最近は家計負債、各企業の資金調達関連、特にプロジェクト・ファイナンスなど、主に金融関連の内容がすっかりメインになっています(政治関連以外だと、各韓国メディアもこの件にかなり力を入れています)が、今回は3日ぶりに、いわゆる現金化関連のエントリーになりました。一応続報になりますので、まず24日にお伝えした内容を簡単にまとめてから始めたいと思います。23日、共同通信が『日韓が基金案で本格協議に入り、11月G20で首脳会談を行い、早ければ年内の合意を目指す』と報道しました。基金案とは、大まかに、既存の財団に韓国企業『だけ』が資金を出し(記事内容だけだと、両国政府と日本企業側は資金を出さない)、支払いを解決するというものです。記事本文では『肩代わり』ということになっていました。
こういう動きが本当にある、本格的に協議中である、そんな可能性ももちろんあるでしょうけど、私としては、違和感がありました。まず、日本側としても韓国側としても、いままで主張してきた核心的な内容が入っていません。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領としては、日本『側』が基金に関わらない案に、国内での同意を得るのは難しいでしょう。岸田文雄首相としても、いままでの『両国関係の土台となってきた基本条約である』『一貫した立場に基づき』としていた基本方針から後退することになります。それに、岸田総理も尹大統領も、いま支持率的にも余裕がありませんし。
そんな中、日韓次官級会議がありましたが、その場で、上記の報道とは・・似ている部分もありますが、肝心な所が異なる、そんな内容の記事が出てきました。聯合ニュース(元ソースは朝日新聞)によると、韓国側は会議で「日本企業が何も出さないわけにはいかない」「最高裁が命じたのと同じ金額を、『寄付』という名目で財団に出してもらう」という案を出した、とのことです。本格的に協議に入ったとかそんな内容はなく、23日の記事とは(解決案としてふさわしくないのは同じですが)異なる内容になっています。また、25日のテレビ朝日(※動画の音量にご注意を)の報道によると、韓国側は『日本企業のシャ○イは必須だ(※○は『ザ』です)』としており、日本側は『それ、無理』としているところである、とのこと。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・両国政府が、いわゆる現金化解決法として、日本企業の代わりに韓国の財団がお金を出す方案について協議しており、韓国政府は日本企業に対して財団に資金の醵出を要求する方針だと、朝日新聞が26日報道した。記事は、韓国政府関係者を引用して、「韓国政府が当初(日本企業に)代わって弁済する方案を検討していたが、世論が強く反発する可能性が大きいと懸念し、既存の財団が寄付金を集めて代わって支払う方向になった」と報道した。一方、「韓国側はこれまで外交当局間の協議で、原告側の同意を得るためには日本企業側にも一定の負担が必要だと伝え、両社が最高裁が命じたのと同じ金額を寄付するなどの名目で出す案を、水面下で打診した」と伝えた・・
・・日米韓外交次官協議会に参加するために日本を訪問したジョヒョンドン外交部1次官は前日、森健良日本外務省事務次官と90分間両者会談をし、この問題についても意見を交換した。外交部当局者は両者会談後「官民協議会で議論されたことを、そのまま日本側に伝え、誠意ある呼応が必要だという点を強調した」と話した。彼は、最高裁判決を履行する方法などとして取り上げられている代位弁済やいわゆる「併存的債務引受」案については、「いずれかを特定して議論したわけではない」と説明した。併存的債務の買収とは、債務はそのまま存在するが、第三者が同じ債務を引き受ける方式である(聯合ニュース)・・>>
聯合ニュースは朝日新聞が「尹政権が低い支持率にも関わらず両国関係改善に意欲的な姿勢を見せる」と評価し、「早急に解決策を決定するために、11月に予定されたASEAN首脳会議など、一連の国際会議で初の首脳会談に期待をよせている」と伝えた・・としていますが、これが評価するようなことでしょうか。相変わらず、問題の本質が見えていないとしか思えませんが。最後にテレビ朝日の報道ですが、ここで『肩代わり』としながら、<<・・韓国の財団が肩代わりする方向で調整に入ったことが分かりました。ただ、韓国側が求める日本企業のシャ○イについて外務省幹部は「無理だ」としていて、韓国側が一連の方策をまとめ切れるかは不透明です・・>>、とのことです。
3つの記事の内容をまとめてみると、「基金案を出したこと」、「11月中の首脳会談に期待していること」は共通していますが、財団に「日本企業」が参加するのかどうかについては、内容が異なります。どのみち、個人的に『これは、違う』としか思えませんが・・さて、どうなるのでしょうか。本当に年内の解決(合意?)を目指しているなら、たしかに11月中に首脳会談があり、そのあとに共同記者会見か何かの形で相応の発表があるでしょう。懇談や略式会談とは、そこが違うはずです。とりあえず、11月まで待ってみればわかることかもしれません。
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