韓国、政府関係者(防衛相など)も誰もペロシ議長と会わず・・尹大統領は演劇を鑑賞しスタッフと記念撮影

台湾を訪問し、それから韓国と日本を訪問するペロシ米国下院議長。しかし、韓国でだけ、首脳との会同が予定されていません(急に会う可能性も無いわけではありませんが、少なくとも今の時点では)。理由は簡単で、大統領が休暇中だから、です。大統領室関係者(例えば安保関係者)はもちろん、長官など政府のハイレベルは、誰もペロシ氏と会わない、とのことでして。この件に関連し、3連続エントリーとなりました。

実は、昨日、韓国側のメディアにちょっとした混乱がありまして。まず、本ブログでもお伝えしましたが、韓国大統領室は昨日、「尹大統領は休暇中なので、ペロシ米国下院議長と会う日程は取らなかっった」と発表しました。しかし、それから、一部のメディアに、「地方で休暇を過ごす予定はキャンセルになったので(ソウルの自宅で過ごすことにした)、ペロシ氏と会うよう、調整している」という記事が載りました。大統領室関係者がそう話したとのことですが、それからまあすぐに、大統領室は『調整もしていない。したこともない』と発表しました。

 

ただの誤報かなと思って、本ブログはスルーしましたが、それから複数のメディアに『大統領室の反応が妙だ。先は調整していると言ったのに』とする記事が載るようになりました。これは、『会うために調整中』とする関係者の発言を、複数のメディアの記者が認めたことになります。多分、一人だけに言ったのではなく、記者たちが集まっている場所などで話したのでしょうか。この部分は不確かですが。とにかく、それからの発表で『調整したことはない』としたこともまた、『会おうとしたこと(調整したこと)は無いからね、本当だからね』と言っているようなニュアンスでした。

そんな中、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が大学路(主に若い人たちが集まるスポットの一つ)で演劇を鑑賞し、スタッフと写真を撮り、大統領室がこの写真を公開しました。一部のメディアはもちろん、国民日報によると一部の外交専門家たちも、懸念を示しているとのことです。休暇中だから会わないとしておいて、自分でこんなことをする理由があるのか、というのです。結局は、中国を気にしているだけではないのか、と。なにをいまさら、といったところではありますが。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾に続き、3日、韓国を訪問した。休暇中の尹錫悦大統領との会同が無い背景に注目が集まる。大統領室はこの日、ユン大統領が休暇中だという理由で、ペロシ議長との日程を取らなかったと、最終的に発表した。この過程で、一時は「面談する」と言ったが、あとで取り消すなど混乱をもたらした。

大統領室関係者はこの日午前、「当初、ペロシ議長の訪韓日程がユン大統領の休暇と重なって、会う日程はとらなかった」と明らかにした。ところが、午後になって、ユン大統領がペロシ議長に会うという一部の報道が出てきて、大統領室関係者もまた、「地方を訪問する計画がキャンセルされたので、(※ペロシ氏と会うよう)調整中だ」と伝えた。

 

しかし、しばらくしてから、大統領室スポークスマンは「午前のブリーフィング内容から変わったことがない」と、最終立場を知らせた。他の政府関係者も、ペロシ議長とは会わないことが分かった。パクジン外交部長官はASEAN地域フォーラム出席のため、この日の午後、出国した。米国儀典順位3位の下院議長が訪問し、大統領など政府の主要人事に会わないのは、異例だ・・

・・一部では、尹大統領がペロシ議長と会わないことに対し、外交的な懸念が提起された。さらに、ユン大統領はこの日の夕方、夫人キム・ゴンヒ女史とともに、大学路の小劇場を訪ねて演劇を観覧した。このような日程が、大統領室を通じて写真と共に公開されたため、「休暇中」であり、公式日程を取らなかったという大統領室の説明に疑問を提起する意見が多かった。

 

ユン大統領をはじめとする政府関係者たちがペロシ議長と会わないのは、米中の状況を考慮した「外交戦略」という分析が主流だ。現政府になって密着する韓米関係を気にしている中国のことを考えたのが本音だ、というのだ。ある与党側の関係者は、「いまの米中関係の中、ペロシ議長に会うのは負担になる状況」と伝えた(国民日報)・・>>

個人的にもっとも驚いたのは、『大統領は会わない』が『大統領と、大統領室関係者は会わない』になって、ついに『大統領と、大統領室関係者と、政府ハイレベルは会わない』になったことです。すなわち、国防部長官(防衛相)とも会わない、ということじゃないですか。ペロシ氏はこれからJSA(共同管理区域)を訪れ、在韓米軍を激励し、午後遅く、日本へ出発します。こんな日程を組んでいる人が、大統領室の安保関係者とも会わず、国防部長官とも会わず、政府のハイレベルとも誰とも会わない、または『会ってもらえない』、となると。これは異例の前に『超』でも付けたほうがいいかもしれません。

 

「台湾、韓国、日本で、ちゃんと首脳と会って話した」というシナリオが、もっとも望ましいものだったはず。繰り返しになりますが、これからでも「やはり会いますと(笑顔)」としながら、どこかで短い面談を行う可能性も無くはありません。でも、大統領室が公式に「会わない」と発表し、大統領室関係者も、長官も、誰との会同もできなかったとなると・・ある意味、ウクライナ大統領の国会演説を思い出します。歓迎しますとしながらも、歓迎とは思えない雰囲気が、よく似ています。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版です。 ・国に蔓延する対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対してこんな対日観が必要になったのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。