昨日から今朝にかけて、多くの韓国メディアが安倍元総理のお葬式について記事を出しています。各国から相次ぐ追悼、日本内での追悼、例えば増上寺での献花行列などを、普通に報じるだけの記事もあります。
さすがに韓国メディアもそういう日本内外の流れに直接的な文句は言えないようで、『いつもに比べると』表現も多少はマイルドになっています。また、多くの記事から『呼び捨て』が消えました。ちゃんと安倍前総理(韓国語では「前」と「元」を区別しません)と書いています。もちろん、全ての記事がそうだというわけではありませんし、ただ、いつもの書き方が影響しているのか、安倍元総理とちゃんと書いている記事でも、1ヶ所だけ「元総理」と書いてないところがあったりします。
しかし、内心バレバレなのは、いつもと変わらず。ほとんどの記事が、『それでも、認めないぞ』という内容を付け加えています。本エントリーでソース記事としているのは、ハンギョレ新聞、ファイナンシャルニュース、ノーカットニュースです。ノーカットニュースの場合は改憲と尹錫悦(ユンソンニョル)政権の対応に関するものなので、ちょっと趣旨が違いますが。
どちらかというと、右側、というかユンたん寄りのメディアは聯合ニュースも含めて『弔問外交』を強調しているし、中道・左側はこういう内容を強調している、そんな気がします。データはありません。感覚的な話です。弔問外交については一つ前のエントリーで書いたので、今日はこちらをまとめて紹介したいと思います。以下、各紙、<<~>>となります。
<<・・葬儀が始まる前、増上寺の奥に献花台が設けられ、市民たちの弔問を受けた。遺影の中で、安倍元首相は白いワイシャツを着て明るく笑っていた。寺院の入り口から数百メートルの弔問行列が絶えなかった。曇っていて、湿度高く、30度を超える、立っているだけで汗が流れる天気だった。弔問を終えた80代の女性は、「日本のためにお疲れさまでした。私にできる言葉はこれしかありません」と涙を見せた・・
・・弔問の後にもしばらく留まっていた50代の男性も「賛否が分かれるところもあるかもしれないが、日本が揺れないように中心をとってた。喪失感が大きい」と話した・・・・安倍元首相がライフワークとし、情熱を傾けてきた憲法改正などの難題に対応していくと、岸田総理は決意を明らかにした。この日、東京での葬儀は、故人のためのものであるとともに、戦後の平和主義が寂しく幕を下ろしたことを象徴するように見えた(ハンギョレ新聞)>>
<<・・安倍元首相が夢見た「美しい国日本」は、再武装した強い国のことだ。周辺国では懸念されてきたことだ。そんな安倍元首相に向けて日本の一部の人々は「今も首相のようだ」とし、一部は「彼の圧倒的存在感だけは否定できない」とした。評価がどうであれ、彼が意欲的なリーダーだったことは認めるしかない。
支持しても支持しなくても、誰もこのような退場を望んでいなかっただろう。安倍との決別を最大の課題とした岸田文雄首相は、さらにそうだったようだ。事実、参議院選挙が終われば安倍政治が力を失うだろうという見通しが多かった。岸田総理としては、安倍元首相の影を背負うことになった。すぐに自衛隊を事実上の軍隊に明記するなどの改憲案の推進も、勢いを増すだろう・・
・・このような退場は美化を生み出し、また別の神話を作る。彼に対する批判も自然に消えるだろう。安倍元首相の葬儀が行われた12日・・・・増上寺前には雨の中にも弔問行列が長く伸びていた。傘を準備できなかった人たちは雨にふられながら、元首相を追悼した。彼の影が長くないことを望むだけだ。あわせて、ちょうど一歩踏み出し始めた日韓関係にも彼の影があたらないことを願う(ファイナンシャルニュース)>>
<<・・(※安倍元総理は改憲を望んでいた、としながら)自民党など連立与党は参議院でも2/3改憲議席を確保し、ウクライナ事態などで改憲世論も前より強くなった。ここに安倍元総理が悲劇的な形で亡くなったことが決定的な推進力になる可能性が大きい。もし改憲が現実化されれば、日本は今までとは完全に異なり、何の迷いもなく軍事面での大国化の道を歩くことになる・・
・・いままでとりすっと改憲の可能性が高まったにもかかわらず、尹政権の対応の強度ははるかに低くなった。外交部は、2016年9月には、安倍内閣が改憲議論を本格化しようとすると「日本が平和憲法の基本枠内で地域の平和と安定、繁栄に寄与する方向に進むことを期待する」と促した。2013年9月にも国会懸案報告資料で「日本の防衛政策や憲法改正に関する議論は、周辺国の疑問と懸念を解消する方向になされなければならないというのが韓国政府の立場」と明らかにした・・(ノーカットニュース)>>
他にもいろいろ読んでみましたが、結論は一つだけ、『ああ、安倍元総理をおそれているのか』だけです。いままで韓国メディアが主張してきた内容(安倍元総理は国民の支持が得られずにいる、世界各国も支持していない、などの主張)と違う結果になりそうだから、でしょうか。呆れたものです。こんな中で弔問外交がどうとか言っている人たちもそうですが。あと、私の読み方の問題かもしれませんが、いわゆる『参議院選挙が終われば~』主張が外れることがほぼ確実だから、本件を「外れた理由」にしているようにも見えます。
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