これもまた、日本のメディアが結構前からよく記事にする内容ですが・・韓国で国民年金消尽に関する記事が増えてきました。こういう「~年後には」な内容は、個人的にあまり信頼しないほうですが、予想時点が妙にリアル(?)です。そんなに遠くの話でもなく、33年後(2056年)にはゼロになる、とのことでして。しかも、いままで少子化問題(合計出生率)関連で、予測が当たったことがありません。想像以上に速く進んでいます。2056年予想も、予想より早くなる可能性が高い、という意味です。
記事だけでなく、社会生活を始めた20~30代の間では、年金がもらえないのではないか、という危機感が広がっています。ソース記事のYTN(合計出生率関連問題を積極的に取り上げています)はこの件で、「誰もが知っているけど、見て見ぬふりをしている問題でもある」としながら、合計出生率が改善しないかぎり、50年後は大変なことになるだろう、と報じています。政府は国民年金保険料率を15%(現状9%)に上げ、受給開始年齢を68歳にする案を検討しているとのことですが・・本格的に議論しているわけでもないし、なにより、電気料金すらちゃんと上げることができない状態で、そんなことができるのでしょうか。なんだかんだで、すべての政権が「5年だけ」なのが、この件を取り上げようとしないもっとも大きな理由かもしれません。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・出生率減少が、年が経つにつれて速くなってきました。もっとも大きな影響を受けるのは、経済活動を始めたばかりの20代と30代ですが、彼らは年金を受け取れるかどうかすらも、確かではありません・・・・先月初めの国会。誰もが知っているけど見て見ぬふりをしている問題である、国民年金問題を議論するため、政府と与党・野党国会議員が集まりました。政府は現在9%の国民年金保険料率を15%まで高め、需給開始年齢は68歳に上げる方案を推進しています。このまま行けば国民年金財政が消尽するのは火を見るように明らかなうえに、その時点までどんどん早くなってきたからです。
【チョ・ギュホン/保健福祉部長官:「現在、低出産高齢社会の深化による国民年金基金の消尽の懸念と基礎年金財政負担の増加で、持続可能性の危機が台頭しています」】。昨年3月929兆ウォンだった国民年金基金は、低出生高齢化波が押し寄せる現在の傾向のままだと、2056年ごろ消尽します。今後30年余り後には、国民年金の金庫が空になるという意味です。
もっとも影響を受けるのは、ベビーブーマー世代の子どもたちで、社会生活を始め、誠実に年金を出し始めた20代と30代、いわゆるMZ世代です・・(※年金問題を懸念する該当世代のインタビューの後に)・・MZ世代の問題はこれでは終わりではありません。全体の人口で高齢層が占める割合は昨年17.5%水準でしたが、2070年には46.4%に上がる見込みです。50年後には2人のうちの1人が65歳以上になるわけです。こうすれば、乳幼児と青少年世代を差し引いた「若い世代」1人が高齢者2人まで責任を負わなければなりませんが、このような構造で福祉システムがちゃんと機能する可能性はとても低いです。
さらに問題なのは、社会の高齢化の速度が、他の国よりずっと速いことです。2070年を基準に、世界の老年扶養費は今の2倍程度に増加すると思われます。ところが、我が国の場合は低出生と高齢化のスピードが速すぎで、この費用が4倍まで上がると予想されています。昨年末、ゴールドマンサックスは我が国の2060年ごろ経済成長率がマイナスになると見通しました。マイナス成長率の見通しは分析した34カ国のうち唯一です(YTN)・・>>
繰り返しになりますが、果たして「改革しないといけないので、保険率上げます」とはっきり言える人がいるのか。それが問題です。上げるとしても、現実的に必要な分には程遠い分だけ上げて、むしろ『次の人』がまた上げづらくしてしまうのではないでしょうか。電気料金とかも(段階的に上げると公言しているので様子見ですが)そんなところですし。2021年11月15日、デイリアンが、韓国経済研究院という機関が調べたデータをもとに、実際の年金受領額を報じたことがあります。何度か引用したデータですが、両国の65歳以上を対象に年金受領実態調査結果、個人世帯基準で月82万8000ウォンで、日本は(当時の為替レートで)約164万4000ウォン)でした。
<<・・我が国の65歳以上のうち、公的年金を受領する割合は83.9%、私的年金受領比率は21.8%に過ぎない。これは、公的年金受領比率が95.1%、私的年金受領比率が34.8%の日本に比べて、それぞれ10%p以上も低い数値だ。公的年金の月平均受給額は、個人世帯66万9000ウォン、夫婦世帯で118万7000ウォンと調査された。一方、日本は公的年金月平均需給額が個人135万3000ウォン、夫婦226万8000ウォンで、約2倍も多かった・・・・私的年金システムも脆弱だ。韓国の私的年金月平均受給額は個人世帯15万9000ウォン、夫婦世帯19万7000ウォンで、個人29万1000ウォン、夫婦45万8000ウォンを受け取る日本の半分水準に過ぎなかった・・・・15~64歳人口のうち、私的年金加入比率も24.0%に過ぎず、50.8%が私的年金に加入している日本の半分にも及ばないことが分かった(デイリアン)・・>>
ソル(旧暦元日)連休に入りました。この時期になるとブログ更新ネタが減ります。一昨日と昨日休んだばかりなので1日2回更新するために頑張りますが、急に休んだり、写真エントリーが入ったりするかもしれませんので、その点はご理解の程をお願いします。とにかく頑張ります。
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