中韓外相会談、中国側の発表には「THAADの適切な処理を要求した」・・韓国側は該当内容を発表せず。3NOには、まだ何か履行していない部分があるのか?

ペロシ議長が韓国から日本に出発した直後に発表された、韓中外相会談。予定通り会談は開かれましたが、予想通りの結果となりました。中国外交部(外務省)の発表には「THAADの適切な処理を要求した」と明記されている、とのことでして。これは何のことかというと、『まだTHAADについて処理できていない』という意味になります。文在寅(ムンジェイン)政権の3NOでは、まだ処理できていない、『まだ履行されていない部分がある』とも思われる、そんな内容です。

いわゆる3不(日米韓安保共助は3国同盟にならない、米国ミサイル防衛システムに参加しない、THAAD追加配置しない)だけでなく、1限(すでに配置済みのTHAAD基地の運用を正常化しない)を再び強調したものだ、と見ていいでしょう。処理となると、追加配置よりは、既存の(すでに配置済みの)ものに対して言っている・・そんなニュアンスですから。本エントリーのソース記事、ヘラルド経済(記事1記事2)によると、韓国外交部の発表には、この内容はありませんでした。韓国外交部は、『にもかかわらず、この問題が韓中関係の発展を遮ってはならないとの認識を共にした。これこそが核心である』と主張しています。いや、ここまで要求されて、認識のほうが核心になるわけないでしょうに。

 

また、チップ4については、中国側は「韓国側が賢明に判断すると期待している」ぐらいしか言っていない、とのことです。ただ、これも韓国外交部側の発表をもとにした記事の内容なので、なんとも言えません。また、昨日の朝、本ブログでも紹介した『どうしても米国主導のフループに加入するなら、そのグループの内部でバランスを取り、是正する役割をすればいい』とした中国官営メディアの記事を考えると、このほうが怖いのではないか、そんな気もします。以下、各記事、<<~>>が引用部分となります。

<<・・中国が、9日に開かれた韓中外交長官会談で、THAAD(高高度ミサイル防御体系)問題と関連し、「中国の安全保障の懸念を重視し、問題を適切に処理しなければならない」と要求した。中国外交部は10日、ホームページに、朴振(パクジン)外交部長官と王毅国務委員兼外交部長の会談の結果について報道資料を出し、それとはまた別に、THAAD関連で議論した内容の資料も掲示した。(※中国)外交部は、両国外交長官がTHAAD問題に対して「深い意見を交換し、各自の立場を明らかにした」とし、「互いに安全保障の懸念を重視し、適切に処理するよう努め、両国関係に影響を与えないようにしなければならないという認識を示し」と伝えた。

 

資料上では「安保懸念重視」、「適切な処理」などの主語が両国外交長官に​​なっているが、事実上、王部長が朴長官に伝えた言及だと見られる。これと関連して、韓国外交部当局者は、会談の結果を紹介しながら、「基本的に、両国外交長官ともに深く各自のサード関連立場を明確にした」とし「同時に、中国側、韓国側ともに、そうであるにもかかわらず、この問題が今後韓中関係発展のさまたげになってはならないという点に、明確に共感した。これが核心だ」と伝えた。中国側発表に出てきた「安保懸念重視」、「適切な処理」は、言及されていない

中国の立場で「安保懸念重視」は、在韓米軍が運用するサードのレーダーが、中国の戦略的動向を検知できるという中国の問題提起を尊重せよ、という意味だと解釈される。「適切な処理」とは、いわゆるサードの「3不正(サード追加せず、米国ミサイル防衛に参加せず、韓米日軍事同盟無し)・1限(配置されたサードの運用制限)」を要求したものだと解釈される(ヘラルド経済、記事その2)・・>>

 

グローバルタイムズ(環球時報の英文版、官営メディア)は今日もこの件で記事を載せ、「THAAD問題が両国関係の最大の難題として残っている」とする専門家たちの見解を載せました。また、ユンソンニョル大統領に対し、「この問題の深刻さに気づくべし」「この問題をどうするかで、尹大統領は大きな挑戦を受けることになるだろう」、とも。チップ4については、思ったよりはマイルドだった、とのことです。繰り返しになりますが、これも韓国外交部の話によるものなので、なんとも言えませんが。

<<・・「王部長は、関連動向を鋭意注視している中国の立場を説明しながら、朴長官の説明を『真剣に聞いた』と話した。朴長官は今後も同様の問題については国益によって判断するという原則を強調し、王部長は「韓国側が適切に判断していくことを期待する」と述べた。韓国のチップ4参加に対して今まで強く対応してきた中国の態度が、変わった気流である。チップ4参加を防ぐことができないなら、中国の立場を積極的に考慮するよう誘導しようという発想だ。共産党機関紙人民日報系列のグローバルタイムズは社説を通じて、「韓国がやむを得ず、米国が組んだ小グループ(チップ4)に合流しなければならないならば、韓国がバランスを取って是正する役割をすることを、国際社会は期待する」と書いた(記事1)・・>>

 

さて、私には「誘導する」ではなく、米国主導グループの内側から中国に有利になるように働け、と言っているようにしか見えませんが。中国側は前から、『前政権の負債から(借金などについて記録した帳簿から)から目をそらしてはならない』と主張してきました。それは、単に約束を守れというものではなく、まだ履行できていない部分がある、というニュアンスでした。3不1限というのは、中国官営メディアが主張したことはありますが、まだ中国外交部などが公式に話したことはありません。しかし、『3NO』には、『1限』相応の、発表されていない何か別の合意内容があるのではないか、そんな疑問は、韓国内のメディアからも何度も提起されました。

今回中国外交部が『適切な措置』を要求したのも、詳しく何を話したのかまでは分かりません。しかし、私にはどうしても『何か』の履行についての話ではないのか、そう見えます。私の心が曇っているから、でしょうか。

 

 

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