韓国金利引き上げ、相次ぐ副作用・・今度は「家を借りる(伝貰)ための融資」を受けた20代・30代、給料のほぼ全てが返済に・・93.5%が変動金利

金利引き上げ、いままでより大きなニュースになっていることもあるし、もう一つエントリーします。同じテーマではありますが、各メディアが、昨日とはちょっと違う『層』についての記事を取り上げています。まず、メディアの反応は、こんなことでも『尹政権はよくやった』とする趣旨の記事と、『金利が引き上げられる状況じゃないから米韓通貨スワップなどの主張が出ていたのに、進展があると言いつつ、結局は何も変わっていない』とする記事に分かれています。ただ、やはり、『家計負債と不動産価格』をメインにして懸念を示すメディアのほうが多い、そんな印象です。

一つ前のエントリーで紹介した『大企業社員』さんのようなケース(某大手銀行の実際の事例)が他にもいくつか各メディアに取り上げられ、話題になりました。しかし、多くの記事のコメントには、少なからず『それでも、その人は恵まれている方だ』とする意見もありました。実際、何はともあれ、いわゆるヨンクルしたかどうかを離れ、家が買えたわけですから。そんな中、いくつかのメディア(ここではJTBCCBSノーカットニュースをソース記事としました)が、『たしかにそれはそうだ』と、ジョンセ(伝貰)、すなわち家を『借りる』ために貸し出しを受けた人たちのことを記事にしています。

 

ジョンセとは、一定の金額(保証金)を大家に預けて、家を借りる韓国独特の制度です。ソース記事に書いてある内容ではありませんが、『ジョンセ保証金のため』とハッキリ区分されているデータは一部にすぎないという指摘もあります。なぜなら、普通の銀行(特記なしに『銀行』、または都市銀行、第1金融圏などといいます)の場合は、ジョンセ保証金のために比較的安い(とされる)貸出商品があります。だから、それを利用すれば記録もちゃんと残るでしょう。でも、それより融資のハードルが低く、金利は高い第2金融圏(いわゆる貯蓄銀行)などのデータは、そもそも何のために融資を受けたのかがハッキリしない、という指摘があります。

一応、これから紹介する各数値は、『普通の銀行』だけ、ジョンセの貸し出しとして記録されているデータです。とにかく、そのジョンセのための融資制度があって、比較的金利も安く、多くの人たちが利用しました。その貸出の利用者が、ここ1~2年で、金額で70%以上、利用者で50%も増えた、とのことですが・・問題は、その93.5%が変動金利でして。しかも、借りた人の6割が20代・30代で、1人あたりの金額が1000万円を軽く超えています。その半分以上が、『1~2年ぐらい前から』急激に増えた分、とすると、昨日紹介した『大企業社員』さんと同じく、まさしく金利引き上げの影響を真正面からうけたことになります。このままだと、『給料のほぼすべてを(記事原文ママです)』返済に使うことになる、とも。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・(※金利が高くなって新しく貸し出しを受けるのも大変だが、という内容の後に)もっと問題なのは、すでに融資を受けたままジョンセで暮らしている人たちです。銀行の関連貸出者は130万人、残高は162兆ウォンに達します。1人当たりの平均融資額が1億2400万ウォンに達するという話です。さらに、その93.5%は変動金利です。残っている期間、跳ね上がる利子負担をそのまま受け入れるしかありません。【Aさん/31歳「貸し出しを受けた当時は、当然、変動金利がもっと安いからと変動金利にしたし、こんなに金利を上げるとは想像もできなかったので」】。貸切貸出を受けた10人のうち6人は20~30代です。所得は多くないのに利子負担が急激に大きくなり、返済できない人が続出する恐れが出ています(JTBC)・・>>

 

<<・・昨年6月、銀行でジョンセ資金貸出2億ウォンを受けた30代のA氏は、今年に入って金利が急騰し、その負担で夜も眠れないでいる。去年6月には韓国銀行基準金利が年0.5%水準で、コピックス6ヶ月物(年2.69%)に連動する金利は、なんとか返済できる水準だった。当時は、A氏の月間利息は44万8千ウォンぐらいで、年間でも538万ウォンを予想していた。しかし今年10月基準でA氏が毎月納付しなければならない利子は72万ウォンで、27万2千ウォンも増加し、年間利子納付額も864万ウォンに大きく増えた。

問題は。韓国銀行金融通貨委員会が12日、基準金利を0.5%引き上げ、3.0%にする「ビッグステップ」をおこなった点だ。昨年8月から14ヶ月間の基準金利は、ビッグステップ2回を含む計8回にわたり2.5%ポイントも急騰した。A氏の月利子納付額は今月基準金利引き上げ分が反映される時点が来れば、さらに増えるだろう。元金返済額まで合わせれば、月給のほとんどをジョンセ融資を返済するために使うことになると思われる・・

 

・・ジンソンミ共に民主党議員が金融監督院から受け取った資料によると、今年6月末現在、銀行圏のジョンセ残高は169兆290億ウォンに達すると集計された。去る2019年末(98兆7315億ウォン)に比べて71.2%(70兆2975億ウォン)も増加した額だ。同期間、貸出を受けた人の数も137万6802人で、48.9%も増えた。昨年末基準の残高(162兆119億ウォン)のうち変動金利の割合は93.5%で、2年前(83.2%)より10%ポイント以上増えた。何より20~30代の貸し出し規模が、100兆ウォンに迫った。 今年6月末現在、該当貸し出しを受けた20~30代は84万8027人で、全体の61.6%になる。彼らの残高は93兆9958億ウォンで、2019年末(54兆7381億ウォン)に比べて71.7%も急増した(CBS)・・>>

さすがに一人一人の事情は分かりませんが、借りるにしても融資額が大きすぎないでしょうか。本ブログ、昨日のコメント欄にも『いくらなんでも高すぎないか』という意見がありましたが、借りるにしても、同じく高すぎます。でも、いざ借りる側の人たちからすると、そう驚くほどの価格ではないかもしれません。もともと『当然、値上がりする』が前提だからこそ、という側面が強いですから。いろいろ読んでみて感じたことは、他にも本ブログで書いてきた多くの案件に共通します。「あるかないか」ではなく、「急にすぎる」が問題である、と。これでは、買っても困る借りても困る、といったところでしょうか。

 

 

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