6日にソウルで開かれた、中韓関係フォーラム関連の記事を紹介します。最近、日韓首脳会談が話題になりましたが、それについて中国がどう見ているのか、ユン政権が日本・米国と協力する方向に舵をきると、中国はどんな反応を見せるのか、そんな内容です。ザ・ファクトというネットメディアの記事によると、フォーラムに参加したイヒオク成均中国研究所所長は、中国は他国を主権国家としているので(本当にそう思っているのかどうかはともかくして)、外交について声明を出したりすることはあっても、そこまで直接的に動くことはしないだろう、としています。ただ、自分で前に出るのではなく、北朝鮮を動かすだろう、と。
イ所長は「中朝の間の交流・協力が急速に再開されるだろう」、「中国は中朝関係を通じて、中韓関係を管理しようとするだろう」としながら、その論拠の一つとして、3月に行われた「両会」での、外交部長の発言をあげています。両会とは、政治、社会、経済など国政運営方針を提示するもので、政治協商会議と全人代を意味します。この期間中、いままでは普通に出ていた「北朝鮮核問題」と、「中韓関係」についての内容が、今回は出てこなかったそうです。これは、近年としてはかなり異例で、(一部では中韓首脳会談について肯定的な話をする専門家もいますが)中韓首脳会談もしばらく行われないと予測される中、ユン政権はいまよりもっと「譲れないライン」を確実に設定しておく必要がある、とも。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・中国では、日韓首脳会談については、各国が自律的に決定した外交政策であるため、公式にコメントしないでいる。しかし、ワン・ウォンビン中国外交部スポークスマンが、16日、記者たちとの質疑応答で、「地域主義は危険だ」、「アジア版NATOの形になるのは防止したい」と発言し、概ねどう考えているのかは示した。ユン大統領が4月末に米国を国賓訪問し、日米韓3国安保協議体を構想したり、拡大抑止(※自国の抑止力を他国の安保のために提供すること)について具体的な話が出れば、また中国が反発する可能性もある。しかし、それもまた主権国家の固有の領域であるため、反発の限界は明確だろう。そういう意味で、中国は中朝関係を通じて中韓関係を『管理』しようとするだろう。
北朝鮮と中国が、軍事協力を強化する可能性がある。中韓関係が小康状態である今、金正恩委員長の中国訪問の可能性も、念頭に置く必要がある。中国が先月27日、ワンヤジュン北朝鮮駐在中国大使赴任を明らかにした。2年間、駐朝大使が赴任できなかったのは、新型コロナだけでは説明が難しい。中国が対北朝鮮制裁の解除のために国際的な努力をしなかったという、北朝鮮が中国に対してもっている不満がもっと大きな理由だったとみられる・・・・このような流れからして、北朝鮮と中国の間で交流協力が急速に再開される可能性も大きい。時期は5月あたりになる、と私は見ている。支援、農業・医療・観光分野で協力が見られうだろう・・
・・(※最近、ウクライナ問題で中国が仲裁者の役割をやろうとしていることで、南北関係でも同じ動きをすることはないだろうか、という質問に対して)中国は、朝鮮半島問題に対しては「政治的解決」を強調するだろう。中国は、北朝鮮が緊張緩和と非核化のために多くの措置を取ったにもかかわらず、米国の実質的な対応がたりなかったと指摘している。責任も日米韓の連合軍事のためだとしている。つまり、米国と韓国が何かをする前に、中国が先に北核問題を解決する理由などないというわけだ・・・・韓国外交も、中国に対して譲歩できない核心利益と価値に対するガイドラインを設定する必要がある。政権交代に関係なく変わらない原則がなければ、外交的資産として蓄積することはできない(ザ・ファクト)・・>>
個人的に、最後の部分だけは本当にそうだな、と思いました。政権交代だけでなく、同じ政権内でもスタンスがああなったりこうなったりするから、中国からすると「ああ、あれは『揺らす』ことができるんだな」と思うわけです。といっても、政権交代になったらほぼ間違いなくまた路線変わるでしょうし、そもそも、今の政権でも、本当に『西側に立つ』つもりがあるとは思えません。
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