何度かお伝えした、サムスン電子とSKハイニックスの中国工場の話です。今日は、「ユン政権がこの件で米国側にどのような主張をしているのか」についての内容です。匿名の当局者からの話ではありますが、私が知っているが限りだと、政府レベルでどんな話をしているのかが記事になったのは初めてのことです。昨日の聯合ニュースですが、結論から書きますと、『現レベルの投資を保障すること』です。ただし、この前お伝えした米国商務省次官の話とは、ずいぶんとニュアンスが異なります。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・米国政府が自国内の半導体生産を奨励するため、補助金受益企業に中国内の投資制限などの条件を掲げると予想される中、政府は「中国内の韓国企業の、現在の投資レベルの保障を、米国側と議論している」と28日話した。外交部当局者は記者たちに会い、米国が準備中の半導体支援法(CHIPS and Science Act法)補助金支給要件に、それらの国企業は対象にならない可能性についての質問に、そのように答えた。複数の海外メディアによると、米国商務省は米国に半導体工場を建てる企業に合計390億ドル(約50兆ウォン)の支援金を策定している。
補助金申請時の超過収益共有、半導体関連施設内保育支援計画の提出、今後10年間中国など 一部の国に半導体工場建設を制限するなどの「ガードレール条項」を掲げる予定だ。補助金は現地時間基準でこの日から申請が可能と予想され、ガードレール条項に関する具体的な内容は来月中別途発表される。その後60日間の意見収束過程を経て、最終的にガードレール条項が確定される。この当局者は、「ガードレール条項は米国で補助金の恩恵を受けた企業が、補助金の恩恵をもとに一部の国で事業を進める可能性を防ぐというのが基本目的」とし「すでに中国に投資している我が国の企業のため、様々な方面で話をしている」と説明した。現在、米国側はガードレール条項に中国内の投資制限要件を含めても、中国内需用半導体の生産は例外とする予定で、中国から生産して第3国に輸出する場合のみ制限をかけるものと見られる。政府も、企業が中国内需市場に焦点を当てて投資を継続すれば、米国半導体補助金の対象になれると見ている、と伝えられた(聯合ニュース)・・>>
この当局者は、サムスン電子、SKハイニックスの「1年猶予」(対中半導体輸出関連の各措置の1年猶予)が延長されなかった場合にはどうするのかという質問には、「包括的な留保を受けることが最善」、「中国に投資している企業のためにいろいろ考慮するというのが米国政府の基本立場だ」と話した、とのことですが・・24日にMBNなど複数のメディアの記事によると、アラン・エステベス米国商務省次官はこの件に関して、「(今年10月に1年猶予が終わると)中国工場で生産する半導体には、レベルの上限を設定する」と話しました。
次官は「どうするかは企業と協議しています。それら企業が生産できる半導体のレベルに上限を設定する可能性が高いでしょう」とも話していますが、メインは上限設定の方です。記事は、「中国が各社を通じて先端半導体技術を習得しないようにするための措置、という意味だ」としています。実際、その上限をどれぐらいに設定するかは、『中国の行動にかかっている』と述べ、そのレベルは米国側が決めるのでは中国次第だと話しました。これは、「私たち(米国側)に言わないでほしい」という意味でしょう。
この点、「いろいろ話し合っている」以外は、先の聯合ニュースの記事と大きなニュアンス差があります。「いろいろ話し合っているが、内需用だからいいだろう」と、「いろいろ話し合っているが、中国が各社を介して技術を手に入れるのは防ぎたい」になりますから。韓国の半導体輸出において、中国への輸出は2022年基準で39.7%です。
これを、中国内の工場で生産する分だけでも「内需用だから」として、ある程度は守りたいのでしょう。サムスン電子は中国の工場でNANDの40%を生産しており、SKハイニックスはDRAMの50%、NANDの30%を生産しています。ユン大統領は、4月に訪米(去年5月、バイデン大統領は訪韓した際「ワシントンに招待する」と話しました)すると報じられています。その場で何かの発表が出来るほど、事前調整が出来るのか。そこが見どころではないでしょうか。
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