ウクライナ事態が日本の防衛力増強のきっかけになったとして、これは大きな問題だとする趣旨の記事を載せたりしました。読んでみて、『いや、問題視するの、そこかよ』と思ったりしました。しかし、少なくとも自由民主主義陣営が求めているのは、日本の役割拡大であると、またもや韓国と世界の『ズレ』が明らかになったわけです。

また、よく「日米韓協力関連」の記事を見かけます。日本が首脳会談に積極的に応じてくれないので、日米韓協力が強化できないでいる、という主張の記事です。しかし、『過ぎたことで現代の日本・ドイツを評価する周辺国は無い』というこのカート・キャンベル氏の見解こそが、「日米韓協力の限界」そのものでもありましょう。

しかも、その『当時』に対する学問的な研究そのものからも目をそらし、カート・キャンベル氏の主張には何があっても同意できない韓国。これこそが、日米韓協力の限界であるからです。

 

 

※(告知です)※次の更新は、18日の11時頃になります。明日から約2~3週間、ブログが臨時運営に入ります。何か問題があるわけではなく、仕事も含めて、やるべきことがいろいろ重なってしまいました。それでも更新を休むことなく、1日1~2回は更新したいと思っておりますし、大まかな次の更新時間はお知らせするつもりでおります。まことに申し訳ございません。来月中にはまたいつもの更新ペースに戻せるよう、頑張ります。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。