韓国銀行の0.5%金利引き上げ、及び『年内にもう一回』の予想が重なり、昨日から企業や家計の債務関連ニュースが多くなりました。本ブログでも一昨日の午後から昨日まで3回に渡って「いわゆるヨンクル」で家を購入した人たち、ジョンセ(家を借りる制度)保証金貸出の現状、企業の立場などをエントリーしましたが、各メディアがもっとも注目しているのは、やはり家計負債(家計債務)です。ひさしぶりに家計債務のことを紹介しようかなと思いながらも、いまさらまとめるといっても・・とちょっと迷っていましたが、ちょうど相応しい記事があったので、そちらを紹介したいと思います。
まず、昨日もコメント欄などで話題(?)だった変動金利ですが、一般的に73.5%となっています。2021年7月のデータです。2021年9月12日『毎日経済』の記事によると、「韓銀家計融資統計によると、7月の銀行圏残高基準、変動金利の割合は73.5%で(※2020年67.2%)、 金利を引き上げた場合に大きな負担がかかるローンが、それだけ多くなったという意味だ。今年に入って金利上昇の懸念が大きくなったが、当面は基準金利(※当時0.75%、現在3%)が低く、変動金利に設定したローンが着実に増えたために発生した現象である」、とのことです。
記事は、この時点で「基準金利が1%ポイント引き上げられた場合、家計の負担は12兆5318億ウォン増える」と試算していますが、12日の金利引き上げでは54兆ウォンの負担が増えた、となっています。1年前の記事に0.75%がどうとかの話が出ていたとは、金利引き上げが急だったのが実感出来ます。ています。ここからはイーデイリーの記事で、「実際の経済成長より家計債務がもっと増えてしまった」とする専門機関の分析と、事実上、打つ手がないという専門家の意見などが出ています。その変動金利率も参考にして、以下、お読みください。<<~>>が引用部分となります。
<<・・我が国の家計債務が、経済の最大のリスクとして浮上している。相次ぐ金利の引き上げと不動産市場の低迷により家計債務の増加傾向はやや鈍化しているが、主要国に比べて急速に伸びた家計債務は6月末基準で合計1869兆ウォンで史上最大規模を記録している。経済協力開発機構(OECD)が集計した韓国の世帯の『仮処分所得に対する家計債務比率(※実際に使える分の所得と家計債務の比率)』統計を見ると、2008年138.5%、2018年185.0%、2019年188.2%、2020年に200.7%まで増えた。世帯が実際に使用できるお金に比べて、倍以上の借金をしているという意味になる。
これは、グローバル金融危機の始点だった2007年(※サブプライム・ローン事態)、米国の世帯仮処分所得対債務比率の144.7%を圧倒するものである。現代経済研究院が8月に発刊した「金融不安定性、長期均衡線を超えている」という報告書によると、新型コロナ(2020年1~3月から2022年3~6月までの期間)以降、家計の金融不均衡レベルは78.5で、長期平均である50.0を上回った。2008年の金融危機当時、不均衡レベルは75.4だった。家計金融不均衡が高まったということは、家計債務の増加率が、実物経済成長率を上回ったという意味になる・・
・・専門家の間では、今の家計債務問題が、すでに手を打つには遅すぎるという懸念も出ている。長期債市場が成熟していない金融機関の資金調達市場の特性上、変動金利の比重が高くなるしかない構造であるため、現在のように金利を持続して引き上げる期間になると、その影響を強く受けるしかないからだ。国会政務委員会所属のオギヒョン議員室が最近引用して発表した国際決済銀行(BIS)統計によると、米国の国内総生産(GDP)に対する家計債務の割合はリーマン・ブラザーズ事態直前の2008年に99%まで上昇したが、以後負債縮小努力を継続して今年77%まで下落した(※調査にもよりますが、日本は59~60%前後です)。一方、韓国は2008年70%から、今年1~3月基準で105%に大きく上昇し、米国とは異なり、管理ができないでいると指摘した・・
・・去る12日に行われた基準金利0.5%ポイント引き上げで、世帯の利子負担は54兆ウォン増えると予想されている。さらに大きな問題は、現在の状態が短期間で終わらないということにある。シンヨンサン金融研究院金融リスクセンター長は、「1997年や2008年に比べると、今の経済のファンダメンタルはより良くなっているが、今回のリスクにおいて核心となるのは、今の状態が長期化する可能性が高いということだ」、「来年下半期以降は、追加的に金利の引き上げはしなくても、だからといって下がることもなくそのまま続くことになるだろう。すると、脆弱な借主はさらに増え、次々と問題になる可能性が大きくなるだろう」と話した(イーデイリー)・・>>
まだ旧ブログの頃・・だったかな。この可処分所得対比の家計債務関連データで、150%を超えたと話題だったことを覚えています。サブプライムローン事態のとき、米国の同じデータが144%だったからです。それが、いつのまにか200%を超えていて、しかもそれが2020年のデータである、と。2020年なら、それからも大幅に増えたはずですが。本ブログでも12日に『大企業社員』さんの実際の事例を紹介したことがありますが、あれも「2年前」となっていました。ちょうどヨンクル(何でも使って貸し出しを受け、不動産を購入する若い人たちのこと)が流行っていた頃です。いまはどうなっているのやら。
最後に、何度も引用したデータではありますが、国際金融協会(IIF)がデータが集計している中では、韓国が世界で唯一、家計債務がGDPより大きな国です。今年1~3月基準で、104.3%。香港が95.3%、タイ89.7%、イギリス83.9%、米国76.1%、中国62.1%、日本59.7%、ユーロゾーン59.6%。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 ・準新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 ・既刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。