13ヶ月連続貿易赤字に悩む韓国、その6割以上が対中貿易で発生・・『チャイナ・ブーム』による経済発展の限界か

本ブログでは、韓国の『民間債務』と『対中貿易収支』を不定期に取り上げています。民間債務(家計債務、ヨンクル現象、プロジェクトファイナンスなど)と対中貿易は、2000年代になってから韓国の経済発展を支えた二本の「柱」だからです。この2つは、もう構造的に変化していますが、「ローンしやすくする」や「安保は米国、経済は中国」など、関連した考え方や政策においては、これといった変化が見られずにいます。韓国の貿易収支が、13ヶ月連続でマイナスになりました。特に3月には、半導体輸出が34.5%減少、対中輸出が33.4%も減少しました(中国からの輸入は4.5%増加しています)。

つい3月28日にも、当時は今年になってから2月までのデータでしたが、対中貿易赤字が急速に増え、韓国の対中貿易はマイナス50億7千400万ドルになったとお伝えしました。これは、韓国の国家別貿易データにおいて最大のマイナス値で、随分前から貿易赤字が問題になっていた日本との貿易(マイナス35億2900万ドル)はもちろん、それぞれ天然ガスと原油を輸入するオーストラリア(マイナス48億1千500万ドル)、サウジアラビア(マイナス46億6千900万ドル)をも超えています。今日お伝えするのは、この現象の続報となります。ニュース1が今年1月~3月の貿易収支を分析した結果、なんと対中貿易で発生した赤字が、全体の6割を超えました。つい5年前までは、考えることもできなかったデータです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・我が国の輸出をリードしてきた半導体の不振と、対中貿易がマイナスを続け、3月までで、輸出が6ヶ月連続減少した。貿易赤字は昨年4月から13ヶ月連続で、不況から抜け出せずにいる。1~3月の貿易収支赤字額は、すでに年間で最大を記録した昨年の半分に迫るなど、経済の危機感が高まっている。1日、産業通商資源部が発表した「2023年3月輸出入動向」によると、3月、輸出は551億ドル、輸入は597億ドルで、貿易収支は46億2000万ドルの赤字を記録した(※1~3月で約マイナス250億ドル、2022年478億ドル)・・

・・特に半導体が輸出減少に大きく影響した。半導体はDRAM、NANAフラッシュなど製品価格下落傾向が続き、先月34.5%の減少傾向を記録した。これは、8ヶ月連続の減少となる。DRAMは去る1月1.81ドルになってから回復できず、ずっと1ドル台にとどまっている。 NANDフラッシュは2月までに4.14ドルを維持し、3月には3.93ドルになった。システム半導体もIT部門全般の業況鈍化で前年比18.4%減少したと分析された。石油化学(マイナス25.1%)、ディスプレイ(マイナス41.6%)、バイオヘルス(マイナス36.4%)、無線通信(マイナス42.3%)など主要輸出品目も一斉に減少した・・

 

・・さらに、最大の貿易国である中国への輸出不振が深化した。3月の対中国輸出は104億2000万ドルで、前年同期より33.4%減少した。 24.2%が減った今年2月よりも減少幅が大きくなったが、世界経済の鈍化などの要因で輸出入がすべて減少しているとみられる。対中でもやはり半導体の減少幅が大きかった。3月1~25日までで、品目別の中国輸出増減率を見ると、半導体は49.5%、石油化学製品は37.9%、無線通信は43.2%それぞれ減少した(ニューシース)・・>>

韓国の対中貿易は、国交正常化した1996年以外は、ずっと黒字が続きました。5年前の2018年にも、韓国の対中貿易収支は556億3千600万ドルの黒字でした。2019年には289億7千400万ドル、2020年236億8千万ドル、2021年242億8千500万ドルでした。このときに黒字が少なかったのは、当局は新型コロナの影響だとしていましたし、実際、その影響はあったでしょう。少しとはいえ、2020年から2021年には増加もしています。しかし、2022年に12億1千300万ドルで、いくらなんでもこれはないという意見が見られるようになりました。あいかわらず政府は「一時的な現象」「中国経済の『リオープニング』に伴い、また黒字になる」としていましたが。でも、そのリオープンが始まったにもかかわらず、今年になってからは赤字が続いています。さて、ユン大統領の秘策(これもあるでしょう、多分)はどんなものでしょうか。

 

 

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