新型コロナなどで大きな話題になった『K-バイオ』の現在

もうほとんど聞かなくなりましたが、K防疫というものがありました。いまになっては、本当に『なんだったんだ』としか思えません。そして、防疫関連、特にワクチン関連で、Kバイオという言葉が流行りました。防疫の方は政府公式に内容が決まっていましたが(全員検査、入院が基本、など)、バイオのほうが具体的に何なのか決まっているわけではありません。ただ、バイオ関連の事業での躍進を目指す、そんな政策のこと、とでも言いましょうか。実は2005年から同じ政策はありましたけど、Kバイオという呼び方は、新型コロナの頃、特に注目を集めてから、一般的になりました。

ワクチン確保も大きな話題になっていたので、バイオ関連が注目を集めたのは分かります。新型コロナのような時期があったからこそ、ワクチンとかバイオとか、そんな部門の重要性を再認識するようになった、というならそれもまたいいでしょう。ただ、ほとんどが『バイオ関連株を買えばいい』という流れになりました。ある意味、マンションとかコイン(暗号通貨)とか、そんなものと同じになった気もします。それから、約4年。バイオ関連(詳しくはバイオ関連会社の株価)が、ハザード状態だという記事がありました。マネートゥデイというメディアが特集してシリーズ記事を出していますが、Kバイオを『ボムを抱えたまま走っている』と表現しています。なにがどうなっているのか、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・Kバイオが、今年、大きな挑戦に直面する。多くの国内バイオ(※バイオ関連企業)が、投資需要が持続せず、財務健全性に問題を抱えている。最近、一部の企業は監査意見関連で上場廃止のリスクに直面した。『コスダック成長性特例上場』1号であるセリバリー社の取引停止が、象徴的な事例である。バイオの問題はどこから始まったのか。結局のところ、核心は市場からの信頼が低下しらからだ。特に、特例上場バイオのうち、IPO(※Initial Public Offering、新規上場株式)当時に約束した成果を守った企業を見つけるのは難しい。バイオに関する信頼が揺らいだ理由だ・・

・・セリバリー社は2021年1月、株価が10万ウォンを超えた。それから、株価は下落した。いつの間にか1万ウォンにもならなくなった。最高点対比で株価下落率は93.5%だ。そして先月、監査意見を受け入れなかったため、取引が停止された。投資家たちの間では「コスダックのバイオは、なにかのコインかよ」という声が聞こえてきた・・・・セリバリーだけではない。 エスディ生命工学も最高2万ウォンに迫った株価が349ウォンまで下がった後、同じ理由で先月取引停止となった・・

 

・・取材過程で出会った多くのバイオ現業関係者たちも、この問題を認めている。匿名を求めたバイオ企業の関係者らは、「業界の内側から見ても、上場後、研究開発より株価だけ気にするバイオが多い」「外から見ると、うまくいきそうにない件を株価対策として引き伸ばしていく場合も多い」「IPOだけできればそこで目標を達成できたと思っている。新しいパイプライン発掘など、未来価値を持続的に高めるための努力はさほどしない事例も見られる」などと話した。

一部上場バイオオーナーをはじめとする経営陣の認識や態度に対する批判も多い。ジョンドシン中央大学経営学科教授は、「一部バイオ企業のオーナーと経営陣を見ると、上場企業の意味を理解していないようだ」とし「上場企業は資本市場を通じて投資を受けるだけに、投資金に対する受託責任があり、この資金 を基に収益を創出して利益を投資家と共有するという義務感をもたなければならない」、「このような義務を果たせないなら、そもそも上場すべきでなかった」と話した(マネートゥデイ)・・>>

 

引用部分にもありますが、2005年からあった特例上場(確か、公式には技術特例上場といいます)というのが大きな原因でして。収益性ではなく、技術だけを見て上場を認める制度のことです。マネートゥデイはこの件をシリーズ記事にしていますが、(ソース記事とは別記事に)「そもそも国内のバイオ関連は外国に比べて実績も市場もほとんど無いに等しい状態なのに、なにかあればすぐ外国と比べるから、実際に国内のバイオ関連がどこまで来ているのか、どのような状況なのかを把握できないでいる、企業だけ見ても、バリュエーション(企業価値評価)ができない」、という関係者の話も載っています。これが、先の特例制度とともに、『株価が9割下がる会社が続出する』一つの原因であり、このような状況だと、産業そのものに対する投資が減るしかない、とも。

 

 

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