スルーしようと思っていた内容ですが、一週間近くも各メディアで同じ記事が目立っており、さすがにエントリーしてみました。1月2日から、大手全国紙はもちろん、今日のソース記事マネートゥデイなどネットメディアまで、もう1週間も話題になっている記事があります。各記事で「米国のランキング調査専門メディア」とされる「USNews&Worldreport」というメディアが、『世界でもっとも強力な(Powerがある)』国のランキングを発表したけど、韓国が6位だった、日本が8位だった、という内容です。言うまでもなく、日本を超えた、というところが集中的に報じられています。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・韓国が日本を抜いて、世界で最も強力な国家6位に上がった。先月31日(現地時間)、米国プレビュー週刊誌ユーエスニュース&ワールドレポート(US NEWS AND WORLD REPORT、以下USNWR)は「2022世界で最も強力な国」(the planet’s most powerful countries)ランキングを発表した。USNWRは毎年全世界85カ国1万7000人を対象に政治、経済、軍事力を含む国家影響力などをアンケートして順位を発表する。過去の調査で8位だった韓国は2階段上昇して6位を記録した・・・・2位はGDP 17兆7000億ドルの中国だった続いて3~5位には順番にロシア、ドイツ、英国が名前を上げた。 7位はフランス、8位は日本、9位はアラブ首長国連邦(UAE)、10位はイスラエルが占めた。 過去の調査で6位だった日本は韓国と席を変えて2階段下落した・・>>
某アニメ的に書くと、「わしはパワーで6位じゃ」なところですが・・結論から書きますと、Powerは「世界最高(Best)の国」というランキング(USNWRの原文ページ)の、項目の一つです。総合順位だと、日本が6位、韓国は20位です。20位も十分良い成績だと思いますが、そこまでちゃんと報じたのは(私が読んだ中では)聯合ニュースだけです。せっかくですので、どういう内容なのか、ちょっと見てみたいと思います。
まず、総合順位ですが、スイス、ドイツ、カナダ、米国、スウェーデン、日本、オーストラリア、英国・・の順です。アドベンチャー(生活の刺激さ)、アジリティー(機敏さ)、文化の影響力、企業家精神、Movers(国際問題に対する備え、勢い・方向性など)、ビジネス・オープン(開放性、容易さなど)パワー、生活レベル、社会正義(人権、環境、信教の自由など、共通した信念による文化的団結、目的意識など)の項目をそれぞれ調べて、総合順位が決まります。ちなみに日本は「パワー」以外では全て韓国より上位にランクされています。
じゃ、パワーはなんじゃ、と言いますと・・経済的影響力、輸出、政治的影響力、国際同盟、軍事力、指導者などで評価されるそうですが・・米国が1位なのはともかく、中国が2位なのもとにかくいろいろ話題(?)だからともかくして、ロシアが3位なのはさすがにちょっとどうかな、と。軍事力が高く関わっていることが分かります。唯一総合順位を報じている聯合ニュースの記事によると、「パワー」でも、日本は別に評価が低いわけではありません。たとえば「経済的影響力」が95.4点だったりします。しかし、軍事力で25.3点になり、パワー8位となりました。
先のマネートゥデイの記事、記事本文のもっとも上に、「よく出来たチャートは、10個の記事よりも役に立ちます」と書いてあります。どうやらチャートを取り上げるシリーズ記事のようで、チャートにはパワーが載っています。たしかに、よく出来たチャートなら役にも立つでしょうけど、これはさすがにどうかな、と・・私が確認しただけでも、中央日報、東亜日報などの大手全国紙、KBSなど地上波放送、他、無数のメディアがこの件を伝えていますが、総合順位を書いたのは聯合ニュースだけです。
で、これが最後のオチですが・・引用部分で「パワーで前より上昇した」を強調していたので、もしやと思って調べてみたら、総合順位では前の調査では15位でした。すなわち、前の調査より順位が下がったわけです。それでも「パワーで日本を超えた」部分だけがここまで報じられるとは、大したものです(「大」にもいろいろあります)。というか、この場合、「Power」は「強力な」ではない気がしますが・・
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 ・準新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 ・既刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。