本ブログもそうですが、多くのメディアが取り上げていた、米国の半導体補助金。まず半導体関連であまりいい話がなかったこと、一部のメディアが『日米台半導体協力の中、私たちの役割は何なのか』と疑問提起してきたこと、そして、なにより、中国工場のこと。いろいろあって、韓国では本当に大きな話題になりました。で、その補助金申請が先月末から始まりましたが・・昨日(4月8日)のSBSの報道によると、まだサムスン電子とSKハイニックスは申請していません。理由は、主に、補助金をもらうためには、工場稼働率・そして収率データなどを提出する必要があるから、となっています。
補助金のための条件、いわゆるガードレール条項によると、中国など一部国家への投資は、「ウェハーの量を基準にして、5%拡張まで」となっています。10万ドル以上の投資の場合、先端半導体は生産能力の5%まで、汎用半導体は生産能力拡張を(ウェハー量基準で)10%までに制限します。それに、そもそもその5%のための装備をどうするのか、という問題もあります。サムスン電子とSKハイニックスは、中国工場への装備搬入について、1年間の「猶予」を得ています。しかし、その期限は、今年の10月までです。5%拡張分の装備も搬入することができなくなるわけです。前にも書きましたが、4月に訪米するユン大統領としては、最優先の議題になるでしょう。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・「地政学的理由で、半導体など戦略産業の海外直接投資が、韓国で特に減少することになるだろう」というIMFの分析も出てきました。先月31日から米国政府は半導体補助金の申請を受け付けていますが、私たちの企業はまだ申請していません。米国政府が補助金を条件に、工場稼働率や生産収率など営業秘密に該当する資料の提出を求めているからです。【イ・ビョンフン浦項工科大学ナノ融合技術院長「(米国の立場では)有権者がいるから、政治家は『私がこんな条件をつけて、税金を使った政策が成功した』としたいわけです。これは政治的なものです」】・・・・業界は今月末、米韓首脳会談が解決のきっかけになると期待しています。業績の下落が可視化されている中国事業の比重縮小も大きな課題です。米国が先端半導体装置の対中輸出を来る10月までしか許可していないため、サムスン電子もSKハイニックスも中国内の工場運営がうまくできなくなると予想されます。業界は、期限延長を強く求めているが、対中関連の措置を強化している米国がこれを受け入れるかは未知数です(SBS)・・>>
で、もう少し調べてみたら、米国側に提出しないとならない資料の中には、『現金の流れが分かるもの』も含まれています。こちらは4月2日のYTNですが、『現金の流れのエクセルファイル』も提出することになっている、と。記事はどれだけ利益が出せているのかを確認するため・・となっていますが、詳しくどこからどこまでのキャッシュフロー情報のことなのか、よく分かりません。中国(など)との間の流れを確認するため、の可能性もあるのでは、な気もします。考えすぎでしょうか。 以下、続けて引用してみます。
<<・・米国政府が、半導体補助金を支援するためにはウエハ収率や現金の流れのエクセルファイルの提出まで条件にしており、国内企業の悩みが強くなっています・・・・米国商務省が公開した半導体補助金申請の詳細ガイドラインによると、毎月のウェハー生産能力と生産初年度販売価格、単価変更など細かい資料の提出まで含まれています。半導体生産収率まであります。全体の生産品の中で合格品の割合を意味するこの指標は、企業の競争力に直結する、事実上の秘密事項となります。【パクジェグン 韓国半導体・ディスプレイ技術学会長「政府が個人企業に対して営業情報を要請するのは、世界のどの国にもありません。 果たして補助金を受け取るためにこれらをすべて公開しなければならないのか、企業の立場ではかなり困っているでしょう」】(YTN)・・>>
記事は、相変わらず「政府がもっと交渉を」という結論になっていますが・・2月、当局関係者が「中国工場への投資は現在のレベルを維持するのが(米国との交渉の)目標」、「中国内需向けのものなので、問題ないと思われる」と話した、というニュースもありました(2月28日、聯合ニュース)。今月の米韓首脳会談でどこまで話があるのかは分かりませんが、さすがに、この目標は変えたほうがいいじゃないでしょうか。
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