12日の金利引き上げをきっかけに、不動産関連、ジョンセ(家を借りる制度)関連、家計債務、企業債務、プロジェクト・ファイナンス、などなどの側面でいくつかのエントリーを書いてきました。その中、一部の専門家たちは、関連した内容として『出生率』を挙げています。韓国の出生率は、2019年に0.91となって、2020年には0.84まで急激に減少し、2021年には0.81になりました。特に、今年(2022年)4月~6月(2・4分期とも言います)、そのデータでは0.75でした。
ちなみに、各メディアが紹介している2020年のデータによると、OECD平均が1.59で、イスラエルがダントツで高く2.90、次にメキシコが2.08。3位フランス1.79、4位コロンビアで1.77・・と続いて、米国を含めてほとんどの国が1.6~1.7前後、日本が1.33、ギリシャ1.28、イタリア1.24で、最後に、1を超えていないのは韓国だけです(当時0.84)。こんな状況だから、韓国経済など、主に『経済』の字が付いているメディアが、『盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権のときから政府レベルの対策が始まったのに、いくらなんでもここまで効果が無いのはなぜなのか」という疑問を提起しています。いままで使った出生率対策費用は、今年の分まで含めると約300兆ウォンだそうです。
もちろん、最近だけでなく、もう十数年前から本ブログで取り上げた数々の問題が直接・間接的に影響しているとも言えますが・・あくまで『対策』という側面にフォーカスを合わせてみると、『先端武器導入』『青年層の経済関連対策』に出生率対策として予算が割り当てられており、さらには『妊娠中○(ダタ○)』をしやすくする法律改正まで『出生率対策』となっている、とのことでして。別に安保関連や青年層のための政策に問題があるというわけではありませんが、記事は、『じゃ青年層対策だろう。なんで出生率対策の予算が使われたのか』と指摘しています。ここまで読んで、個人的に、『どっかで見たことある』と思いました。朴槿恵(パククンへ)政権の創造経済のときとまったく同じです。もう懐かしい話ですが、朴槿恵政権のとき、『創造経済』というスローガンがありました。当時、担当長官に内定された人も『くわしくは分からない』という趣旨を話して話題になったりしましたが、詳しく何が創造的なのかはよく分かりません。
とにかく、大統領が言ったから各省庁が全力でやったわけですが、「『創造経済実現計画関連事業2014年予算案』によると、政府が創造経済活動として提出した事業の殆どは、前の政権から行われてきた事業を、名称だけ変えただけの事業だった(2013年10月19日京郷新聞)」というのが実情でした。創造経済関連の予算の中で、「新規事業」の予算は5.2%だけだったそうですから、94.8%は、前からやっていた事業の『予算』を楽にもらうために、名前だけ変えて『創造経済です!』ということにした・・そんな意味です。記事によると、政府レベルで「PSYやバラエティー番組など」を創造経済の事例として言及している、とのことでして。その繰り返しです。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・政府が低出産総合対策を初めて設けた2006年だけでも、支援対象は乳幼児と子育ての親に限られた。しかし、2016年、青年雇用と住宅に関する予算が含まれ、2018年からはすべての世代の生活レベルに関する予算まで低出産対策になってしまった。その結果、2006年に2兆1000億ウォン台だった関連予算は昨年46兆6000億ウォン台に21倍も増えたが、この期間、出生率は1.13人から0.81人に下落した。いままで低出産対策とは大して関係もない事業まで、出生率対策のための政策としてあれもこれもと取り入れながら、予算だけ増えて実際の出生率対策にはなれないという指摘が出ている。
今年の低出産高齢社会施行計画を見ると、低出産対策として、見解に無理のある事業が多数含まれている。文在寅政権の代表的な『無駄な予算』事業とされてきた「グリーンスマートスクール造成」もその事例だ。地方の学校をリモデリングするというこの事業は、今年1兆8293億ウォンの予算が投入される。しかし、低出産の解消にどれだけ役立つかは不確かだ。前政権の力点事業という理由だけで、妥当性の調査さえ免除され、事業効果も考えられていないためだ・・・・薬の投与を通じた妊娠中○(ダ○イ)を許容する内容を盛り込んだ母子保健法の改正も、低出産高齢社会基本計画に含まれる事業の一つだ。
最高裁判決により法を改正するというならそれはともかく、これを低出産対策としていいのかどうか、という指摘が出ている。さらに、先端武器導入を通じて軍事力を補強する予算987億ウォンも低出産高齢社会施行計画に含まれている。低出産高齢化で軍に入隊する人口が減ることを勘案して先端武器を増やすという事業だが、これも同じく、出生率対策にあたいするとは思えない・・・・ 2006~2010年にはテンプルステイなど宗教文化行事支援事業が低出産予算に含まれた。家族の余暇生活を支援するという趣旨からだ。
2016~2018年には輸出中小企業支援が低出産予算で行われた。昨年は、創業成長技術開発事業、官民共同創業、ゲーム開発者の育成、漫画産業基盤の造成のためのウェブトゥーン融合センターの構築など、青年支援事業が多く含まれた。各種事業が低出産対策に含まれ、低出産対応予算はどんどん膨れ上がった。低出産対策が初めて発表された2006年2兆1445億ウォンから昨年は46兆6846億ウォンまで増えた。今年の低出産予算はすでに50兆ウォンを超えたと推定されている(韓国経済)・・>>
広い視野(広い心?)で見ると、確かに人が生きるのに必要だとも言えますが・・それを言うなら全ての分野が含まれるのでは。ただ「予算が取りやすい『カテゴリー』」に、政策を書いておくだけではないのか、そんな気がしてなりません。創造経済もそうだったし、文政権ではK防疫関連で似たような流れがありました。
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