元・アメリカ国防次官補代理ハイノ・クリンク氏「反撃能力は国家の責任です。他国の許可を得る必要はありません」

国防次官補代理、国防総省の東アジア担当責任者などを歴任したハイノ・クリンク氏が、「日本が反撃能力を行使する際、他国の許可は必要ありません」と言い切りました。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューでのことです。ハイノ・クリンク氏は、尹政権については高く評価し、主に文在寅政権の方向性について問題だったと話しましたが、この「許可」と言い、いくつかの部分で尹政権の動きについての反論を提起しました。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

本ブログではすっかり有名(?)発言になりましたが、5日、ジョヒョンドン外交次官が、「日本が平和憲法の趣旨を変える現状変更を行うというのなら、当然、私たちの同意が必要だ」と話しました。ほかでもない国会での発言で、次官としての公式発言になります。それから国防部が同じく「(北側も憲法において『領土』になるなどの理由で)北朝鮮への反撃能力行使には私たちの承認が必要だ(KBS、12月17日)」と話すなど、この「許可」「同意」「承認」などは、反撃能力関連記事の重要キーワードになっています。

 

<<・・政府は、日本の反撃能力保有決定が出ると、すぐに立場を明らかにしました。外交部は、朝鮮半島の安全保障と国益に重大な影響を与える事案は、事前に私たちと緊密な協議と同意が必ず必要だと明らかにした・・・・軍当局も、有事の際に日本が北朝鮮に反撃能力を使用するなら、必ず私たちの政府の承認が必要であることを強調しました。憲法によって北朝鮮も我が国の領土であるだけに、承認なしには戦力の北朝鮮進入や反撃能力の行使はありえないという説明です(KBS)・・>> 、などなどです。

そこで、VOAが、「わしの出番じゃー」と、ワシントンでハイノ・クリンク氏(インタビューにはスコットシュナイダー米韓制作局長も参加していますが、引用部分はハイノクリンク氏の発言だけです)に、「反撃能力の行使に、他国の許可が必要ですか?」と質問し、先のように「必要ありません」という返事があったわけです。他に「台湾問題において、米国が域内の全ての兵を自由に使えるよう、米韓政府レベルで話し合う必要がある」と話しましたが、実はこれも尹大統領の前の発言と関連したものです。合わせて紹介します。

 

<<・・進行者「日本が安全保障文書の改正を通じて、防衛力増強を決定しました。アメリカは日本のこのような動きを完全に支持しますか?」 / クリンク前副次官報「日本が国家安全保障戦略をはじめとする安全保障文書を公開したのは、本当に重要な出来事です。変化した時代を反映するものです。北朝鮮、中国、ロシアが提起する脅威がすべて増大しました・・・・日本は今後5~10年間、防衛費をGDPの2%水準に増やす計画ですが、NATOと同じレベルで、合理的な投資だと思います。反撃能力を行使するのは合理的であるだけでなく、国家の責任でもあります。したがって、私はこの動きに拍手を送ります」。

進行者「北朝鮮のミサイル発射に日本が反撃能力を行使するとき、韓国の同意が必要だと見ていますか?」 / クリンク前副次官「 いいえ、そんな状況では韓国政府のいかなる許可も必要ないと思います。 正直なところ、他の国の許可は必要ありません。ただ、北朝鮮ミサイルが日本上空を通過するからといって、日本が反撃能力を必ず発動するとは思えません。私は、日本が必ず必要な時だけ、その能力を使うよう交戦規則を立てると確信しています。そのような状況は、日米韓協力を図るもう一つの機会でもあります」(VOA)・・>>

 

ハイノクリンク氏は他にも、「中国の経済的な圧力、特に台湾問題について、韓国はもっと大きな声を上げることができると思います。中国が一方的に現状変更を試みると、台湾の未来が韓国にも影響を及ぼすことを、国民が非常に強く分かるようになったと見ています。正直なところ、米韓両国の政府が、台湾の有事に何が起こるのかについて話す必要があると思います。米国は、必要に応じて、域内のすべての兵力を自由に使う戦略的柔軟性を確保しなければならないからです」と話しました。まず、韓国でそんな話はまったく話題になっていないので、「分かるようになった」とも言えませんが・・

その前に、尹大統領がCNNとのインタビューで、「我が国としては台湾問題より北朝鮮核問題が優先だ」と述べました。9月26日のJTBCの報道によると、CNNは尹大統領とのインタビューで、『中国によるが台湾の有事の際、米国を支援するかどうか』と質問したとこと、尹大統領は『もしそんなことになったら、北朝鮮も動く可能性が高いため、大韓民国としては、強力な韓米同盟をもとに北朝鮮に対応することが最優先の課題になるのではないかと思います』と答えました。CNNは『米国が、台湾より朝鮮半島を優先視すべきだという話なのか』という質問にも、即答を避けた、とのことです。

 

これは、「北朝鮮問題があるので、在韓米軍を含めて、朝鮮半島の兵力は動かしてはならない」という意味になります。ハイノ・クリンク氏はそれを見抜いて、今回、こんな発言をしたのではないでしょうか。米韓政府レベルで『自由に動かせる』と明記しておいたほうがいい、と。

 

 

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