ソウルで、大規模『ろうそく』集会がありました。追悼のために参加した人たちもいるかもしれませんが、メインは雑踏事故に関する政権批判で、中には、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の退陣を叫ぶ人たちもいました。ニューシースの報道によると、主催側発表で6万人が参加した、とのことです。12日には民主労総による大規模政権批判集会も予定されており、尹大統領の政権運営はさらに難しくなったと言えるでしょう。一部では首脳会談とか、現金化解決案とかのニュースも報じられてはいますが(直後の『事実とは異なる』までがワンパターンですが)、こんな状況でそんな決断ができるのでしょうか。
ざっと記事を読んでみると、朝鮮日報が「共に民主党が人たちを集めた」と報じるところもそうですし、『集会参加者』の数がそのまま民主主義のようになっていた朴槿恵政権のときと、似たような流れになっています。もちろん、あの頃のように強い流れが出来ているわけではありません。ちなみに、右側も左側も、このような集会はすべて自発的に参加したということにしていますが、両方、かなり違います。また、セ◯ォル号の件で息子を亡くした人が出てきて『遊びに行ったのが問題ではなく、国民を守らなかった人たちの責任だ』と話すなど、もう完全に政争の領域に入ったと見てもいいじゃないでしょうか。予想通りといえばそれだけですが。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・雑踏事故から一週間が経った5日、ソウル都心で追悼ろうそく集会が開かれた。寒い日だったが、その中でも落ち着いた雰囲気だった。この日は国家哀悼期間の最後の日でもあった。5日、警察などによると、ろうそく勝利転換行動(ろうそく行動)はこの日午後5時からソウル地下鉄市庁駅から崇礼門ロータリー前道路で追悼ろうそく集会を行った。警察は当初5000人が参加すると予想したが、主催側推算で、集会直前の午後4時50分基準で2万人が参加し、(※引用部分にはありませんが、19時半時点の主催側発表で推定6万人だったとのことです)時間が経つにつれて人はさらに増えた。集会場所近隣の歩道にも市民が立って集会を見守ったり。過ぎ歩いたりしていた・・
・・セ◯ル号事故で息子を亡くしたジャンフン4.16安全社会研究所所長は、「必ず申し上げたい言葉があります。皆さんのせいではありません。『遊びに行ったから』起きた事故ではありません。遊んでいるだけで国民を守らなかった人たちのせいです。哀悼というのは、そんな人たちにちゃんとショ◯ツを(※◯はバです)与えてからこそ、できるものです」と強調した。集会は落ち着いた雰囲気の中で進行されたが、強い政権批判が出てきたりもした。一部の参加者は尹大統領の退陣などを叫んだ(ニューシース)・・>>
まず、『思ったよりずっと大規模だった』というのは事実です。しかし、先も書きましたが、朴槿恵政権のときのような状況だとは、まだまだ言えません。実際、例の事故の後にも、尹大統領の支持率には大きな変動はありませんでした(調査機関にもよりますが、20~30%台)。これは、『なにがあってもとりあえず支持する』人たちが存在するからで、文在寅大統領のときも、40%ラインはかならず守られると言われていました。朴槿恵大統領の場合は、このラインが一気に崩れましたが、いまのところそんな兆しは見えません。また、右側の集会には1000人ぐらいしか参加しなかったとなっていますが、一部のメディアによると、これは主催側が『まだ哀悼期間中なので、集会は取りやめる』と事前に告知したからだ、ということです。
とはいえ、事故当日、警察が何度も事前に現場の人たちから「なんとかしてほしい」と連絡を受けていながらも、それらに対して何の措置も取らなかったことなど、世論の推移は尹政権にとって有利なものではありません。民主労総が12日、10万人規模の集会を開催すると予告(本当にそう集まるかはともかく)したり、各団体が『チャンスだ』と思って動きだしたこともまた、政権としては気になるところでしょう。
引用部分にもありますが、『事故を政治的に利用するな』という声を意識してか、各団体はいまはまだ『哀悼のため』『責任者(警察など)へのショ◯ツ』などを主に主張しています。しかし、結局は『政権』へのダメージを求めているだけでしょう。また、家族を亡くして悲しんでいる人たちが多いのは言うまでもない事実ですが、尹大統領とソウル市長(今は右側の人です)が送った弔花(花輪)を、遺族の方が投げ飛ばしたことも、またニュースになったりしました。そこまでする理由があるのだろうか、個人的には、疑問です。
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