尹錫悦大統領、5ヶ月でレームダックか・・国内では保守支持層の離脱が始まり、外交は完全に行き止まり状態

尹錫悦(ユンソンニョル)大統領のことで、レームダックについての記事がいくつか出ています。いままでも似たような記事はありましたが、ほとんどは左側メディアによるもので、結果というよりは彼らなりの論拠に基づくものでした。その多くは単なる米韓同盟強化を牽制するためのもの(妙に中韓関係を強調する)だったりしましたが、中には『すべての政策において、具体性が弱すぎる(本ブログも同じ意見でした)』を指摘するなど、ちゃんとした指摘を書く記事もありました。

それから、なんとかなんとかで就任5ヶ月になった尹大統領ですが・・左側だけでなく複数のメディアからの、『これ、本当に5ヶ月でレームダックになったのでは』という記事が目立っています。本エントリーのソース記事にもあえて左側の記事はチョイスしていません。私も、いままでは「レームダックだと言うのはいくらなんでも早すぎる。まだこれからという考えでカバー出来る側面がある」と思っていましたが、最近はちょっとだけ考えが変わりました。ブログを書きながら、「確かに、5ヶ月でレームダックだという主張もわかる」と思うようになったからです。

 

個人的には(ブログのテーマもあるし)やはり外交関連が気になります。いままでは、それでも大統領室や外交部は『~していく』という話を積極的にアピールし、それを盛り上げるマスコミのスタンスがありました。でも、国連総会の前に大統領室が『快く会談を決めた』としながら日韓・米韓首脳会談を発表した頃から、そのスタンスに変化がありました。普通なら外交部がやることを大統領室がやって、しかも外交部は何もフォローせずに後ろに隠れていたからです。それまでは、結果がうまくいくかどうかを離れて、それでも長官クラスが『今度こそうまくいく』な話をしていたはずですが。今思えば、外交部としては、すでに『今までのように盛り上げることもできなくなった』と分かっていたのかもしれません。

それから、皆さんもよくご存知でしょうけど、懇談や歓談が話題(?)になって・・今度はマスコミの論調が変わりました。一部の『批判』以外に、外交についての話がほとんど出てこなくなりました。もちろん国連総会が終わった後で、国内の政治問題とかいろいろある、というのもあります。でも、少なくとも前の大統領選挙で尹候補が当選してから、こんなに外交関係の記事が『元気がない』のは初めてです。まるで、文在寅(ムンジェイン)大統領の任期末を見ているようです。

 

国内でもこの流れは変わらず、与党内では大統領選挙前からあった『イジュンソク代表との対立』が日々強くなるばかりで、例の問題発言関連を始め、外交で『完全に失敗した』という話がメインになっています。岸田総理との懇談の件も、一時は『それでも、関係改善のきっかけを作った』という記事が結構出ていましたが、朝日新聞など日本側の記事がその『懇談』の背景(どうみても尹大統領が低姿勢だった)が報じられてからは、完全に記事の方向性が変わりました。多くのメディアがエリザベス女王参拝(弔問)できなかったことや、例の問題発言などを取り上げていますが、私は個人的に、この『懇談』が支持率に与えた影響のほうが大きいだろうと見ています。以下、レームダック関連の記事を2つ紹介します。韓国経済(韓国経済TV)と、文化日報です。注目すべきは、『保守支持層が離脱しつつある』という話でしょう。また、個人的に気になったのは、取材に応じた省庁関係者が、政策の樹立・施行について『(今の支持率だと)今まであったもの、安全なものだけやすしかない』と話している点です。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・「25%前後の支持率が6ヶ月以上続くと、あちこちで不満が表出されるだろう」。与党『国民の力』のシンクタンクの研究院出身の人が、そう展望しました。任期終了を控えた大統領の権力弱体化を意味する用語、いわゆる「レームダック」が発生する可能性があるという主張です・・・・事実上2ヶ月以上、20%台の支持率から抜け出せずにいます(※ソース記事が引用した韓国ギャラップの調査では、最近データは24%です)。歴代大統領の在任1年目の国政支持率を比較してみると・・・・同じ期間、尹大統領より低い国政支持率を記録した大統領は1李明博元大統領(21%)しかいません。文在寅前大統領の75%と比べると、46%ポイントも差があります。

低い支持率は、尹政権の国政課題の実践にも影響を与えます。大統領室は人的刷新を行い、組織改編で政策企画首席職を新設しました。就任序盤、政治圏内外で「政策が見えない」としていた指摘が続き、政策機能強化に乗り出すという意志を示したのです。しかし、今の国政支持率のせいで革新的な新しい政策を提案し、実践するのは容易ではありません。複数の政府省庁関係者たちは、「安全なもの、既存にしたこと、必ず必要なものだけを行う雰囲気だ」と伝えました。また、予算案など国政課題実践のために国会協力が必須ですが、野党の議席数が多いため、その通過も容易ではないでしょう(韓国経済)・・>>

 

<<・・支持率「ダブル・ディップ(double dip、下がって、上がって、すぐまた下がる)」が起きている。支持率ダブルディップは、大統領選挙で尹政権を誕生させた「保守・中道連合」がもう無いという点を説明してくれる。実際、保守政権に対する「中道」の離脱現象ははっきりしている。彼らが進歩(※左側)と連合すれば、早期レームダックを迎える可能性がある・・・・キム・ヒョンジュン、ミョンジ大学特任教授は、「大統領候補の単一化の過程で作られた、尹錫悦と安哲秀(アン・チョルス)の保守・中道選挙連合が、執権後の統治においては連合になれなかった。事実上そのまま瓦解したことが、中道離脱のもっとも大きな要因になる」と話した。キム教授は「中道・進歩はもう尹政権を支持せず、中道・保守の中でも尹大統領支持を取りやめる、または留保する割合が高まっている」と分析した。

2カ月前、国政支持率が最低点まで下がった時、大統領周辺や『国民の力』など与党内部では、根拠のない楽観論が出回った。「支持率が底を打ったから、自然に上がるだろうね」というのだ。このような無邪気な解釈と漠然とした期待は、かなり長く続いた。そんな中、支持率ダブルディップ現象が起きると、今は任期序盤でのレームダックになるのではないかと与党側が緊張している。与党重陣議員は「レームどころか、ブロックン・ダックまで行く可能性だってある」と憂慮した(文化日報、ホ・ミン行政学博士)・・>>

 

 

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