昨日の夕方あたりから、『麻生太郎自民党副総裁が訪韓し、現金化問題について尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と話し合う』と報じられました。日本から議員団が訪韓すること、そして尹大統領と面談または会談することは前から決まっていました。今日から二日間、日韓議員連盟が訪韓し、額賀会長などが尹大統領と面談する予定だったからです。一部の報道では、麻生太郎氏と日韓議員連盟の訪問をそれぞれ別のものとして捉えていますし、実際そんな見方もできますが、あまり知られていませんが麻生太郎副総裁は、日韓議員連盟の副会長でもあります。本エントリーでは、麻生太郎副総裁の訪韓について、韓国メディアの報道なども引用しながら、いろいろ考えてみたいと思います。
まず、日韓両国のメディアがもっとも注目しているのは、現金化関連です。多くのメディアがこの件を報じていますが、さすがに(この前の岸田総理との懇談が問題視されたこともあるので)日本メディアの記事を引用するレベルにとどまっています。聯合ニュースなど一部のメディアは『副総裁がわざわざ訪韓するということは、なにか大きな動きがあるからではないのか』とし、最近増えてきた財団案(基金案)も含め、肯定的に報じています。ただ、東亜日報などは、その逆の見方も共に報じながら「むしろ、異例に訪韓した副総裁が『その逆のこと』を言ったら、どうするのか」などの観点も報じています。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・共同通信は「党の重鎮である麻生太郎副総裁が、政府間の懸案の解決のための役割を担うのは極めて異例のこと」とし、今回の訪韓に岸田文雄首相の意向が込められたと解釈した。麻生副総裁は訪韓を控えて先月29日、岸田首相と二人で夕食を共にした。麻生副総裁が、岸田首相のメッセージを持ってユン大統領と面談するのではないかという推測も提起される。産経新聞は、「麻生副総裁が軍備を拡大し続ける中国と、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威に対抗するため、日本自衛隊と韓国軍の協力正常化も協議する見通しだ」と伝えた。
尹大統領と岸田首相は来る15~16日、インドネシア・バリで開かれるG20首脳会議など、国際会議に合わせて首脳会談を開催することも検討している(※これも日本メディアの記事がソースですが、外交部は何も決まってないとしています)。一方、日韓議員連盟も2日から4日まで韓日議員連盟との合同総会のために訪韓、尹大統領と面談する予定だ(聯合ニュース)・・>>
<<・・日本自民党副総裁である麻生太郞元首相が、2日間の日程で韓国を訪問し、ユンソンニョル大統領と面談することを調整中だと、共同通信が1日報道した。通信は「麻生太郎副総裁が現金化解決策について議論し、多くの人が亡くなった梨泰院事故に弔意を表するだろう」と伝えた。自民党内の有力政治家とされる麻生副総裁は、日韓議員連盟の副会長も務めている。日韓議員連盟は、韓日議員連盟と合同総会を開くため2~4日韓国を訪れる。
通信は「麻生副総裁は、韓国側の状況を確認し、同時に結論を作ることを景気付ける目的もあるだろう」と明らかにした。韓日両国は最近、財団が代納する案などをめぐって議論中だ。一部では、麻生副総裁が、韓国側に日本はバイ◯ョウしない(※◯はシです)という頑固な既存の立場を繰り返すだろうという観測もある。産経新聞は「麻生副総裁が尹大統領と議論し、現金化は認められないという日本側の立場を改めて強調するものと見られる」と報道した(東亜日報)・・>>
さて、ここからは私見も含めて、別の見方になりますが・・まず、『財政界から招待をうけて』という部分です。これは韓国側の記事には載っていませんが、NHKから確認できました。その記事によると、麻生副総裁は「日本と韓国の政財界の関係者らでつくる『日韓協力委員会』の日本側の会長」です。どちらかというと、現金化より、最近米国のインフレ抑制法、半導体関連法などサプライチェーン関連で、為替レートなど金融関連でも、いろいろ重い話が出ています。それらに関する話がメインかもしれません。
次は、返礼としての側面です。政権そのものへのリスクになるのではないか、そんな話も出ています(個人的に、そこまではいかないと思っていますが)。こんな中、なんでわざわざ自民党副総裁が訪韓するのかという見方もできますが、実は『だからこそ』という側面もあります。ちょうど日韓議員連盟の訪韓も予定されていたし、安倍元総理の国葬のとき、韓国の序列2位である国務総理が訪日し、弔問したこともあります。その『返礼』として、『こんなときだからこそ』訪韓するのも、外交という側面からだと重要なことかもしれません。
麻生太郎副総裁は、韓国では強硬な発言が多いと報じられていますが、李明博(イミョンバク)大統領の就任式に参席するなど、何度も訪韓したことがあります。さて、どんなメッセージを伝えるのか、気になるところです。タイミングや報道内容にもよりますが、次、または次の次のエントリーあたりで、また取り上げたいと思います。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 ・準新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 ・既刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。