昨日お伝えした、韓国最高裁の現金化問題「判断保留」。昨日もお伝えしましたが、これは「現金化を保留すると判断した」ではなく、「現金化を施行するかどうかの判断そのものを保留する」という意味になります。しかし、一部では、最高裁が『審理中』であることは変わりがないので、事実上の『審理続行』ではないのか、との声も出ています。ちょっと書き換えてみると、『審理続行と発表してもよかったのに、なにを適当に判断しないとかそんな話にしているのか』、と。
最高裁のこの曖昧なスタンスに対し、まるで擁護でもするかのように、多くのメディアが「担当している最高裁判事が来月4日まで、今月中には何かの判断を出すだろう」と報じました。内部的には審理不続行(現金化スタート)と決めている、とも。直接的に書いてあるわけではないけど、もうすぐ不続行判断をするから、審理続行とは言えないというニュアンスでもありました。しかし、一部のメディアが、『判断保留』状態がこのまま長期化するのではないか、と指摘しています。最高裁側は、『いつ』まで判断を行うかは決めていない、というのです。
これは、韓国メディアとしてはマイナーな意見であります。しかし、相応の論拠はあるし、今までのスタンスからしても、納得できる側面があります。ネットメディア「ザ・ファクト」もその一つで、「今月中にやると、誰も言ってない」、「慣例(前例)を見ても、判事の任期とは関係ない。担当が入れ替わるだけ」としながら、「このまま放っておくわけにもいかないだろうけど、判断保留のまま長期化する可能性もある」と予想しています。以下、各紙、<<~>>が引用部分です。
<<・・現金化に対して再抗告した三菱重工に対する最高裁判所の判断時期が注目されている。最高裁判所3部(主審キム・ジェヒョン大法官)は、審理不続行の決定期限である19日まで、三菱が出した特許権現金化再抗告判断を下さなかった。本案審理を通じ、判決を宣告するという意思だ。審理不続行は、最高裁判所に上がった事件を、審理せず棄却する手続きのことをいう・・
・・当初、法曹界では、審理不続行(棄却)を予想する意見が多かった。しかし、対日関係を改善するという新政権の意志が反映された。外交部は、「合理的解決のために外交的努力を傾けている」という意見書を最高裁に提出し、事実上、保留を要請した。原告側は外交部に官民協議会の不参加を通報するなど、反発している。これにより、最高裁判所がいつ判決を宣告するのかに注目が集まっているわけだ・・
・・事件を引き受けた最高裁裁判部の主審であるキム・ジェヒョン判事が退任する来月4日までは、結論が出るという展望も出ている。いちおう、最高裁判所はこの話を否認している。最高裁判所の関係者は、「この事件をいつまで決定するとかそんな方針を定めたり、最高裁内部で合意したことはない」と明らかにした。実際、最高裁判所が、(※担当判事の)退任前に処理できなかった件は、新任判事が引き継ぐのが慣例だ。
状況によっては、最高裁が該当裁判部の構成を変えることもある。昨年5月、最高裁判事の後任で新しい判事が赴任したときにも、最高裁判所は該当裁判部の構成を改編したことがある。日本政府、原告側と交渉するために外交部が要請して審理不続行にしなかったため、最高裁の審理は長期化するのではないか、という見通しも出ている(ザ・ファクト)・・>>
同じく、直接的に書いてあるわけではありませんが、『どうみても審理続行判断です』な内容で、ちょっと笑ってしまいました。さて、繰り返しになりますが、これは韓国メディアの中ではかなりマイナーな意見で(同じ趣旨を書くメディアが他にまったく無いというわけではありませんが)、どうなるかはまだ分かりません。ただ、『今月中に判断するという話、最初に言ったのは誰だ?』なことがちょっと疑問だったので、面白い指摘だなと思いました。逆に、韓国日報は、『あれ、これ、もしかして審理続行(現金化せず)なのか?』と気づきながらも、『そうか、これは、韓国側が手を差し伸べたのだ』との趣旨で社説を載せています。いつものあれです、日本『も』誠意を見せ、特に、輸出管理について、真剣に考えるべきだ、と。
<<・・三菱重工の再抗告に対する(※審理続行・不続行の)決定期限である19日、最高裁判所が何の決定も下さず、審理を続ける可能性が見えてきた。再抗告を棄却しないことで、一応は、現金化手続きが遅れるわけだ。韓国政府は原告側と緊密に協議し、国民の信頼をもとに外交協議を導かなければならず、日本政府も韓国の努力に呼応する成意を見せなければならない・・
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は光復節演説で、日本を「力を合わせなければならない隣人」と規定し、17日就任100日記者会見で「日本が懸念する主権問題の衝突無しの方案を講じている」とし、両国関係の改善に力を入れた。日本メディアも肯定的な評価を出した。朝日新聞は18日付の社説で「責任を持つ当事者である日本側も呼応する行動を見せなければならない」と主張した。具体的には、日本政府が今まで表明してきた謙虚な考えを再確認し、輸出○制(※いわゆる管理厳格化のこと)解除手続きを開始することを提案した。日本政府が心に留めておくべき課題だ。岸田政権は「韓国が具体的な案を出さなければならない」という立場だが、日本も韓国の努力に呼応しなければならない。そうでなければ関係の進展が成り立つはずがないのだ(韓国日報)・・>>
判断を待つまでもなく、オチを書くまでもなく、この韓国日報の記事が全てを物語っていると言えるでしょう。「こんな認識じゃ、何も変わらない」、と。週末でもあるし、今日はこれで失礼します。次の更新は、明日の11時頃になります。皆様、良き週末を。
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