最近、貿易関連で苦労しているのは、世界中どこも同じかもしれません。ちゃんと輸出できても、輸入にかかる費用が増えて赤字になったりしますから。ただ、GDPにおいて貿易による割合が高い韓国だけに、この問題は特に注目されています。貿易収支が赤字になったというのは去年からよく話題になっていましたが、反騰せず、もう1年近く赤字が続いていますし、その金額も拡大しています。今年に入って3月10日まで、貿易赤字は227億7500万ドルです。
絶対額で見るとパッとしませんが、いままで『年間で最大の貿易赤字』だったのが2022年で、貿易赤字は478億ドルでした。年間最大とされた去年の約48%が、3月10日まで発生したわけです。また、去年11月、そして今年1月は、経常収支も赤字になりました。特に1月の場合はマイナス42億5千万ドルで、これもまた絶対額で見るとそれほどでもありませんが、1980年に現在の統計方式が適用されてから、月間基準では最大記録になります。
もっとも大きな原因は、メディアによって、記事によって分析は異なりますが、大まかに共通するのは「半導体」と「中国」です。ちょうど昨日お伝えしたばかりですが、3月に入ってから(10日までの統計)、輸出は金額基準で去年同期比16.2%減少しましたが、半導体は41.2%も減少、対中輸出は35.3%減少しました。朝鮮日報など大手マスコミも、『私たちのように貿易にたよる構造において、経常収支が赤字になったのはあまりにも大きい』としながら、下半期からは回復するだろうとしている政府の見解に『本当に大丈夫なのか』としています。
基本的には尹政権支持の朝鮮日報でも、さすがに疑問を提起せざるを得なかったのでしょう。また、この部分だけファイナンシャルニュースの記事の情報ですが、貿易収支は昨年3月から12ヶ月連続で赤字が続いている、とのことです。貿易中心の韓国において、1年以上貿易赤字が続いたのは、いままで「1995年1月から1997年5月まで」だけでした。1997年にいろいろありましたので、さすがに気にもなるでしょう。以下、朝鮮日報の記事、<<~>>で引用してみます。
<<・・今年に入って3月10日まで、貿易赤字が228億ドルを記録、(※今年になって)69日間で、昨年赤字額478億ドルの半分ちかくになった。最大輸出品目である半導体と、最大市場である中国への輸出が振るわなかったからだ。輸出の20%を占める半導体が、メモリ半導体価格急落の余波で40%以上減少した。中国の成長鈍化で対中輸出は昨年から30%以上も減少している。政府は、今年下半期から赤字基調が改善されると見ているが、今のような傾向が続くと、史上最大の貿易赤字が避けられない見通しだ。
また、昨年とは異なり、商品・サービス・投資などすべての対外取引を合わせた経常収支も赤字になった。1月の経常収支は45億ドル赤字で、月別では史上最大を記録した・・・・米国のインフレ抑止法による電気自動車の対米輸出、半導体の対中輸出のハードルが上がるなど、輸出条件はますます難しくなっている。欧州連合も、域内生産原材料を使った製品にのみ補助金を与える法を作るなど、世界的にこの気流は広がっている。世界経済成長率も昨年3.2%から今年は2.4%になり、輸出需要自体が急減する見通しだ。
貿易の割合が高い私たちの経済に、経常収支は最後の砦である。経常収支で赤字を出し、外貨調達の面で問題が生じたとき、外国為替危機(1997年)、グローバル金融危機(2008年)が起きた。外国為替保有額が4000億ドルを超えているとはいうが、昨年一年間、為替防御で外国為替保有額が400億ドルも減った点を勘案すれば、安心できない。状況がこうなのに、リスクに対する緊張感は無い。経常収支赤字が持続すると、通貨安、外国投資の離脱など、深刻な状況が来る可能性がある・・>>
12日にお伝えしましたが、外国為替保有額の中で、現金に当たる『預金』の場合、267億5000万ドルにすぎません。しかも、これは1カ月で74億2000万ドルも減少した数値です。為替レート防御のために、ドルを市場に売ったからだと言われています。また、引用部分にはありませんが、観光などによる赤字がまた大幅に増えた、とのことでして。そういえば、これはソース記事ではなく別の記事でちょっと読んだだけですが・・韓国観光客たちの海外好きはいつものことですが、新型コロナ以降、訪韓する外国人観光客が、思ったほど増えないでいるそうです。そう急に回復することもないでしょうけど、日本など外国に比べても、回復が結構遅いほうだ、とか。
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