プレジデントを見ているのか、それともキングを見ているのか・・3人の大統領に関する、韓国メディアの「とある方向性」

遡ること、約9年前、2013年11月のことです。当時、朴槿恵・弾劾・大統領が(格闘技番組の選手紹介風に)が、イギリス、フランスなどを訪問し、これが結構大きな話題になりました。今思ってもなんでこれがここまで話題になったのかよく分かりませんが、政権が始まってからまだ1年も経ってない時点だし、朴槿恵大統領もこのときは自由民主主義陣営との連帯をアピールしていたためかもしれません。

当時、多くのメディアがこの件を記事にしましたが、その中の一部が、どちらかというと北側のような記事を出していました。有名なのが2013年11月5日のイーデイリーの記事で、槿恵大統領がイギリスに到着したときに、雨が止んで空が少し晴れたてきことで、「朴大統領、バッキンガム宮殿に入ると雨が止んて、太陽の日差しがギラギラ」、「5日、朝から雨が降っていたロンドンの空は朴大統領の歓迎式が始まる頃から、晴れた」、「朴大統領を乗せた王室の馬車がバッキンガム宮殿に入るときは、太陽の光がギラギラすると思われる」と記事を書いたりしました。最後の太陽の光云々は、「予想します。大統領が(バッキンガム宮殿に)着くと、雨が止むでしょう」と話した、当時イ・ジョンヒョン大統領府広報首席の話で、記事は「冗談で言っただろうけど、それがあたったのだ」としています。

 

『プレジデント』ではなく『キング』について書いたような記事。レベルは多少下がったものの、ユンソンニョル大統領についても似たような記事がいくつかあって、左側のオーマイニュースがそれらの記事を分析し、指摘しました。実は、今回の台風ではなくその前の大雨のとき、ユン大統領が普通に退勤し、大統領室の話だと「自宅で頑張った」としていました。一部の保守側メディア以外は、この件を結構大きく報道しました。それを意識したから、でしょうか。今回の台風では、保守側メディアを中心に、ちゃんと大統領が退勤しなかったことを強調する記事が溢れた、とのことでして。『目にダークサークルができていた(中央日報)』『ズボンが変わった。覚悟の印だ(朝鮮日報)』などです。前はスーツ用のズボンだったのに、今回はそうではない(韓国で言う『民防衛訓練』用のズボン)、というのです。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・タイトルに「非常待機」「徹夜待機」が入った記事が、9月5日、溢れ出した。特に凄いのは、ユン大統領の「ダークサークル」まで「解釈」を加味した中央日報の記事だった。この日、台風上陸とそれに対する政府対応が大いに注目され、ユン大統領と政府の対策の準備にメディアの関心も熱かった。それもそのはずだ。8月8日、ソウルと首都圏をはじめとする記録的な大雨による水害当時、ユン大統領が退勤して自宅で指揮したことなどで、世論の批判が強かったからだ。今回は台風に対する政府の対応が注目されるわけだ。

5日、「今日は退勤しないで、大統領室で指揮を取るのか」という記者の質問に、ユン大統領は「今日は私が非常待機(緊急待機)をしようと思う」と答えた。大多数のメディアがこの大統領の言葉をそのまま記事にした。「緊急対応」でもなく、「緊急待機」関連記事が溢れた理由がこれだ。台風に対する安定した政府対応が求められる状況で、大統領が退勤したかどうかが、メディアの関心事になってしまったのだ・・・・大統領の「徹夜」を強調したり「覚悟」を強調する報道も、ともに溢れた。一見、大統領が「退勤をしなかったこと自体」が褒められる論調にに見える、そんな余地も十分にあった(オーマイニュース)・・>>

 

で、出てきたのが、先の目のダークサークル、ズボン、『徹夜』『退勤しなかった』などなどなわけです。さすがに太陽がどうとかの話はありませんでしたが、確かに、こんなときに大統領が退勤しなかったことだけで褒められるのは、無理があると思われます。しかし、これは右側の問題だけではありません。左側も同じです。2018年9月20日、当時文在寅大統領が北朝鮮を訪問、金委員長とともに白頭山に登ったときのことです。ニュース1が、「事前の予報(曇り)とは違い、天気は晴れていた」、「天も平和を助けた」、「白頭山が晴れるには、登る人が3代にわたって徳を積み上げないとならないということわざがある」などと報じました。

<<・・文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が白頭山に登った20日、平壌共同取材団が公開した写真の天気は、当初雲がかかるという予報とは異なり、青く澄んでいた。南北首脳が最初に白頭山を訪問した中、「空も平和を助けた」という冗談が出てくるほど晴れた天気と、晴れた天池(※白頭山にある池)を見た南北両首脳内外の明るい表情も注目を集めている。平壌共同取材団の写真によると、白頭山の天気はとても澄んで晴れた。

雲一点なく明るく沈んだ天気のおかげで、白頭山天地にはこれをめぐる峰がそのまま投影されるなど美しい光景を演出した。白頭山の空は1年に20日も見れないことで有名だと言われるほど、白頭山頂部の天気は気まぐれだと言われている。だから「3代が徳を積み上げないと、晴れた空は見れない」ということわざがあるほどだ。しかし、両首脳がこの日に訪れた白頭山の天気は幸運に恵まれ、晴れていたのだ(ニューシース)・・>>

 

右も左もなく、『プレジデント』ではなく『キング』を見ている、いや、望んでいる。そう思ってしまうのは、私だけでしょうか。ちなみに、中国の影響もあって、韓国では『王』は『天』に選ばれた人であるという考えが、(個人的な感覚ですが)相当強いです・・・と、大した続報などがなく、国内ネタになりました。あ、そうだ。一つ、続報があるとするなら、現金化関連で『来月にでも公式案を提示する』とした記事について、韓国外交部が公式ブリーフィングで『時限を設けているわけではない』とし、間接的にそうじゃないとするコメントを出しました。出すとしても、多分、基金案でしょうけど。

 

 

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