韓国メディア、一斉に『日本発の金融危機』を報じるも・・一部メディアの東京特派員『いま日本にいますが、そんな雰囲気はまったくありません』

2日ぐらい前からだと思います。本ブログもそうでしたが、12日から多くのメディアが金利引き上げによる様々な副作用を集中的に取り上げました。一部のメディアは、食事ができなくなった若い会社員たちの話を取り上げたりもしました。それらの報道がある程度落ち着いたと思ったら、なぜか急に始まった『日本金融危機』記事。聯合ニュース、KBSなど大手を始め、聞いたことのないネットメディアにいたるまで、ほぼすべてのメディアが『国家の債務が大きいので金利引き上げができない』『貿易赤字が大きいのでもう手の打ちようがない』の2つの点を共通して書いています。KBSの場合は「我が国にも影響するので、日本の国運があまりにも早く衰退しないことを願うだけです(直訳)」という記事まで載せました。

今年初頭からこんな流れはありましたが、一部のメディアは専門家の見解を引用しながら『いや、それは違う』『いま他国の話しをしていていいのか』などを指摘しました。代表的なのが租税専門メディア『租税日報』で、記事は「急激な通貨安にも関わらず、日本は9月の企業の経常利益は17.6%増加し、内部留保は初めて500兆円を超えた」、「31年連続世界最大の債権国である。5月基準で日本の対外純資産は411兆1841億円で、前年同期比15.8%増加した」、「円安により、海外資産の価値は上がっており、これが、為替介入に積極的にならない理由の一つでもある」、などを指摘していました。しかし、今回は、そのような論調の記事は、(私が読んだ中には)ありませんでした。まるで、何かのマニュアルか、それとも義務感で書いている、『こう書かなければならない』と思われる、そんな記事ばかりです。

 

これらの記事は、ほぼ共通して、『貿易収支』『債務』『物価高騰』『人材流出』『通貨安』などを取り出していますが、人材関連はともかく、ほかの項目は、12日から各メディアが取り上げてきた『自分側の問題』と一致していますが、これは果たして偶然なのでしょうか。ちなみに、8月時点で韓国の経常収支は赤字でしたが、日本の場合8月だけで金融収支は1兆7125億円の黒字を記録し、経常収支も予想より大幅に少なかったものの、黒字となりました。同じく物価上昇率においても、日本の物価上昇率3%台を『物価がコントロール出来ない状態』としている記事もありますが、韓国の場合は夏あたりから毎月5~6%台の物価上昇率を記録しています。通貨安も、つい最近まで通貨スワップ主張が大きく取り上げられていたことを考えると、もう何がなんだかよくわかりません。いつものことですが。

 

もちろん、日本だけでなく世界各国の現状において、『なんの問題もない国』があるとは思えません。しかし、どう考えても、いま韓国が日本に対して『金融危機』を論ずるのか・・と、違和感しかありません。特に、つい数日前まで国内に向けて同じ趣旨の記事を書いていたメディアだけあって、急にどうした、としか。逆に、いざ韓国経済にもっとも大きな影響を及ぼす中国が、急にGDP発表を延期するとかいい出しましたが、その件についてはあまり話題になっていません。一応報じられたものの、『中国の(金融などの)危機』を語る記事は、見たことがありません。

そんな中、ほぼ唯一、『いま日本にいますけど、金融危機とかそんな雰囲気はまったく感じられません』と、直接書いてあるわけではないものの、国内メディアの記事に対して『いや、それ違うから』と迂回的に指摘する記事がありました。韓国日報の日本特派員が書いたもので、ちょっとだけ引用してみます。これでも、引用部分以外には『そ、それでも、円はもうこれ以上安全資産ではないからね』な内容が続きますが、引用部分だけだと、それ自体が今まで書いた内容へのオチになってくれそうなので、引用してそのまま終わりにします。

 

<<・・21日午前、日本東京証券街、日本橋兜町。前日、円・ドル為替レートが150円になり、金融危機の影が見え隠れするのだろうかと思ったが、とても平穏だった。出勤する証券会社の職員たちに「金融危機が迫ることもあると思うか」と聞いたところ、みんなびっくりした。「初めて聞く話だ」、「それはどういうことなのか」と。彼らが心配するのは物価だった。輸入物価と消費者物価が上がり、企業の採算性や国民の生活に影響するのではないか、という話だった。

「日本発、アジア金融危機が迫る」という暗い見通しに耳を傾ける日本人はほとんどいない。国内外の経済専門家たちもそうだ。なぜだろうか。円安なのは事実だが、深刻な危機状況ではない。円・ドル為替レートが147円を超えたのは史上3番目だ。株価・債券価格・円価が急落する「トリプル弱勢」が現れた1990年、バブルが弾けてアジア金融危機も重なった1998年、そして今年だ。今回の円安はすごいレベルだが、日本経済に深刻な危機警報が鳴るわけではない、というのが専門家たちの一致した見解だ・・

 

・・1990年は株式・債券価格が暴落し、金融市場が振り回された。1998年にはアジア各国に金融危機が迫った。どちらも円安につながった。だが、今は状況が違う。今回の円安を誘発したのは「ドル強」だ。米国の緊縮政策で、ドルを除くほとんどの国の通貨価値が一斉に下落している。円安は、まずなんとかしないといけない、そんな急なものではない。日本の外国為替保有額は、中国に続き世界2位、今年9月末基準で1兆2380億ドルだ。バブル経済の時、世界各地の資産を買い入れた結果、過去30年間、対外純資産(対外債権-対外債務)世界1位を守っている。さらに、日本はイギリス、スイス、カナダ、欧州連合(EU)と共に米国と無制限・無期限通貨スワップを締結中であり、これらのドル発の為替危機を迎える可能性はほとんどない(韓国日報)・・>>

 

 

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